健康寿命を延ばすには「筋トレ」を 老年医学の専門家が教える健康法
「筋肉の健康」は脳にも良い影響を与える
―「筋肉の健康が脳の健康にもつながる」とは、どういうことですか? 筋肉が衰えると、疲れやすくなったり転倒しやすくなったりして、どうしても活動範囲が狭くなり、家の中に閉じこもりがちになります。私たち人間は人と会ったり、旅行をしたりといった社会活動によって、ストレスからある程度離れて精神的にリフレッシュできていますが、それが難しくなります。 また筋肉を使うことが、脳に良い影響を与えることも分かってきました。筋肉から様々なホルモンやBDNF(脳由来神経栄養因子)といった物質が出て、脳を活性化させます。「筋肉の健康」は、社会的な活動を広げることによる精神的な効果と、脳を活性化させる効果、二つの効果が期待できます。 ―健康寿命には「生きがい」も大切ということでした。 自分の仕事や趣味が生きがいになっている場合もありますし、お子さんやお孫さんといった自分以外が生きがいになっている場合もあるかもしれません。一つだけでなく複数の場合もあります。理想を言えば、若い時から多くの引き出しを持っておくことです。仕事一筋だった方が、定年後に引きこもってしまう、という話も聞きます。現役で働いているうちから趣味を多く持ったり、友人をたくさん作ったりしておくことが望ましいですね。 もちろんそれがない場合はどうするかということになりますが、最近では直接人と会うことだけでなく、バーチャルの世界で人とつながることもできます。オンラインの世界で自分の役割を見つけている高齢者もいるかもしれません。多様な姿がありえるので、できるだけ若いときから色んなことにチャレンジして、自分なりの生き方を考えていくのがよいでしょう。 ―朝日新聞Reライフプロジェクトでは、会員コミュニティー「Reライフ読者会議」メンバーを対象に、健康法や運動習慣についてのアンケートを実施しました。医療機関などで健康診断や人間ドックを定期的(年1回以上)に受診している人は全体で84.8%と8割を超えたこと、運動を定期的に「している」と回答した人が57%と半数を超えたことなどの結果を「Reライフ白書」として紹介していますが、この結果をどのように考えたらよいでしょうか。 回答した人たちは非常に健康意識の高い集団だと思います。年齢が上がるにつれて健康に気を付けている人が増えているというのは生存バイアスがあるかもしれず、これが一般ではないというのは注意して見る必要があります。医療機関などで健康診断や人間ドックを定期的(年1回以上)受診している人は全体で84.8%と8割を超えて高くなっていますが、国が法律で医療保険者に実施を義務づけている40歳から74歳を対象にした「特定健康診査」の2023 年度の実施率は59.9%で、それに比べてもとても高くなっていますね。