中国で世界最大の漫画海賊版サイトが摘発、なぜ実現した?背景に「日中連携」あり


中国で世界最大の漫画海賊版サイトが摘発、なぜ実現した?背景に「日中連携」あり
Image by aboodi vesakaran

一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構は29日、世界最大の海賊版サイト「BATO.TO」を運営し、日本漫画などを権利者に無断で配信していたとして、著作権法違反の疑いで中国・広西チワン族自治区在住の男性の自宅を家宅捜索していることを明らかにした。

「BATO.TO」は2014年に開設された投稿型の海賊版サイトで、2025年5月の月間アクセス数は3億5,000万に到達。2022年10月から2025年10月の37カ月の合計アクセス数は約72億となり、約7,700億円のマイナスの経済効果を与えたと試算されている。

男性は勾留を経て現在は保釈されているが計60サイトすべてを運営していたことを認めており、今後起訴される見通しだ。

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現地中国企業と共同告発

本件はCODAの会員社であるKADOKAWA、講談社、集英社、小学館、スクウェア・エニックスら日本の出版社5社からの要請を受け、同所の北京事務所が担当。同所は本発表にて摘発に至った経緯を紹介しており、国際連携による共同告発という手法が決定的要因となったという。

具体的には、侵害対策の実効性強化を目的として、中国の大手IT企業テンセント傘下で中国最大級のオンライン書籍プラットフォームを運営する閲文集団(China Literature Limited)に協力を求めた。

閲文集団側も同社が権利を有する中国漫画が「BATO.TO」で無断配信されていることを確認したとことにより、日中双方の権利者が共同で告発。中国当局は国内外両面の侵害としてより対応せざるを得なくなる状況となり、刑事摘発に至った。

「BATO.TO」の運営者はまた、中国国内からは閲覧できないようジオブロッキング(地域視聴制限)を施すことで「国内で侵害実態がない」状況を装っていた。これにより中国国内の権利者からの告発を回避しつつ、世界中から膨大なアクセスを集めていたこともあり、中国国内の版権物にも影響があったとみられる。

運営者の特定に至った過程でも、国際的な専門家ネットワークが機能した。CODAが実施する国際執行プロジェクトでは、エシカルハッカーなどサイバーセキュリティ専門家と連携し、オープン・ソース・インテリジェンス調査を実施。中国のサービスを利用していたことが判明したことから、中国の調査会社の協力を得て運営者の特定に成功したという。

CODAは今回の刑事摘発を、スキャンレーションをはじめとする無許諾翻訳漫画サイトに対する有効な抑止につながる画期的な事例との認識を共有した。

なお、NTTソルマーレが全米市場向けに展開する電子書籍ストア「MangaPlaza」においては、「BATO.TO」の閉鎖直後から1日あたりの売上額が約2倍に伸長したとの報告を受けている。

著者 経済/社会担当
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