「この10年で、構成作家が半数近く入れ替わり」…元スタッフが語る「ナイトスクープ問題」の深層 「番組への愛情ある局員も現場を去っていった」
事実上の謝罪
が、潮目が変わったのは、翌26日のこと。 再び番組の公式サイトが更新され、放送で映し出された内容の一部は、日常の家族の様子とは違う「番組の編集・構成上の演出として表現したもの」であると公表したのである。具体的には、番組の最後の部分、せいやが任務を終えて家を出た後、母が長男に「米炊いて、7合」と伝える場面である。これは「ヤングケアラー」の日常が続くことを視聴者に印象付けたシーンだが、これが「演出」だったという。また、長男からの依頼文も「取材・制作の過程において、依頼原文の主旨をもとに番組側とご家族で内容を確認・相談したうえで、放送用に構成・改稿したもの」として、実際のものとは異なることを明かした。そして、「取材対象者の方々に対して実態とは異なる受け止めが生じている状況について、番組として深く反省しております」と、事実上の謝罪をしたのである。
数えきれないほどの話題作
「ナイトスクープ」は1988年に始まった長寿番組。関東キー局では見られないが、その知名度は高い。「道頓堀に沈んだカーネル・サンダースを救え!」や「全国アホ・バカ分布図」、「爆発卵」、「レイテ島からのハガキ」、「10年以上口をきいていない父と母」など数えきれない話題作を生み出し、時に社会問題も世に提起してきた。初代局長は上岡龍太郎、二代目が西田敏行、三代目が松本人志と超大物ばかり。その関西を代表するバラエティに何が起こっているのか。長年制作スタッフとして関わっていた元番組関係者が口を開いた。
毎週500〜600通の依頼ネタが
そもそも、番組はどのように作られているのか。 「スタッフは、ベテランも若手も常に新しい見せ方、おもしろい演出を考え、日々制作者としてギリギリのところで戦っています。立ち上げメンバーの一人でもある60歳超のディレクターも、いまなお現役でVTRを作り続けている。毎週3本放送するVTRネタは、すべて番組宛に届く依頼文の中から選びます。1週間に送られてくる約500〜600通の依頼すべてに目を通しますが、採用に至るレベルにあるのは5〜6通程度。ロケ当日の朝までネタが決まらないこともしばしばです。そういう時は“通天閣の上から愛を叫ぶ”といった街頭インタビューなどで埋め合わせをしています」 「週に1回、全制作スタッフが揃う全体会議が開かれますが、そこで1つ1つのVTRの内容まで詳しく話し合われることは少ない。ほとんどは各VTRの担当ディレクターと構成作家が集まる“ネタ会”(分科会)で仕上げられます。これはネタが決まるまで毎日開かれる。過去にオンエアしたものと類似の依頼ははねられ、“有名人と会いたい”とか“サプライズを手伝ってほしい”などの依頼も不採用。依頼者がどこにも頼めず困っている、他の番組では到底扱えないというようなものしか残りません。ようやく採用できるネタと出会うと、時間と予算に乏しいなかで依頼を解決しながらも、いかにテレビ番組としておもしろく、新しい見せ方でVTRを仕上げていくかをギリギリまで詰めていく。これは38年間、変わらないルーティンです」