【 YOSHIKI × 梶裕貴 AI対談 】(4/3)
梶「海外で舞台挨拶をさせていただく機会もあるんですけど、そういう場所で、自分の声で伝えられる未来があるかもしれないな、とか。吹き替えに関しても…まあ、これはデリケートな部分で、僕自身も、まだそこに対してイエスと言えない部分もあるんですけれど、技術としては、現地の方に、僕の声のまま、その方の母国語で作品を楽しんでいただくっていう未来もできるんですよ。ただ難しいのが、今の段階で、日本語オリジナル版をご覧くださって、その日本語の響きをふくめて愛してくれている、それもやっぱり大切にしたいですし、同時に役者としてのプライドととしては……AIのプロデュースをしておいてアレなんですけど、AIの表現なんかに負けてられない! という気持ちがあるからこそ、吹き替えを、お芝居という意味でAIに任せてしまっていいのか? というのが、技術的に可能かというのとはまた別のところで、ハートの部分で考えていかなきゃいけないなと思っていますね」
YOSHIKI「まさしく。それ素晴らしいな。梶さんは、自分で色々と考えて、危機感を感じつつもプロジェクトにAIを使って前進してるじゃないですか。でも、他のボイスアクターの方々は世界中にいるじゃないですか? 皆さんは今どのように思われてるんですかね?」
梶「日本の声優の中でも、AIに対する考え方っていうのは様々で。どちらかというと、やっぱりネガティブなイメージを持たれている方のほうが多い印象ですね。でも、それはもちろん僕もそうですが、そもそもが無断生成に対してのNO、それは僕も断固としてNOと変わらない部分で
ありつつ。やはりそこには、知らない、わからない、というのがある気がするんですよね。なのでAIに対する知識っていうのを学ぶ機会だったり、何が良くて何がダメなのかっていうのを伝えていかなきゃいけないと思うんです。(今お話しているような)こういうテーマを深く掘り下げるってなかなかないと思うんですよ。専門的なチャンネルなら別ですが。でも、そういったチャンネルですと、もっとアグレッシブな方のAI……もっともっと使っていきましょうよ、という方ばかりに偏ってしまっているような気がするので、だからこそ自分たちクリエイター自身が、今どう考えて、どうしていったらいいのかということを、さあ、みんなで考えましょう、と伝えていく機会が大事かなと思いますね」
YOSHIKI「昔から言っているんですが、AIのテクノロジーを作る方たちと芸術家との話し合いが必要ですよね。世界的に見るとアメリカっていうのは今、(AIに関して)無法地帯なんですよ。とりあえずいってしまえ、という。ヨーロッパというのは、決して悪い意味じゃなく、どちらかというと拒絶感を示している。データのプライバシーというのをヨーロッパはすごく重視されているので。そのあたりをどのように整備していくのかが課題かなと」
梶「そのアグレッシブなアメリカも、地域によっては逆に法律(エルビス法)が生まれたり、というのもあるので、日本も、結局は我々、使う側(作る側)の人間、そして被害を受けている人間たちが、ちゃんと声を上げて国に届けていかないと変わっていかない部分もあるかなと思うので。現に、議員の方とお話する機会もいただいたりはしていて。何か少しずつでも変えていけたらなとは思っています」
YOSHIKI「もうひとつややこしいのが、AIにしても、僕らの持っている著作物に関しても、そこに、さらに今度はビジネスっていうものが入ってくるじゃないですか。資本主義っていうものが入ってきて、それで、じゃあお金を生めば良いのかっていう、そこもまた複雑な要素のひとつだと思うんですよね。まず人間とは何であるか。全てAIによって変わってしまったのに、僕らは何をすればいいんだろうっていう。人間の生きる意味とは?」