蔬果図 雪村周継筆 福島県立博物館蔵
茨城県立歴史館の開館50周年記念特別展「雪村―常陸に生まれし遊歴の画僧―」(朝日新聞水戸総局など後援)が2月15日(土)から4月6日(日)まで開かれます(午前9時半~午後5時、月曜休館・祝日の場合はその翌日)。県立歴史館の蔀(しどみ)政人・学芸員が、戦国時代を代表する水墨画家・雪村周継(せっそんしゅうけい)の作品を紹介します。
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蔬果図
蔬菜(そさい)(野菜)や果物を描いた「蔬果図」は中国に起源をもつ画題です。
そこに登場するモチーフは、例えば蔓(つる)性の植物は途絶えずに連綿と続く様から、また、ブドウやザクロといった果物は実を多くつけることから、ともに子孫繁栄の象徴として捉えられてきました。このように吉祥的イメージと結びつけられた蔬果図は、日本でも好まれて制作されました。
この作品には、ウリやナス、カボチャ、ナツメなどが図の中央下寄りに固まって描かれています。あたかも収穫したばかりの野菜が庭先に置かれているようです。
野菜は細い墨の線で輪郭を引き、淡く色を塗っています。この均一で研ぎ澄まされた描線とは対照的に、葉は抑揚のある筆線で表されています。また、大胆さと繊細さが両立した蔓は躍動感たっぷりに伸び伸びと描き出され、その生命力が鑑賞者へと伝わってきます。
本作品は、もとは福島県磐梯町にある恵日寺(えにちじ)の寺宝であったと伝わり、後に会津藩主であった松平家の所蔵品となっています。雪村が会津や三春に隠棲(いんせい)した晩年の作と考えられますが、先に見た作品の伝来の経緯を踏まえると、雪村の時代から現代に至るまで福島の地で大切に護(まも)り伝えられてきた作品なのかもしれません。