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HHKBを購入したぞ 無邪気な10日間レビュー

※2022/12/15
打鍵音欄 - 純正制振マットについて追記
※2022/12/21
打鍵感欄 - 打鍵感について追記



◯はじめに

あなたが日頃から触れているであろう入力機器「キーボード」。
自宅で、会社で、あるいはスマートフォンの英字入力インターフェースで、我々がキーボードから離れて生活することは、先鋭的なコミューンに参画するでも無い限り不可能だろう。
現代の鉛筆と表現しても過言ではないほどに依存しているキーボードであるが、しかしてキーボードにコストを掛ける人間は少ないように思える。
今回はかねてより手元に招きたかった高級キーボードの一角、「HHKB」をついに購入したため、お上りさん気分で寸評を記載する。
あわよくばあなたがキーボード沼にハマりますように!!




◯HHKBとは

HHKBとは、国内企業であるPFU社から発売されている
「Happy Hacking Keyboard」
の略称である。
こちらは1996年の初代モデルリリースから2022年に至るまで、レディメイドの高級キーボードとして最もメジャーなブランドの一つとして不動の地位を築いている。「やべえキーボードが欲しいなあ」と思案した場合の最もハイコストな選択肢の一つがこちらのHHKBだ(自作を除く)

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効率性全振りの極端なレイアウト。おっかねえ〜〜〜〜



国産でもう一つ、最高級キーボードとして同等の地位を築いているのが東プレ社からリリースされている「Realforce」シリーズだ。東プレ社はかねてから金融機関等にOEMでキーボードを卸しており、国内金融機関でのシェアは7割を超えるとのデータも出ている。その業務用キーボードを民生用市販品としてモディファイしたのが、2001年より発売が開始された「Realforce」シリーズとなる。筆者もRealforceを一台保有していたが、前職を辞する際職場でパクられてしまった。
以下の寸評は、全てRealforceを操作済のうえでの内容となる。


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最新モデルのR3。もたっこいデザインだが、それこそがコンセプトなのである



国内のタイピングコンペティションで長い間覇権を握り続けているのもRealforceだったりするのだが、その普及を支える根幹の理由はなんと言っても同社が開発した「静電容量無接点方式」にある。
職場で支給されるであろうコポコポとした打ち心地(メンブレン式)のキーボードや、ノートパソコンに備え付けられているパタパタと薄い打ち心地(パンタグラフ式)のキーボードは、キーを押下することで接点が機械的に触れ合い信号を発信する。この場合接点の接続と打鍵感の調整が同一の機構内で行われるため必然的に押下荷重が強くなり、押し心地が重くなる傾向にある。
一方静電容量無接点方式は物理的な接点を持たず、押下判定を行う電極同士が「接近したか否か」で判定が為されるため、打鍵感調整用の機構を独立して設けることが出来るほか、物理接点の摩耗等による機械的誤動作がそもそも発生しない。


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つまりそういうことなのだ


ナンノコッチャという話なのだが、詰まるところ同機構がもたらすメリットは「チャタリング(瞬間的に複数回入力判定が発生してしまう物理的不具合)が発生しない」「耐久性が非常に高くなる(メンブレン方式の5倍程度)」「動作音が小さくなる、入力荷重が軽くなるなど操作感を大幅に向上させられる」「押し心地、音がスケベ」と言った信頼性、打鍵感の格別な向上であり、操作ミスが重大なインシデントにつながるプロフェッショナルの要求水準に適う機構となっている。


話は戻るが、HHKBはその特徴として以下の点が挙げられる。

・価格はRealforceと同等(3万円強)
・静電容量無接点機構を東プレ社から仕入れているため、打鍵感がスケベ
・一般的なテンキー付きキーボードの108キーに対し60キーと極端に省スペース
・エンジニアの効率向上に特化した特殊な操作方式を採用しているため慣れないうちはクソほど使いづらいが、慣れたら依存性が半端ない
・キーボードバカ向けのため、無刻印(文字が一切無い)モデルがある
・Win / Mac 両対応 (モデル分け無し)
・エンジニアの採用率が異常。複数台持ちが無限に湧いて出る。

まず最高の打鍵感を誇るRealforceと同一の機構を東プレ社から仕入れているため、打鍵感については唯一無二の格別な物となっている。しかしながら同機構の製造コストが高いため、価格についてもRealforceと同様、3万円強と購入に覚悟のいる値である。
またHHKBはWindowsキー、Commandキーと言ったOS固有のキーがOSごとに切り替わる汎用キーとして設けられているほか「Winモード」「Macモード」が設定可能なため、Realforceほか一般的な既製品キーボードと異なりOSに合わせて専用モデルを購入する必要がない。


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こんな感じで各OSに対応してます



Realforceと最も差別化が図られている点としては、セールスポイントを「省スペース性」および「操作効率の向上」に特化させている点が挙げられる。
Realforceの特定モデルを含む一般的なフルサイズキーボードは108鍵であるのに対し、HHKBはUS配列で60鍵、JIS配列(日本語配列)で69鍵と既製品の中では群を抜いてキー数が少ない。特にUS配列では矢印キーさえ存在しないなど極端な省スペース方針がとられており、そのため日頃あなたが殆ど触れないであろう「Fnキー」を押下することで「レイヤーを切り替え」ての操作が主体となっている。
一例を挙げるならば、US配列ではFnキーを押下すると「[」「;」「'」「/」キーがそれぞれ「↑」「←」「→」「↓」に変化するほか、「L」が「Page up」、「.」が「Page down」、「k」が「Home」、「,」が「End」となる。これらにOS備え付けのショートカット(MacであればCtrl系)を組み合わせれば、ホームポジションをほぼ崩すことなく縦横無尽な操作が可能となる。


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Fn押下時のコマンド変化について。ふざけるんじゃないよ


一方Realforceではテンキーレスモデル自体は存在するものの省スペース性に重きを置いていないため、あなたが常日頃使用しているかもしれない一般的なレイアウトを踏襲しており、導入に際し煩雑さが発生しない。伴ってFnキーに特殊な挙動は設定されておらず、レイヤーを切り替えての操作を覚える必要がない。
つまり打鍵感の向上に全振りし誰でも使いやすいRealforce、省スペース性と操作効率の向上に特化したマニア(マゾ)向けHHKB、というのが一般的な市場の認識となっている。





◯HHKBの各モデル概観

・HHKB Professional Hybrid (現行モデル)

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HHKB Professional Hybrid。もたこい白色もあるよ



2019よりメジャーアップデートされたHHKB製品群におけるスタンダードモデルがこちらとなる。「Hybrid」が示すのは「有線接続、Bluetooth接続どっちでもええよ」の意である。
過去モデルではスイッチの耐久性が「3000万回程度」と示されていたのに対し、こちらのモデルからは「5000万回程度」と1.6倍程度耐久性が上昇したと公称されている。


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キーアサイン変更ツール画像。ネットの海から拝借



しかしながら、2019年からのProfessional Hybridシリーズの最も強い点は「キーアサインを純正ソフトで変更可能」な点であると筆者は考えている。
上述の通りHHKBはその極端な省スペース性からFnキーを使用してのレイヤー切り替えが必須となっているが、HHKBにおけるFnキー押下時の挙動は機械的に固定されており、従来モデルではサードパーティ製のアサイン変更ツールを用いての変更が不可能となっていた(Fnキーを新たに追加しても、備え付けFnキーとは異なる挙動となってしまう)。

一方Professional Hybridから対応する純正アサイン変更ツールでは、Fnキーで切り替えたレイヤー上のキーアサイン(Fnキーを用いたショートカット)も変更可能となっているため、Fnキーを用いたショートカットを自在に作成することが可能だ。
そのため「左CtrlキーをFnキーに変更し左手人指、中指付近に矢印やEnter、BS等々を集中させることで、右手でマウスを操作しながら左手て体外の操作を行う」といった夢に溢れた操作体系を煩雑さ無しで構築することが出来る。

入力効率向上のため設けられたHHKB特有のFnレイヤーであるが、レイヤー自体の編集が行えない以上効率の向上には限界があった。新モデルからその制約が単純に取っ払われる形となったため、「操作効率」に魅力を感じての購入を検討しているのであれば、Professional Hybrid以外の選択肢はぶっちゃけ存在しないと考えていいだろう。

HybridはWin / Macの双方にネイティヴ対応するため、ドライバは必要無い。

価格はAmazonで31,000円。




・HHKB Professional Hybrid Type-S (現行モデル)

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Type-S限定の「雪」カラー。美味そう



現行モデルのうち一応最高級モデルとなるのだろうか。
全ラインナップを通して、「Type-S」と銘打たれたものは「打鍵音の静かな静音モデル」「若干高速入力性を高めたモデル」を意味する。
通常モデルに追加してダンパーのようなものが装着されており、通常モデルの打鍵感を「カチャカチャ、コトコト」と表するのであればType-Sは「カサカサ、コホコホ」と籠もり、乾燥感、擦れのあるものとなる。
上述の通常モデルは静音性を無視した打鍵感重視のものとなっているため、スケベなフィーリングとともに打鍵の楽しさを味わいたいならばそちらの方がおすすめだ。一方職場やカフェなど静音性が求められる環境でストレス無く使用したいのであれば、3割程度の操作音減退が公称されているType-Sの方が安心か。

筆者はRealforceを非静音モデル、今回購入したHHKBを静音モデルで購入したが、純粋なタイピングの楽しさを「わかりやすく」味わうならばやはり非静音(通常)モデルに明らかな軍配が上がる。
通常モデルには飴玉を転がすような艶めかしさがあり、静音モデルには乾きと擦れの独特な魅力がある。

またType-Sの方が若干ながら高速タイピング用途にチューニングされており、通常モデルのキーストローク(押し込める深さ)が4.0mmであるのに対し、Type-Sは3.8mmと若干浅くなっている。

都心であれば量販店などに試用機が設置されているはずなので、実際に触ってみて両モデルの差異を確かめてみていただきたい。

価格はAmazonで37,000円。




◯HHKB Professional Hybrid Classic (現行モデル)

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廉価モデルのClassic。Bluetooth使用不可なので上部の電池ボックスが無い



こちらは現行モデルのうち最も価格が低い、廉価モデルとなっている。
26,000円とType-Sに比べ諭吉一枚分も安いため、導入に迷いがある方には有力な候補となる……かもしれない。
上記2モデルとの大きな違いとしては

・USモデルのみ(日本語配列が無い)
・Type-Sが無い
・Bluetooth接続ができない
・純正キーアサイン変更ツールが使用できない

となっており、その中でも筆者的に最もネックとなのは「アサイン変更ツールが使用できない」点だ。
新品現行品を買う意味、現行品の強みは「純正キーアサイン変更ツール」に集約されていると断言できるため、ぶっちゃけClassicを新品で買うくらいなら前世代モデルを中古で購入したほうが良い。静電容量無接点方式の高耐久性には目を見張るものがあり、「15年間清掃のみで使用している」といった報告が普通に上ってくるレベルである。
そのため他人の手垢に対して毅然と対処出来るのであれば、中古モデルの購入自体にそこまでのリスクは存在しないと言えるだろう。

ということで、筆者的には「頑張ってHybridを買ってくれ」と強く進言したいモデルとなっている。




・HHKB Professional2 Type-S (過去モデル)

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11年前の製品だが、レイアウトは現行と変わらず



詳細は後述するが、懐の寂しい筆者が今回中古で購入したのがこちらのモデルとなる。
記事作成時点で11年も前に発売されたモデルであるが、構造に限れば現行品との間に大きな差異は存在しない。Hybridに比べると若干打鍵感が固いとのレビューが散見されるほか、スイッチの耐久性が現行と比べ劣っている、といった諸々は存在するものの、物は試しで使用感を確かめてみたい場合は取り急ぎで購入する選択肢として十分考慮に値するだろう。
こちらは有線接続のみとなっているほか、キーアサイン変更ツールに対応していない。対応していない! 筆者は本当に後悔しています。
またMacにネイティヴ対応していないため、専用のドライバが必要となる。こちらは現状公式から入手可能だが、いずれアップデートが停止する可能性があるため中古を購入する際には対応状況に注意されたし。




・HHKB Professional BT (過去モデル)


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今買う意味は特にない



2016年より発売された、BT接続専用モデル。
Bluetoothは常に使用者を裏切るものというのが筆者の認識であるため、最初から購入の選択肢には入らなかった。
こちらもキーアサイン変更ツールに対応しておらず、また有線接続が排除されておりいまいち信頼性に欠けるため、Bluetoothを求めてこちらを中古で買うくらいならどうにかしてHybridを購入しようね。



・HHKB Lite および Lite2 (過去モデル)

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IBMライクないなたさ。これはこれで趣深くてアリ



2018年頃まで生産されていた、Classic以前の廉価モデル。
中古でHHKBを探しているあなたが1万円を切るやたらと安価な品に出会った場合、それはほぼ間違いなくこのLiteである。
Liteとその他モデルの一番の差異は「静電容量無接点方式が採用されていない」点だ。Liteに採用されているのは1000円くらいから購入できるメンブレン方式(図書館のキーボードとかを思い出してください)であり、静電容量無接点の打鍵感がオミットされていてもHHKBの操作性のみ獲得できればOK、という割り切ったユーザー向けの製品がこちらである。
あなたが実際に割り切っているなら検討に値するかもしれないが、2008年から発売されているため残寿命でハズレを引く可能性があるほか、せっかくなら静電容量無接点方式を味わってほしいし、キーアサイン変更ツールも使用できないし……でぶっちゃけ買う意味はない、と進言したいモデル。
ただしあなたが尊敬すべきメンブレン愛好家であるなら全くその限りではない。筆者もちょっと使ってみたい。






◯導入編

筆者が購入したのは中古のProfessional2 Type-S US配列 白 無刻印だ。
サードパーティ製のキーキャップが装着され、全キーが純白のカスタム状態で販売されていた。
このモデルを購入した理由は

・金が無い (中古で15,000円だった)
・Bluetoothいらない
・無刻印で風を切りたい
・JIS配列嫌い
・どうせ寿命長い
・静音モデルを試したい
・全真っ白カスタムが熱い
・エンジニア職になったので形から入りたい
・キーアサイン変更ツールの存在を知らなかった(愚行)

などなどなど、である。

HHKBには圧倒的強者感を演出するため全てのキーに印字が無いまっさら状態の「無刻印」と呼ばれるモデルがある。本当にただただ「ワイこれ触れんねんで」と優越感に浸れるのみでなんのタクティカルアドパンテージも無いのだが、これこそがHHKBと言わんばかりに購入するものが後をたたない、不気味な魔力を纏った一品となっている。筆者が無刻印を購入した動機も概ねその感じだ。
フリマサイトで購入したものの出品者からの連絡が全く無く、どうにか早く届きますようにと近所の寺に50円ほど捧げた結果、1週間丁度で自宅に届いた。いざ満を持して封を開けると……





・概観


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怖……


なにこれ……

キモ……キモすぎる。なにこれ。真っ白でめっちゃキモい。「5」はどこだよ。まずログインパスが打てない。これ人間が使える道具じゃないだろ。

「本末転倒すぎるな……」と涙しつつスマホでキー配置を確認しパスワードを入力後、予めDLしておいた専用ドライバをインストール。取り急ぎみんな大好き寿司打を起動し、問題なくタイピングが行えるかを確認する。

タッチタイピングは問題なく行える、がキーボードを視界に入れると操作がおぼつかなくなる。キーボードは見ないことにする。

続いてテキストエディタを起動し、噂に聞いていたFnレイヤーの操作感を確認する。小指が無能なためホームポジションを崩さずのFnキー押下が難しい。矢印キーの呼び出しとスクロール以外はMacOS側のCtrl系ショートカットを併用したほうがスムーズそうだ。

次にMac用キーアサイン変更ツールである「Karabiner」を起動する。あれこれキーアサインを変更してみたが……Hybridで主流となっている「左Fnの追加」を行ったところ、HHKB特有のレイヤーを呼び出せる右Fnの挙動は、追加した左Fnでは使用できないことが判明する。また、Fnレイヤーのアサイン変更は純正キーアサイン変更ツール以外では現実的ではないと判断する。開封後30分で中古購入を後悔し始めたが、幸い搭載されているFnレイヤーに不満は感じられないため忘れることにする。

結果的に殆どアサインに変更はなく、「右OptionをPowerキーに変更」「右Commandの単押しで日英をトグル変更」のみに収まった。Altキーが存在しないため、左右Commandでの言語切替ではCommandキーを用いたショートカットが使用できなくなるからだ。






◯使用感編

導入にひとクセもふたクセもあったHHKBだが、導入から10日程度経過した現時点での寸評を記載してみようと思う。
以下内容はUS配列のものとなるため、矢印キーが設置されているJIS配列とは使用感が異なることを考慮頂きたい。



・打鍵感

Youtubeでやたら「ああ、快感」と広告が打たれているHHKBであるが、広告内で使用されているモデルはType-Sとなる。

結論から言えば、打鍵感についてはRealforceの方が明確に良い。というのも、HHKBは押下時の負荷が明確にRealforceより重いのだ。

※2022/12/21 追記
さらに1週間ほど使用してみたところ、気づけば打鍵時の重みが殆ど気にならなくなり、Realforce(45g)を使用していたときと変わらぬ操作感に近づいてきた。HHKBに特段の重さを感じていたのは本当に身も蓋もないが「慣れ」だったのかもしれない。
その上でRealforceとの差異を挙げるとすれば、底面に金属板が設置されているか否かによる打鍵感の違いは明確に感じられるだろう。
ポータビリティを重視するHHKBは底面ボード(金属板など)が内蔵されていない。そのため柔らかく指に優しい打鍵感となっている一方、底突き時のキレや反発が少ないため打鍵速度は低下する。
筆者はこの柔らかな打鍵感にすっかり慣れてしまったが、以下に記すようにタイピング速度自体はボード入りの他モデルに比べ明らかに低下しているため、あなたが既にボード入りキーボードに慣れ親しんでいる場合はやはり実店舗にてHHKBの打鍵感を確かめるべきである。


キーの荷重についてはHHKBが45g、Realforceが45gまたは変荷重(詳細は以下画像)、またCherry MXスイッチの赤リニア軸も45gとなっているが、Realforceや赤リニア軸を基準として考えれば明らかに55gくらいの荷重に感じられる。寿司打や10Fastfingerにて1週間ほどスコアを比較したところ入力速度の影響か2割ほどスコアが低い結果となった。

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Realforceの変荷重。小指部分だけ軽い。
これがまた良いわけです。HHKBには無いよ


Realforceと同一のスイッチを仕入れているHHKBとなれば入力感はRealforce由来の軽やかかつ堅実なものになると想像していたが、HHKBは軽やかさを多少犠牲にしより堅く、デジタルで、誤入力を防ぐ方向に傾いているように思える。
打鍵感自体は上品な湿気を帯びた「快感」であることに間違いはなく、ステーショナリー的価値を存分に感じられる高級感溢れるものとなっているのだが、高速入力に重きを置きたい場合はこのデジタル感が障害となる可能性があるため、実際に触ったうえでRealforceとの打鍵感を比較することを強く推奨する。
快適な打鍵自体に影響を及ぼすような負荷というわけではなく、あくまで高速性を求める場合にRealforceとの間に差異が発生する、といった具合である。



・打鍵音

※ 2022/12/15 追記
HHKBは筐体が樹脂、且つ鉄板のようなベースプレートが設置されていないため、使用している机によっては押下時の振動がタイピング音を覆い隠してしまう場合がある。
試しに筐体下にタオルを敷いてみたところ制振により見事な打鍵音を抽出することができた。
製造元であるPFUよりHHKB専用の制振マットが発売されている。3000円程なので、試しに筐体下にタオルを敷いてみて打鍵音の改善が見られるようであれば制振マットの導入に一定の効果が見られると思われる。



非静音モデルのRealforceがキャラキャラ、チャカチャカだとすれば、Type-SのHHKBはコホコホ、カホカホといった具合に籠もり、乾燥感、擦れ感の強さが特徴
となる。静音性は抜群で、抜ける高音が一切発生しないため実に上品な音色だ。非静音モデルのHHKBも触ってみたが、そちらはバックスプリング形式に近いような、カチャカチャ、バインバインといったバネ感強めの音色に感じられ、飴玉を転がすようなRealforce非静音モデルのきらびやかさとはまた異なる趣となっている。
派手な音色に打鍵の楽しみを見出すのであれば非静音Realforce一択に思えるが、実用性や抑圧的な上品さを求めるのであればType-Sは素晴らしい選択肢に思える。
また静音性を突き詰めたいのであれば、これまたRealforceの静音モデルのほうが圧倒的に静音性が高い。キーの底突き時にグッと強めのゴム感を感じるものの、Realforce静音モデルはマジで音がしない。

Type-Sの乾いた音色と非静音モデルの機械的な音色は正直好みというほかない。Youtubeで「モデル名+打鍵音 (またはSound test)」と入力すれば無限にリファレンス動画が引っ掛かるので、是非検索してみてほしい。



・使用感

入力効率特化のコンセプトは伊達ではないなと言う印象。
上述の通りHHKBはホームポジションを極力崩さなくて済むレイアウトとなっており、60キー配列において削減された諸機能はFnキー押下でのレイヤー切り替えで行うことになるが、そこにMacOSに搭載のCtrlキーショートカットやコードエディタ用のショートカットを併用することで実に効率的な操作がアプリを跨いで実現可能となっている。マウスを保持する機会が大幅に減ったのは想像以上の驚きだったが、それは間違いなく効率的なレイアウトが生み出した恩恵であろうと思う(拡散されたレイアウトではショートカットをあまり用いる気が起きない)。
以下は有用なショートカット。


●HHKB固有のショートカット(MacOS)

・Fn + [:↑
・Fn + ;:→
・Fn + [']:←
・Fn + /:↓
・Fn + L:Pageup
・Fn + [.]:Pagedown
・Fn + K:Home
・Fn + [,]:End
・Fn + A:音量ー
・Fn + S:音量+
・Fn + D:ミュート
・Fn + Backspace:Delete

●MacOS搭載のCtrlショートカット(一部)

・Ctrl + A:行または段落の先頭に移動
・Ctrl + E:行または段落の末尾に移動
・Ctrl + F:1文字分進む
・Ctrl + B:1文字分戻る
・Ctrl + P:1行上に移動
・Ctrl + N:1行下に移動
・Ctrl + O:挿入箇所のあとに1行挿入
・Ctrl + T:挿入箇所の右側の文字と左側の文字を置換
・Ctrl + H:Backspace
・Ctrl + D:Delete

●VSCodeでのショートカット(一部)

・Opton + Delete:1単語を削除
・Command + Delete:左側すべてを削除
・Command + Shift + K:行を削除
・Command + X:切り取り
・Option + ↓:行を下へ移動
・Option + ↑:行を上へ移動
・Command + Enter:行を下へ挿入
・Command + Shift + Enter:行を上へ挿入
・Command + ]:行のインデント
・Command + [:行のインデント削除
・Home:行の先頭へ移動
・End:行の末尾へ移動
・Command + Home:先頭へ移動
・Command + End:末尾へ移動
・Command + Pageup:上にスクロール
・Command + Pagedown:下にスクロール
・Command + KまたはC:行コメントの追加
・Command + KまたはU:行コメントの削除
・F8:次のエラーへ移動
・Shift + F8:前のエラーへ移動
・Ctrl + Shift + ↓:行を下へコピー
・Ctrl + Shift + ↑:行を上へコピー
・Option + Command + [:折りたたみ
・Option + Command + ]:展開





◯つまるところHHKBは……

・奇抜なレイアウトも意外とすぐ慣れる
・無刻印モデルでも意外とすぐ慣れる
・Fnレイヤー(とアサイン変更ツール)に慣れてしまうともう後に戻れない
・MacであれはCtrl系ショートカットとの併用で恐ろしい効率を叩き出せる
でも数字キーだけはマジでわかんない
・バックスラッシュどこ?
バックスペースの位置がマジでキモい。永遠に慣れない気がする
・静音が不要であれば打鍵感はRealforceの方が多分一般受けする
・ぶっちぎりの静音性が欲しいならRealforceの静音モデルのほうが強い
・唯一無二の合理的操作性が欲しいならHHKB一択
・マジで故障しないので迷ったら中古で問題ない
・でもどうにかして現行のHybridを購入したほうがいい。マジで。





◯まとめ

社会においてあまりにも使用頻度が高くなったPCキーボードについて、これらをステーショナリーと捉え文具への投資と同様のカテゴリと捉える概念が広がりつつある今、あなたがキーボードへ投資するとすればどんな動機が考えられるだろうか。

「安物からは得られない気持ち良い打鍵感が欲しい」ならば、HHKBだけではなく東プレ社のRealforceや手軽なメカニカルキーボード、または簡易キットの普及により参入ハードルが著しく下がった自作キーボードなど競合が多数存在すると言える。
静電容量無接点方式を用いるHHKBではあるが、当然絶対的至高というわけではない。純粋な入力の快感についてはRealforceシリーズやカスタム自由度の高いメカニカルに大きく旗が上がる可能性も十分にあるというのが本音だ。打鍵感重視のあなたは是非店頭で多用なモデルを手に取り、じっくりと吟味してもらいたい。

「一定以上の打鍵感と静音性を両立したい」のであれば、HHKB Type-Sは優先すべき選択肢となるだろう。極端な静音性が欲しいのであればRealforceの静音モデルやCherry MXスイッチのピンク軸など、競合も併せて検討してみるとよい。

ではHHKBが最たる選択肢となる動機は何だろうか。それはズバリ「操作効率の向上」その一点に絞られると思う。
既製品市場では極端に省スペースなレイアウト、ホームポジションを崩さず操作できる独自のFnレイヤー、そしてレイヤーを含め自在に構築が行えるキーアサインの自由度、そして静電容量無接点方式が生み出す確実な入力結果、と業務効率上昇の観点においてはブッチギリの訴求性を誇るのがHHKBであるという結論だ。
日常的にPCやタブレットを多用し、より操作にかかる手間を省きたい、楽にズバズバ操作できるようになりたいといった需要をお持ちならば、こればっかりは実際に環境に投入してみないと言葉では伝えづらいのだが、間違いなくあなたの懐にズドンと入り込む魅力を備えているだろう。
真に効率を求めるのであれば物理的レイアウトからキーマップまで全て自由に構築できる自作キーボードが無敵なのだが、完全自作が視野に入っている方はそもそもこの記事をこの地点まで読みはしないと思うので除外する。

毎日毎日散々嫌というほど触れるキーボードに対して投資を行わないのは実に勿体無い。「つい触れたくなるキーボード」が手元に現れる、その効果はあなたにとってきっと想像以上のエンパワーメントとなるに違いない。
「作業」を「贅沢」に変えるため、あなたの机にHHKBは如何だろうか。




◯書いた人
・Twitter:@dekkek
・instagram:@dekkekk

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