高市早苗首相「円安で外為特会ホクホク」 為替メリットを強調
高市早苗首相は31日、川崎市内の演説会で足元の円安傾向のメリットを強調した。「外為特会というのがあるが、これの運用が今ホクホク状態だ」と話した。
外為特会は「外国為替資金特別会計」を指す。政府が管理する外貨建ての資産で為替介入の原資にもなる。資産の運用益の一部は剰余金として一般会計に組み入れられる。円安の状況下では保有する外貨資産の運用益が拡大する。
首相は「円高がいいのか、円安がいいのか、どっちがいいのか、皆わからない」と語った。「円高だったら輸出しても競争力ない。円安だから悪いって言われるが、輸出産業にとっては大チャンスだ」と力説した。
自身が掲げる「責任ある積極財政」により民間企業の国内への投資を喚起し、為替変動に強い経済構造をつくると改めて訴えた。
円安は輸入価格を押し上げ、インフレを助長するリスクもある。首相は円安のデメリットには明確に言及しなかった。
同じ演説で、2025年12月に成立した同年度補正予算に触れ「物価高対策はそこですべて措置し、今徐々に執行中だ。やるべきことはやっている」と説明した。
トランプ関税、円安がバッファー 首相「円安発言」の全文
高市早苗首相は31日、川崎市内で衆院選の応援演説をし、円安について発言した。該当部分の全文は以下の通り。※衆院選候補者の名前は省略した。
◇
国内投資がとことん低い。だからよその国は今もう何をしているかって言ったら、海外に投資してるんじゃなくて、自分の国内に投資をする。自分の国内で工場をつくる。自分の国内で研究開発拠点をつくる。だから、自分の国内で投資をしているんです。ここは日本は弱かった。ガラッと変えようとしてます。高市内閣で。
だって為替変動にも強い経済構造をつくれるではないですか。国内でつくるんだから。為替が高くなったが、それがいいのか悪いのか、円高がいいのか、円安がいいのか、どっちがいいのか、皆わからないですよね。
むかし、民主党政権の時、たしかドル70円台の超円高。日本で物をつくっても輸出しても売れないから、円高だったら輸出しても競争力ないですよね。日本の企業、海外にどんどん出ていっちゃった。
それで、失業率もすごい高かった。そっちがいいのか。今円安だから悪いって言われるけれども、輸出産業にとっては大チャンス。食べ物を売るにも、自動車産業も、アメリカの関税があったけれども、円安がバッファーになった。ものすごくこれは助かりました。
円安でもっと助かってるのが、外為特会っていうのがあるんですが、これの運用、今ホクホク状態です。
だから円高がいいのか、円安がいいのかわからない。これは総理が口にすべきことじゃないけれども、為替が変動しても強い日本の経済構造を一緒に私はつくりたい。だから国内投資をもっと増やしたい。そう思ってます。
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(更新)- 竹内純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員ひとこと解説
そもそも労働力の供給が大きな制約要因となっている今、国内に製造業の拠点を立てまくって成長といわれてもピンとこない、あるいは、今の日本の産業構造では、円安が有利と言われても違和感を抱くという方も多いでしょう。首相がその点をどう考えているかが気になりますが、例えば、エネルギー価格抑制のための補助金について、円安が厳しくなれば吹っ飛んでしまうことなども日本成長戦略会議で申し上げていますし、そこはご理解されているのではないかと思います。「デメリットだけではない」ことを強調されたらこういう記事になったのかな?と想像しますが、こうした発言に対するマーケットの反応なども見ていくことが必要だろうと思います。
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(更新) - 竹中治堅政策研究大学院大学 教授ひとこと解説
首相は自身の首相就任以来、長期金利が上昇したり、円安が進んだりしているという批判を意識しているのだろう。だが、首相の発言は財政・金融・為替・物価などマクロ経済を十分理解しているのか改めて疑問を感じさせる。そもそも現在の為替の変動幅自体が数年前に比べ円安に触れており、日本の経済力自体が落ちていることが要因として指摘されている(斎藤誠「経済教室」22/9/22 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD293ZO0Z20C22A8000000/ )。 日本の財政状況の悪化により通貨としての円の信用が揺らいでいる可能性もある。円安で「ホクホク」と言っている場合ではない。さらに円安はインフレ要因であり、インフレが続いている状況で好ましいことではない。
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(更新) - 川端由美ジャーナリスト/戦略イノベーション・スペシャリスト分析・考察
円安の恩恵を最も実感しやすいのは、日本の基幹産業である自動車だ。完成車メーカーの海外生産拡大で「空洞化」が語られがちだが、現場を歩くと状況はそう単純ではない。すべてのサプライヤーが海外に移転できるわけではなく、金型や素材、擦り合わせといった工程や技術は国内に残っている。円安は、そうした国内拠点の競争力を下支えしてきた。為替を善悪で論じるのではなく、円安局面で生まれた余力を次世代技術や国内投資にどうつなげるかが問われている。
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(更新) - 中北浩爾中央大学法学部 教授ひとこと解説
この発言、高市総理の本音が分かりやすく出たということでしょう。国と輸出企業が重要であって、消費者や輸入企業は二の次。1ドル150円台半ばの円安とそれによる物価高を容認しているとみなされても仕方ない。加えていえば、賃上げにも岸田・石破両政権ほど熱心ではありません。高市政権の「積極財政」とは、良かれ悪しかれ、そういう内容です。
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