「外国人増=治安悪化」は大間違い…保守が無視する「むしろ大量の移民を受け入れないと日本が終わる」現実
■「ルールを守らない外国人」とは? 欧米では市場原理主義による社会の変化が激しく、今まで安定した職業や社会的地位でも、簡単に失いかねない状況になってきた。それに漠然とした不安を抱いている市民が当然数多く、スケープゴートが提供されるとそれに飛びつきがちな状況である。それだけに、「文化・社会に対する脅威」の外国人が槍玉に挙げられてきていると言える。 日本でも類似する排外主義的な言説として近年顕著になってきたのは、「ルールを守らない外国人」という論調であろう。ルールを守るのは「良い外国人」で日本に歓迎するが、ルールを守らない「悪い外国人」は不要にして日本から追放するべき、ということである。高市首相も例えば2025年10月、国会で「一部外国人による違法行為やルールからの逸脱」が問題との認識を示して、取り組みを約束した。 それは一見してごもっともな議論に見えるが、敢えて「違法行為」と区別される「ルールの逸脱」という概念の曖昧さに注目するべきである。 日本の法律を破る人が処罰されるのは当然で、外国人でも日本人でも変わらない。例えば凶悪犯罪で有罪になった外国人を国外追放するのは、場合によってはあり得るかもしれない。 ■問題視されるのは不法移民でも、犯罪者でもない しかし、高市首相を含めて日本人がひたすら問題として取り上げる「ルールを守らない」とは具体的に何を指すのか。地域のゴミ出しの日程を守らないことなのか。電車内で大声で会話することなのか。歩道を占領するように広がって歩くことなのか。右派のコメンテータでも外国人による「迷惑行為」を大ごととして取り上げるが、日本人でもそういう「迷惑行為」をする人は決して少なくない。日本人なら問題にされず(もしくは、口頭で注意されることだけで済み)、外国人にだけ厳罰が処されるべきと考えるのは、いったいなぜか。 ことごとく「外国人によるルール破り」ばかりを強調するのはつまるところ、「外国人がいること自体が気に食わない」という考えの延長線上であることを自覚するべきである。 それは、例えばトランプ政権下のアメリカを見ても明らかである。最初は「不法移民の取り締まり」という名目で始まった各地の大規模逮捕であるが、一網打尽なやり方のため、合法的に在留している外国人、それどころか市民権を持った人も逮捕されてそのまま強制的に追放されている例も決して少なくない。トランプ氏やその周辺の発言を見ても、違法行為をした外国人だけでなく、(非白人の)外国人、それどころか非白人のアメリカ人全般が取り締まりの対象であるのが次第に明らかになっていると言えるであろう。合法的にアメリカに移住して市民権を取得した人ももちろん数多いわけであるが、トランプ政権は市民権の大量剥奪も検討しており、その対象もほとんど非白人であることが容易に予想される。