「日本に住みたい」中国人の出発点 芝園団地、住民の6割は外国人
JR京浜東北線蕨駅の西口を出て10分ほど歩くと、高層階の建物が並ぶマンモス団地にたどり着く。2024年12月のある午後、敷地内の広場では多くの人が思い思いの時間を過ごしていた。遊んでいる子供を見守る母親、買い物袋を抱えた2人の高齢女性、自転車を脇に置いて友人と話し込む男性――。どこにでもある風景だが、違いもある。彼らから聞こえてくる言葉はいずれも中国語なのだ。
日本に住む外国人が増え、日本人にとっても外国人住民にとっても暮らしやすい社会をどう作っていくのか――。川口を舞台に、3回にわたって現場に迫ります。(全3回の第1回、次回は1月8日午前5時アップ予定)
<対立もないけど交流もない 芝園団地の奇妙な静けさ>につづく
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ここは埼玉県川口市芝園町の芝園団地。多くの中国人が住んでいることから、近年は「チャイナ団地」とも呼ばれている。
川口市によれば、芝園団地のある芝園町の人口は4646人だが、そのうち外国人は2680人で約6割を占める。ベトナム人やフィリピン人らもいるものの、外国人で圧倒的に多いのは中国人だ。
「この団地は中国でもとても有名。中国人が多いので住み始めました」。1歳の長女を抱えていた金仙妮さん(36)は言った。
10年に来日し、日本語学校を経て埼玉県の大学を卒業。東京・銀座の免税店で働いていたが現在は育休中という。
この団地に来たのは1年ほど前。「同世代が多いので教育の情報も入りやすい。中国人の友達もここに来てから増えました」
日本人と中国人は外見ではなかなか見分けがつかないが、団地内に併設された商店街をみると、中華系の店舗が圧倒的に多いのに気づく。
一軒の生鮮店に入った。少し薄暗い店内の奥では、40歳ぐらいの男性が生肉を長い包丁で切っている。
「少しお話を聞いてもいいですか」。記者がそう聞くと、男性は一瞬驚いたような顔をした後に首を横に振った。「私、日本語、分からないよ」。片言の日本語だった。
「日本人のお客さんは来ないの…
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