日本語研究にはさまざまな分野がありますが、特に「語用論」(プラグマティックス)という方法論を中心に研究しています。これは音声や語彙や文法を、言葉が実際に使われた場面や状況の中で問題にしていくという研究姿勢です。語用論では、具体的な「文脈」(コンテクスト)の中で私たちの言葉がどのような働きをしているのかということに主眼を置きます。実際に言葉が使用される場面では、時として文字通りの意味ではなく、裏の意味や付随的な意味が伝達されることがあります。例えば、皮肉やユーモアなどがそうですね。夏目漱石は“I love you.”の訳文として「われ汝を愛す」ではなく、「月がきれいですね」とでも訳すのがいいと言ったそうですが、この事例なども語用論と深く関わっています。