高校入試の内申書から“生徒の人柄”伝える項目が消滅…様式変更に現場困惑 教育委員会は「従来も成績だけで判断」と説明
今春の県内公立高校入試から、中学から高校に提出される調査書(内申書)の様式が変更になる。5段階の教科別の評定を除くほとんどの項目が廃止され、出欠の記録や生徒会などの特別活動の記載がなくなる。県教育委員会は廃止項目について「これまでも合否の判定に関係なかった」とし、必要な事項に絞る変更だと説明する。ただ、「内申書を良くするために、生徒会や委員会活動も頑張った」という人もいるのでは。成績以外は本当に使われていなかったの? 調査隊が探ってみた。 【画像】記載項目が減った新しい内申書 県内の中学校で生徒会長を務める2年の女子生徒(14)は「内申書のために役職をやっているわけではない」と前置きした上でつぶやいた。「学力はもちろん大切。だけど、学校行事で頑張っていることや人柄も高校に分かってほしかった」 県教委によると、 多くの中学生が受験する一般入試では、各中学から受験する高校に送られる調査書と、試験の結果で各高校が合否を判定する。 この調査書について、県教委は今春の受験生から様式を変更。欠席日数のほか、生徒会や学校行事の活動の記載、「基本的な生活習慣」や「責任感」といった行動面の評価などがなくなった。 県教委高校教育課は評定以外の項目を「人となりの理解」などに使うことはあったが、「合否の判定材料にはなっていなかった」と説明。調査書をシンプルにすることで「客観性や透明性をより高めることができる」と強調する。 ただ、現場の受け止めはいささか違うようだ。 昨年、中学3年を担任した県内のある20代男性教員は「成績以外は見ていなかったというが、あんなに労力をかけてきたのは何だったのか」と憤る。 教員によると、調査書の作成は遅くとも11月上旬に始まる。複数の目で何度もチェックするなど作業は慎重に進められ、記入を担う担任は精神的にも時間的にも負担を強いられてきた。 新様式については「楽にはなるが、子どもの魅力が数字でしか伝わらなくなってしまうのもどうなのか」と、複雑な思いがある。 県中学校長会進路対策委員長の軽部直幸校長(新潟・小針中)は「求められたものを提出してきた。成績以外も判断材料として見ていたと今も信じている」と力を込める。職員からも生徒会や委員会活動といった子どもたちの頑張りを「書いてあげたかった」という声は少なくないという。 ▽「旧様式のほうが…」 では、高校は調査書をどのように扱ってきたのか。 県立高校の校長経験者の一人は「調査書は成績以外の項目も見ていた」と証言する。定員を超え、さらにボーダーラインに集まっている場合、調査書の部活動の功績や特別活動などの記載を参考に審議。「総合的な判断で、例えば中学の頃に部活を一生懸命やり、学力も伸びる可能性がある生徒を合格させるのはあり得ることだ」。新様式は成績しか記載がないため、「生徒の良いところを見てすくい上げることはできなくなる」と残念がる。 既にスタートしている私立高校入試でも、公立に合わせて新しい様式を導入する学校は増えている。中学校に配慮して新様式に切り替えた私立高の校長からは「どんな生徒が入るかは評判にも関わる。旧様式のほうが良かったかもしれない」との本音も漏れる。 軽部校長は調査書が評定だけになることで、生徒の学習意欲の向上などを期待しつつ「学校は学力だけではなく、いろいろなことを学ぶ場だという機運をつくっていかなくてはならない」と気を引き締めている。 ◆合否は点数本位で決定、文科省の通知受け簡略化 県教育委員会によると、調査書の評定は9教科5段階の絶対評価。このため、3年間で合計135点が満点になる。 2026年度公立高校の入学者選抜要項によると、多くの全日制高校の一般入試では調査書の評定の合計と、3月に行う学力検査(5教科)の得点をそれぞれ1000点満点に換算。各学校・学科が定めた調査書と学力検査の比重割合(3対7、5対5など)に応じて算出した「総合得点表」を作成する。この表を資料とし、校長が委員長を務める「入学者選抜会議」での審議を経て決定する。 文部科学省は不登校などの生徒らに配慮し、出席状況などで入試に不利な取り扱いがないよう通知。調査書の検討にあたっては「入学者選抜の実施に真に必要な事項」に見直しを図るよう求めていた。