海洋土木大手の東洋建設が6月に開いた株主総会で、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」が推薦する取締役7人が当選した。東洋建設推薦の6人を上回り、株主の推薦者が取締役会の過半数を占める異例の事態となった。なぜ、YFOは他の株主の賛同を集めることができたのか。従来の物言う株主とは異なる行動原理で動く「シン・アクティビスト」に迫る。

 「東洋建設にとってのシナジーが読み取れない」

 2022年3月、ゲーム大手の任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」の村上皓亮最高投資責任者(CIO)は、資料に目を通し、違和感を覚えていた。

東洋建設は、海洋土木(マリコン)の大手3社の一角を占める
東洋建設は、海洋土木(マリコン)の大手3社の一角を占める

 建設準大手の前田建設工業の親会社インフロニア・ホールディングスが、海洋土木大手の東洋建設の子会社化を目指してTOB(株式公開買い付け)を実施していた。だが、買収の狙いを記した公開買付届出書には、インフロニアの戦略は書き込まれていても、東洋建設の強みである洋上風力発電との相乗効果が不十分に感じられた。

 資源に乏しい日本にとって、洋上風力は次世代の大電源として重要視されており、東洋建設は海洋工事の高い技術力を持っている。今後成長が期待できる分野に足掛かりを持っているのに、国が毎年発注する港湾工事から得られる安定収益にあぐらをかいているのでは──。YFOは、インフロニアの傘下に入るより、東洋建設が独立を維持し、改革を進めた方が、成長余地があると踏んだ。

 YFOはインフロニアに対抗するため、東洋建設の株を急速かつ大量に買い集め、筆頭株主に躍り出た。東洋建設の経営陣に対し、インフロニアの1株770円より高い1株1000円でTOBを実施し、非上場化させる用意があると提案し、賛同を求めたのだ。インフロニアのTOBに賛同していた東洋建設は、YFOの動きに、強く反発。YFOの株買い増しを遅らせる対策導入を試みるなど、対立は激化していった。

異質なアクティビスト

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