《故障続発の「EVバス」》自治体やバス運営企業が続々導入する背景にある「手厚い補助金」で3300万円の車両価格が420万円に 自己申告に基づく補助金審査にも問題か
故障続きでほとんど使用されていなくても問題視されない
こうしたバスを含む商用EVに関する補助金のあり方については、EVMJの責任とは別の問題になるだろう。 EV乗用車の場合、補助金額を決定するための電費や1充電あたりの航続距離について、試験機関で数日間をかけて厳格な体制で審査される。しかし、環境省のEVバス補助金は自己申告に基づく。さらに、補助金を受ける条件として5年間の最低保有期間が定められているが、たとえ故障続きでほとんど使用されていなくても問題視されない。あくまで保有期間が条件で、実際の走行距離やメーターの証拠などを提出する義務はないという。 補助金のあり方が適切か、実務を担う日本自動車輸送技術協会に問うと、「適正に処理しております」(補助金執行グループ)と答えた。 相次ぐトラブルを受け、複数の大手バス会社は2025年中に納車が予定されていたEVMJのバスをキャンセルしている。その一方、依然として使用を続ける事業者もあり、現場のドライバーなどからは、「今すぐ使用を止めてほしい」「何かあった時にお客様を守れない」と悲痛な声が筆者のもとに届いている。 品質や安全管理に疑問があるなか、そこに補助金まで注ぎ込まれる状況が放置されてはならない。重大な事故が起きないよう、今後も警鐘を鳴らしていきたい。 * * * 関連記事《【徹底追及】故障続発の「国産EVバス」の実態は「中国製」だった! 元社員が明かす“国産として認められたカラクリ” 万博では“一社独占”で導入、政府による補助金は適切なのか》では、実態として中国メーカーが製造した“国産EV(電気自動車)バス”が一社独占で大阪・関西万博に大量導入された経緯を詳細にレポート。EVバス導入にあたっての補助金のあり方についても、警鐘を鳴らしている。 【プロフィール】 加藤久美子(かとう・くみこ)/自動車生活ジャーナリスト。山口県下関市生まれ。大学在学中に国産車ディーラーで納車・引き取りのアルバイトに明け暮れ、卒業後、日刊自動車新聞社に入社。1995年からフリーに。『くるまのニュース』『ニューモデルマガジンX』『ベストカー』などの自動車メディアのほか、週刊誌に寄稿。年間約300本の自動車関連記事を執筆している。 ※週刊ポスト2026年2月6・13日号