Rockwellの工場自律化に関する記事、なかなか興味深い。特に「PLCは不要、制御機器はIPCに集約」という主張は、私の考えとも合ってる。
因みに、「工場自律化にPLCは不要」ということについて、今からツラツラと述べてみる。
最初に断っておくが、これは「PLCを否定する話」ではない。制御の実体をハードからソフトへ移すという、かなり本質的な話になる。
SDA (Software Defined Automation) の核心は以下。
従来、PLCは
・専用HW
・固定FW
・機種依存の実行環境
と不可分だった。
SDAではこれを切り離し、制御ロジックをIPC上のソフトウェアとして実行する。つまり、「PLC機能が消える」のではなく「PLC機能がIPCに吸収される」。これが今後の製造業のあるべき姿だと私は思う。
なぜこれをやるのか理由は明確。
まずAI・最適化との相性。
PLCは決定論制御には強いが、
・AI推論
・統計処理
・全体最適
は根本的に不得意。
IPCなら同一CPU/GPU上で制御・判断・最適化を同居させられる。 今後は制御と意思決定を分断しないことが重要になってくると思う。
次にライフサイクル。
PLCは世代更新の影響が大きい。一方IPCはOS・ミドル・制御アプリを分離でき、CI/CD、シミュレーション、段階更新が可能。10年以上運用する工場では決定的な差になる。
エンジニアリング生産性も大きい。
従来はPLC / HMI / MES / 上位ITが分断されていた。SDAでは共通データモデルとAPIで統合され、制御が「コード」として管理される。
これはDXというより制御設計のソフトウェア化。ただし重要な注意点がある。
「すべての装置でPLC不要」ではない。
・μsオーダの決定論制御
・極端に高いSIL要求
・超低コスト量産装置
では、専用PLCや専用コントローラは残る。
IPC集約が効くのは
・ライン統合
・工場全体制御
・生産最適化・自律化
のレイヤ。
この流れはRockwellだけではない。欧州勢も含め、業界全体が同じ方向に進んでいる。結局これは流行語ではなく、「制御工学 × ソフトウェア工学 × 製造DX」が交差した結果の必然だと感じる。
これからの設計者に問われるのは「PLCかIPCか」ではなく、「どの制御をリアルタイム層に残し、どこからソフトウェア化するか」。
制御設計の主戦場が、今後確実に変わっていくと思う。