Vol.562「中道とは何か?」
(2026.1.21)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…前回の選挙は石破政権下の2024年10月28日だったから、まだ1年2か月程度しか経っていないのに、もう解散・総選挙だ。もちろん理由は、高市早苗が内閣支持率の高い今なら勝てる、今しか勝てないと判断したという、ただそれだけだ。だが、そんな高市に早くも誤算が生じた。立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」の電光石火の結成である。現在、中道改革連合に対して凄まじいバッシングが行われているが、これは逆に、その衝撃や脅威の大きさを如実に表している。そしてその罵詈雑言の中で、「中道」とは何だ?という難癖にも等しい疑問がぶつけられている。中道とは何か?「中道」を主張することは、決して「無難」なことなどではなく、時に命懸けの覚悟が要るものなのだ!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…昨年末、韓国で政治資金法違反や政界工作をめぐる不正疑惑の疑いで統一協会の韓鶴子総裁が逮捕されたが、その捜査の過程で、協会内部で作成されていた「TM特別報告書」(TM=True Mother:韓鶴子のこと)と呼ばれる極秘文書が見つかり、「週刊文春」と一部ジャーナリストがその検証を進めている。今の時点でも、290人もの自民党議員が協会によって支援されていたこと、協会から強く期待されて登場した自民党総裁こそが高市早苗だったことなど、おぞましい記載のオンパレードだ。日本を内部から破壊するために、統一協会が長い年月をかけて自民党を侵食してきた、その恐るべき実態とは!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…高市政権が外国人政策を厳しくする方向に向かっていることをどう考える?「男系カルトも抱きしめて」なんて事を言ったから、去年は運勢が悪かったのでは?高市本人の高支持率とは裏腹に自民党は支持が高くなく、政権運営は国民民主党の動きによる、という見方をどう見る?『戦争論』1~3巻のうち、読者に1番熟読してもらいたいのは何巻?ココ最近問題になっている生成AIをどう考える?心情的には、佐幕派か倒幕派のどちらが好き?立憲・公明の新党は信頼できる?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第591回「中道とは何か?」
前回の選挙は石破政権下の2024年10月28日だったから、まだ1年2か月程度しか経っていないのに、もう解散・総選挙だ。
もちろん理由は、高市早苗が内閣支持率の高い今なら勝てる、今しか勝てないと判断したという、ただそれだけだ。
時間が経てば経つほど、高市には不利になる。
統一協会との密接な関係を週刊文春が毎週報じているし、裏金の温床である企業・団体献金の実態もしんぶん赤旗が報じている。この先、どんなスキャンダルが出てくるかわかったものではない。
しかも円安にも物価高にも何の対策も打てないとなれば、支持率が下がっていくのは避けられない。それだったら野党の選挙準備が間に合わないうちに、さっさと解散総選挙に持ち込んだ方がいいという、それだけのことだ。
ただ自分の政権を延命させることだけが目的。そのためなら、前回の選挙から1年2か月しか経っていなくても、1回の選挙で600億円もの税金が投じられても、政治空白が生じて新年度予算が成立しなくても、そんなことはどうでもいいのだ。
しかも高市はこの決定を事前に、自身の後ろ盾である麻生太郎を始め自民党幹部にも伝えていなかったというから、これはもはや「党利党略」ですらない。全くの「私利私欲」なのである。
だが、そんな高市に早くも誤算が生じた。立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」の電光石火の結成である。
自民党内には、公明党とは26年にもわたって連立を組んできたのだから、一度は別れてもまた出戻って来る可能性もあるという読みもあり、地方レベルでは、まだ公明党支持者が自民党を支援してくれるはずという期待もあったらしい。
確かに維新との連立を続けるよりは、公明との再連立の方がマシだとも思っていたのだろうが、そんなムシのいいシナリオは一夜にして完全に消滅した。これは大変な衝撃だったことだろう。
現在、中道改革連合に対して凄まじいバッシングが行われているが、これは逆に、その衝撃や脅威の大きさを如実に表している。
何の脅威もないのなら、ここまで必死にバッシングなんかしない。立民と公明の新党結成は政権交代の可能性まで含んでいるから、皇統の男系固執ネトウヨ、統一協会、サナ活ファンらが狂乱の罵詈雑言をぶつけまくるという状況が生じているわけである。
そしてその罵詈雑言の中で、「中道」とは何だ?という難癖にも等しい疑問がぶつけられている。
だが、そんなことはここで厳密に定義する必要などない。極右でも極左でもなければ「中道」なのだ。高市政権は完全に「極右」になってしまっているから、それよりも左側に距離を取っていれば「中道」だ。その程度の感覚でいいのである。
ただ、「その程度の感覚」とはいっても、それがそんなに簡単なことではなかったりもする。
なにしろ、昨夏あれだけ「中道」「中道」と言いまくっていた山尾志桜里が、それから半年も経たないうちに高市早苗推しの極右に転落してしまって、しかも本人にはその自覚すらなく、まだ自分が「中道」の元祖であるかのように思い込んでいて、中道改革連合に対して「『中道』という理念を政局の消費ワードにしないでほしい」などと、上から目線の物言いをしているくらいなのだから。
わしが「中道」と聞いてまず連想するのは、『ゴーマニズム宣言SPECIAL・大東亜論』の主人公として描いた頭山満の、次の言葉である。
「世の中は寄合船のようなものだ。右側に綺麗な花が咲いていれば皆んなが右に寄って行ってしまう。ただ、それでは舟はひっくり返ってしまう。
右に花が咲いていたら、左に身を寄せる。私はそんな役割なのだ」
ところがこれを言った頭山満という人物は、戦後は「右翼の巨魁」というイメージを植えつけられ、タブー視され、長らく忘れられた存在と化していた。
そのようなイメージを作ったのはGHQの占領政策だった。
1946年1月4日、GHQは日本政府に対して「戦争指導者の公職追放」と「超国家主義(極端な国家主義)諸団体の結社・活動禁止」という、2つの重大指令を下した。
そして「超国家主義団体」、すなわち極右団体として解散命令を下された27の団体の中に、頭山満らが結成した玄洋社の名があったのである。
GHQが玄洋社に解散指令を下す際に決定的な影響力を及ぼしたのは、GHQの調査分析課長を務めたカナダ人外交官・歴史学者のハーバート・ノーマンだった。
ノーマンは玄洋社を「日本帝国主義の前衛」「日本の国家主義と帝国主義のうちでも最も気違いじみた一派」と記し、頭山を「政権を取る前のヒトラーと同じ」とまで評していた。
それは全く実態とはかけ離れた、悪意に満ちた分析だったが、これを鵜呑みにしたGHQは玄洋社を極右認定して解散指定し、それより2年前に89歳で世を去っていた頭山にも「極右」のレッテルが貼られてしまったのである。
ちなみに、玄洋社や頭山を「極右」と見なしたノーマンは実は共産主義者であり、後に「赤狩り」旋風の中で「ソ連のスパイ」との嫌疑をかけられ、自殺するという末路をたどっている。
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小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


関係のない話ですいませんw 戦争における「降伏」手段は、日米戦争を境に消滅してしまったと思います。 有条件降伏を無条件降伏にし、憲法を勝手に変え、事実無根の慰安婦問題から南京大虐殺まで、降伏した国をやりたい放題。 降伏という意味は、「相手国の領土を無傷で奪うための戦略行為」に変…
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(ちょっと暴走しますが)山岸凉子先生の漫画に、「瑠璃の爪」という姉妹の愛憎を描いた作があるので、興味のあるかたは、目を通してみて下さい。 メーテルリンクの「青い鳥」で、家庭の中にいたという幸せの青い鳥も、最後に(再度)逃げ出してしまうわけで、大人になったら、今までの家族とは別の…
私は山尾志桜里さんの「全部抱きしめて」は、意見の同意者だけを求めるのは良くない、人には悪いところもあればいいところもある。全部がおなじ考えの人など、存在しない。意見を無理矢理押しつけることなく、とりあえずは、その人の良い点を見つけ、評価してあげれば、(場合によっては)向こうの方…