「この10年で、構成作家が半数近く入れ替わり」…元スタッフが語る「ナイトスクープ問題」の深層 「番組への愛情ある局員も現場を去っていった」
特別な愛情が失われ…
メンバーが入れ替わったのは、現場だけではない。 「番組を統括し、最終的なプレビューチェックや放送前の最終編集をする局のプロデューサーやチーフディレクターもここ数年で替わっています。ひと昔前までは、ナイトスクープで何年もAD経験を積み、ディレクターデビューした後もベテランスタッフにボロカスに言われながら『ナイトスクープスピリッツ』を叩きこまれて番組を守っていたスタッフがたくさん参加していました。しかし近年は、局の方針もあって、局員はあまり制作にどっぷりと浸からないようになった。今ではナイトスクープの制作経験のない子会社から出向してきたプロデューサーが、エンドロールに名を連ねることも。番組の最終責任を負う局側に、ナイトスクープに対する特別な愛情が失われ、依頼文の原文と改稿の乖離を見抜くスキルもなくなってきました。それが今回のトラブルの一因では」
おもしろさだけが優先
そのうえで、元スタッフはABCテレビに提言する。 「ナイトスクープには、ナイトスクープにしか解決できない家庭の問題や社会の問題に取り組み、ここに出演してこそ初めて輝ける人に光をあててきた歴史がある。行政やそれこそAIでは解決できない問題を解決する力があります。それは、この番組がタレントである探偵が主役なのではなく、素人さんである依頼者が第一という番組作りを一貫して続けてきたからです。放送が終わったあとも、テレビとは関係のない生活を営み続ける依頼者の、“その後の一生”も考えて向き合ってきた。ナイトスクープはただのバラエティ番組ではなく、ナイトスクープという唯一無二の番組なのだと思います。それが今、数ある“ふつうの”バラエティ番組と同じように、おもしろさだけが優先される作り方になりつつあるのではないでしょうか」 「今回の問題は、担当ディレクターにかかる長年のプレッシャーと感覚麻痺、ブレーキ役となる構成作家陣の人選の偏り、ナイトスクープスピリッツを失った局員……すべては番組作りに関わる“人”への投資と、ケアを怠った結果だと思います。今回のVTRを担当したディレクターも人間。時にはミスも犯す。ただ、数々の話題作を世に送り出し、依頼者を救い、時に社会貢献もしてきたはずです。ABCには、今回の問題で、外部のディレクターやスタッフのトカゲのしっぽ切りはしないで欲しい。ただただ、健全なものづくりの現場への投資を続けて欲しいと願っています」 1月30日、ABCテレビ社長の定例会見が行われた。今村俊昭社長は「こうした事態を招いたのは、編集・構成を行った番組側に起因するもので、当社として深く反省しています」と謝罪した。今後、番組の立て直しにどう向き合っていくのかが注目される。 関連記事「大炎上『探偵! ナイトスクープ』に“視聴者は2度、裏切られたと感じている”…ABCテレビが“演出”を釈明も炎上が収まらない『3つの理由』を識者が指摘」では、謝罪後もABCテレビに批判が収まらない理由を識者が分析している。視聴者はなぜ番組に怒りを感じているのか、その原因とは。 デイリー新潮編集部
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