【第49回】パソナには契約書も仕様書も求めず、補助事業者だけが責められる──情報流出事件と審査のダブルスタンダード
契約書も仕様書も存在しない?──法人文書開示請求の驚くべき結果
2024年9月4日、私は中小企業庁および中小機構に対して法人文書の開示請求を行いました。対象は、事業再構築補助金事務局のインフラシステム(申請ページ・管理システム等)に関する契約書・仕様書類。つまり、外注先であるパソナ(および再委託先)とどのような契約が結ばれ、どのような要件やWBS、設計図のもとで構築されたのかを確認するための請求でした。
ところが返ってきた回答は、
「該当文書については、存在しないため」──。
これはあまりにも異常です。補助事業者に対しては、設備の導入やシステム構築に際して詳細な契約書や仕様書、WBS、画面設計、チェックリストの提出が義務付けられ、それがなければ「証拠不十分」として不交付や返還命令すら下されるのに対し、パソナにはそのような資料提出が求められていない。
これは明らかなダブルスタンダードです。
「流出対策は指導済み」と言いながら、その内容は非開示
さらに驚くべきは、2023年末に明らかとなった申請システムからの情報流出問題への対応です。
中小企業庁は当時、報道機関に対し「専門家によるセキュリティ指導を受けて再発防止を図った」と説明しています。
しかし、私が請求したその「指導内容」「対策結果」の文書は、
「第5条第6号ロ及びハに該当する情報であるため非開示」とされました。
要するに、
「外部からの指導を受けた」ことは言うが、その中身は見せない。
そして、再発防止の具体策も共有されない。
一方、補助事業者が軽微な形式ミスを犯せば、「透明性がない」「ガバナンスがなっていない」として全額返還を命じられる。
これが現在の「補助金行政」の実態です。
個人情報保護法・Pマークの観点から見た重大な問題
本件は、単なる事務的な問題ではありません。
▶ パソナは個人情報を取り扱う立場である以上、「個人情報保護法」の対象
申請情報には氏名・連絡先・事業内容などの経営に関する情報などが含まれており、これらが流出した事実は重大です。
▶ Pマーク認定企業としての資格はあるのか?
パソナはプライバシーマーク(Pマーク)認定事業者であり、個人情報保護体制の整備を行っていることが前提とされています。
ところが、情報流出が発生し、再発防止策すら開示されない現状では、Pマークの信頼性にも疑問が生じます。
これは、パソナ単体の問題ではなく、監督官庁である中小企業庁の「監督責任」そのものが問われる問題です。
問われるのは、制度の公平性と信頼性
補助金制度とは、本来「事業者を支援する」ための制度です。
ところが今や、「一部の大手委託事業者には甘く、現場の事業者には厳しい」という、ゆがんだ構造が出来上がってしまっています。
このままでは、制度そのものの信頼が失われ、
真面目に事業を行う中小企業ほど割を食う仕組みが固定化されてしまいます。
政策提言:今こそ「対称性ある審査」と「情報開示の徹底」を
外部委託業者に対しても、補助事業者と同様の証拠資料の提出を義務付けること
情報流出時の再発防止策は必ず開示し、関係者が確認可能とすること
Pマーク認定の見直しと適正な運用状況の第三者検証
補助金等適正化法に基づく「行政文書の作成義務」「手続きの記録義務」の明確化
最後に:補助金制度を支えるのは、現場の事業者である
私たちは、制度にぶら下がるだけの事務局や再委託企業のために働いているのではありません。
補助金とは、あくまで「事業のための資金」であり、その審査と運用に公正さと透明性がなければ、制度の存続そのものが危ぶまれます。
私たちは、あらゆるルートを使って、この構造問題を問い続けていきます。


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