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Conversation

野田佳彦がH12からH21のあいだに四回の衆議院選で勝共連合(統一教会)の支援を受け、H13には勝共連合が作った野田後援会の会合に出席していたという話、これまで統一教会と接点があった自民党議員を非難して辞任を迫っていたことを思い出すなら、野田自身が自分の主張に従って辞任しないと筋が通りません。 後援会「佳勝会」の会合に出席している写真が出てきたし、野田自身も写っているのは自分だと認めているので、事実に間違いないし、統一教会から選挙支援を受けていたことを示す当時の新聞記事も出てきました。 ところで、一般論として、日本では宗教団体が政治活動をすることは禁じられていないので、どの宗教団体が誰を応援しようと構いません。勝共連合は宗教団体ではなく政治団体ですが、統一教会と一体なんで、この文脈で論じるのはいいと思います。とにかく、政治家ら宗教団体の支援を受けても構わない。 とはいえ、社会問題を起こした宗教団体の支援を受けるのは道義的にどうなのか、という問題はあります。統一教会は霊感商法や偽装勧誘で社会的問題になった団体だから、支援を受ける政治家に道義的責任はあると思います。 ただ、この道義的責任は議員辞職を迫られるほどの責任ではないでしょう。選挙で選ばれた議員ですから、違法行為でもない限り、辞職を求めるのは難しい。選挙で有権者の審判を仰ぐのが正しい道のはずです。 歴史を振り返ると、統一教会は1958年に日本に入ってきて、64年に宗教法人に認可されました。政治との関わりを深めたのは、1968年の勝共連合設立です。勝共連合は韓国と日本で活動する政治団体で、東西冷戦を背景に反共産主義を掲げて統一教会の教祖である文鮮明が創設、日本での初代代表は日本の統一教会の初代代表だった久保木修己でした。形式的には統一教会と別組織ですが、明らかに統一教会と一体です。 日本での勝共連合の創設には反共思想に共鳴する児玉誉士夫のような右翼のいわゆるフィクサーや岸信介をはじめとする保守政治家が協力しました。つまり、勝共連合は最初から日本の右翼や保守政治家と繋がっていました。そのためでしょう、勝共連合は韓国よりも日本での方がはるかに活発に活動しました。勝共連合と対立していたのは、もちろん日本共産党です。 日本の保守政治家と統一教会の関係は宗教的なものではなく、勝共連合を通じた反共思想によるものです。従って、信者になった保守政治家は仮にいたとしてもごく少数でしょう。統一教会は信者を使って、保守政治家の選挙支援などをしました。もちろん自民党政治家が多かったのですが、他党政治家もいました。今回選挙支援が発覚した野田佳彦も保守政治家なので、支援を受けても不思議ではありません。 統一教会が霊感商法や大学での偽装勧誘で社会問題として知られるようになったのは、1986年に筑紫哲也が編集長だった『朝日ジャーナル』が批判キャンペーンを展開してからです。これは筑紫の功績のひとつです。その後、92年に桜田淳子が合同結婚式に参加して大きな注目を集めました。マインドコントロールという言葉も広まりました。95年にカルト問題の主軸はオウム真理教に移り、統一教会問題は社会的には下火になりますが、偽装勧誘や霊感商法は続きました。野田が統一教会の支援を受けた時期には統一教会は悪質カルトとして十分に知られていました。 野党議員で自民党と統一教会の関係を長く追及してきたのは、長妻昭や有田芳生など少数に留まります。カルト問題を深刻に捉えていた政治家は少なかったわけです。野田佳彦も統一教会問題を特に追及したりはしませんでした。野党が追及を始めたのは2022年7月の安倍晋三暗殺事件以後です。事件の一週間後には立憲民主党が統一教会問題についての調査対策本部を設置しました。 この時に立憲民主党は所属議員に対して、過去に統一教会との接点があったかをアンケート調査しました。15人が接点ありと回答しましたが(調査時点では14ですが、のちにひとり追加)、接点といっても統一教会の『世界日報』のインタビューに答えたり、お付き合い程度の会合に出たことがある程度で、咎め立てされるほどの関係はありません。 ところが、この15人に野田は含まれていません。接点なしと回答したのでしょう。同年に共同通信が全国会議員を対象に統一教会との関わりに関するアンケートを行なっており、野田は一切の関係を否定しています。選挙の支援も受けたことがないし、集会にも出席していないという回答が公開されています。 これは大問題です。野田は後援会まで作ってもらって選挙支援を受けたのだから、少なくともその期間は深い関係があったわけで。野田が自党の調査にすら嘘の回答をしていたのは、さすがに言い訳のしようがないでしょう。これはもうだめなのではないですか。 2022年以降、立憲民主党は自民党への追及を強め、統一教会と関係した閣僚の辞任を要求しました。特に選挙支援を受けていた盛山正仁文科相や後援会に統一教会が関わっていた山際大志郎経済再生相への追及は厳しく、野田は山際大臣の「後出しジャンケンで小出しに事実を認める姿勢」を強く批判し、辞任するまで追及を続けました。 この間の野田発言はいろいろあるのですが、接点があったこと自体が「悪」であるという主張や、教団関係者だとは知らなかったという自民党議員の弁明に対しては、「知らなかった」では済まされないと主張してきたことは重要なポイントになります。 野田自身によるこれらの自民党議員批判が、ことごとく野田自身に跳ね返っているのが今回の問題です。一般論として、統一教会と関係があったことは議員辞職を求める理由にはなりません。しかし、それを強く求めてきたのが他ならぬ野田自身だから、野田は自分自身の主張に従って、辞任するしかないと思います。 2022年10月25日に野田は元首相として国会で安倍晋三追悼演説を行ないました。この演説は、名演説とされ、野田の「人間としての評価」を大きく高めました。しかし、この時点で自身が統一教会の支援を受けていた事実を隠していたとわかってみると、この追悼演説も見え方が大きく変わります。いったい野田はどういうつもりでこの演説をしたのか。僕はとても恐ろしいと感じています。