「外国人増=治安悪化」は大間違い…保守が無視する「むしろ大量の移民を受け入れないと日本が終わる」現実
■「マスコミは外国人の味方」という主張の起源 外国人の保護にメディアも加担しているという言説は実は最近現れたものでなく、2000年代辺りから、在日特権を許さない市民の会(「在特会」)の主張の一つであった。ヘイト集会で在日コリアンや中国人を「ゴキブリ」呼ばわりして、「また南京大虐殺するぞ」と叫んだことで一躍有名になり、そのヘイトスピーチが国連の人権条約の審査で問題になったほどである。その時も日本の右派の一部が「中韓や日本の人権団体の反日に毒された」などと国連を批判することが多かったが、ヘイトスピーチは国際法で明確に禁止されており、日本が指摘されて当然と言える。 欧米でも、「外国人イコール犯罪者(もしくはテロ)」ということで高まった排外主義であるが、日本と同じように各国の公的統計や学術研究でそれが無根拠であることがすぐにわかる。「移民による凶悪犯罪」ばかりがトランプに強調されるアメリカにおいても、例えば司法省が2024年に発表している検挙のデータや、保守派シンクタンクのケイトー研究所が2025年に発表した分析でも、移民の犯罪率の低さが証明されている。 ■「文化に対する脅威」という言いがかり ケイトーの報告書では1990年に生まれた人のうち、アメリカで生まれた人の収監確率が11パーセントであるのに対して不法滞在者は5パーセント、合法的に移住した人に関しては2パーセントである。ヨーロッパ各国でも犯罪者になる要因は「外国人か否か」でなく、基本的にその人の置かれた経済的社会的状況であること多いと明らかにされている。 「犯罪者」のレッテルは無理があるので、そこで今度は、「外国人は文化に対する脅威」という言説が台頭した。 ヨーロッパでは特にムスリムの住民が狙い撃ちされるが、「女性の権利を認めない」「学校でハラルの食事にこだわる」「公共の場でいきなりお祈りを始める」などと言って、「価値観の違う彼らを受け入れることによってわが国の文化が乱される」と言われる。一つひとつ見るとそれは根拠のない言いがかりだったり、些事の過大視であることが明白である(日本でもムスリム住民の土葬「問題」も同じ)が、データで簡単に論破される「外国人イコール犯罪者」という言説と違って全体的に曖昧なものであるため、問題点が認識されにくい。