『成瀬~』が大ヒット!新潮社の大幅組織改編と出版戦略
『失われた貌』がミステリーランキングで3冠
ミステリーと言えばもうひとつ、こちらは単行本だが、8月刊の櫻田智也さんの『失われた貌』が年末のミステリーランキングで3冠を獲得したという話題もある。3冠とは宝島社の『このミステリーがすごい!』、「ハヤカワミステリマガジン」の「ミステリが読みたい!」、それに「週刊文春ミステリーベスト10」で1位を獲得したことだ。 同書は8月に初版5000部でスタートしたが、TBS『王様のブランチ』などで取り上げられ口コミで広がり、一時は品切れになったという。11月までに5万5000部に至っていたが、3冠獲得で一気に重版がかかり、10万5000部になったという。 出版部の新井久幸部長に話を聞いた。『失われた貌』は、新井部長が自ら担当した作品だという。 「『このミステリーがすごい!』で新潮社の本が国内と海外と両方1位だったのは、2008年の『ゴールデンスランバー』と『チャイルド44』の時以来です。 ミステリーランキングは、評論家や書店員などいろいろな人の投票で選ばれるのですが、そこで3冠を取ったというのは、幅広い層から支持を得たということだと思います」 出版部からは12月、宮島未奈さんの「成瀬シリーズ」第3作、『成瀬は都を駆け抜ける』も出版され、期待が寄せられている。 「『成瀬は都を駆け抜ける』は初版が12万部というびっくりする数字でしたが、それでも予約が殺到して足りず、事前重版して15万部でスタートしました。発売後さらに何度か重版がかかって28万5000部になっています。10万部以上の重版というのは驚くべき数字ですよね。 売れることが期待されている特別な作品ですが、でもそれをきっちり売るというのは、そんな簡単なことじゃないんです。担当者をはじめ関係各所が十全に準備して、できることは何でもやった上で、営業は部数の読みも細かくやっています。今回の新刊が出てから前の2冊も売れているし、文庫もかなり売れています」(新井部長) 2025年はそのほかにもいろいろなヒットがあった。 「前年に出た伊予原新さんの『藍を継ぐ海』が直木賞を受賞して10万部近くになっています。その後、5月には『皇后の碧』という阿部智里さんのファンタジー新刊が出ました。文藝春秋から出ている八咫烏シリーズがアニメになるなど大人気の作家で、『皇后の碧』は12月までで4万部までいっています。 12月17日には原田マハさんの『晴れの日の木馬たち』が出版されまして、こちらも期待されています」(同)