理屈と論理が感情と反知性に呑まれる国
高市総理就任から二ヶ月。
この国は、順序立てて考えること、理屈や論理で物事を判断することを、すっかり忘れてしまったのだろうか。猛烈な勢いで、感情と反知性に飲み込まれていく様を、日々目の当たりにしている。
この記事のポイント(読む時間がない方向け)
(※この記事は、2025年12月25日にUPした記事です。)
高市政権発足以降、日本では政策や事実よりも「分かりやすさ」「気持ちよさ」が優先され、政治判断が感情化している
支持率や世論調査は民意を反映するものではなく、「勝ち馬感」を生み出し、空気そのものを生成する装置になっている
政治は「何が行われたか」ではなく、「誰がやったか」「誰を推すか」で評価される“推し政治”へと変質している
ナラティブ(物語)とヘイト(敵設定)を組み合わせた政治マーケティングが、思考停止と自己正当化を加速させている
ナチ党の台頭など歴史的事例と照らしても、現在の日本社会は極めて危うい空気に近づいている
それでも空気は固定されたものではなく、「おかしい」と言い続けることで引き戻す余地は残されている
ここから先は、
「なぜ今こんな空気が生まれているのか」
「それは本当に“民意”なのか」
「私たちは何を見落としているのか」
を、円安、外交、安保、世論調査、歴史的事例を一つひとつ積み上げながら整理していく。
長い文章だが、感情論でも陰謀論でもなく。今この国で起きていることを、理屈と論理で確認するため、目を通していただけると幸いである。
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以下、本文です。
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1、働けば働くほど国難を招く総理
しかし、建国以来二か月という短期間に、ここまで国民からの批判が集中した首相がいただろうか。
彼女の就任以降、円安が止まらない。言わなくてもいいことは必要以上に喋るが、追及されると「差し控える」。喋ることなすこと、すべてが裏目に出る。まさに舌禍である。いっそ何も喋らないでほしい。働いて、働いて、働くそうだが、できればもうこれ以上働かないでいただきたい。
高市政権発足前後の時期、円相場は150円の節目を超え、一時155円〜157円台まで下落した。アベノミクスを継承する姿勢を明確にしている彼女の政治スタンスが、市場に円安基調の継続を意識させた可能性は否定できない。
円安は一部輸出企業には都合がいいが、エネルギー・食料・原材料を輸入に依存する日本では、物価高として国民生活を直撃する。文字通り、そのツケを払わされるのは、常に国民だ。
米を増産しようとした石破元総理は降ろされ、高市総理は事実上の減反政策を法定化した。そのうえで、東アジアの緊張を無駄に煽る発言を繰り返している。
だが現実には、事が起これば石油も取れず、食料自給率も低い日本は一瞬で詰む。戦闘どころか、飯すら維持できない。先の大戦では兵站が維持できず前線で餓死者がゴロゴロ出た。マジで、なぜ支持されているのか訳が分からない。
石破前首相は「どんなに立派な飛行機や戦車持ったってね、食料自給率38%ですよ」と言う。そう、弾は食えないのだ。逆に、高市総理は、いくさに備えよ!とやたら煽る割に、米は作るなという。高市政権は、兵糧攻めを知らないらしい。
そもそも、彼女がちらつかせている「戦争」や「抑止力」なるものも、実態はアメリカの核の傘頼みである。
ここで必ず出てくる反論がある。
「日米安保があるではないか」というものだ。
だが、条約があるから絶対に守られる、などという保証はどこにもない。先の大戦末期、日本はソ連と日ソ不可侵条約を結んでいた。にもかかわらず、ソ連はこれを一方的に破棄し、対日参戦した。条約は、国際社会において「守られることもある」だけのものだ。情勢が変われば、簡単に反故にされる。
日米安保を否定するつもりはない。だが、それを絶対的な安全保障の保証だと信じ込むのは、あまりにも幼稚だ。
ましてや、自国で戦争を遂行する能力も覚悟もない国が、「同盟国が守ってくれるはずだ」という前提で、威勢のいい言葉を吐き、周辺国を刺激する。それは抑止でも現実主義でもない。よくもまぁそんな他力本願でイキリ倒せるものだ。
このように、好戦的で戦争など軍事活動に大いに賛成しているが従軍して戦地に赴いたことがない政治家、官僚、評論家、転じて自分は戦地に行きたくない、あるいは行かずに済む立場の癖にタカ派の主張をする者を、アメリカではチキンホーク(腰抜けの鷹)と言う。
2、虎の威を借る狐
大将であるアメリカが後ろについているからこそ、威勢のいい言葉を吐ける。だが、その大将が本気で全面的に日本を守る保証など、どこにもない。
現に、トランプ大統領からも、
「余計に事を荒立てるな」
という趣旨の、かなり強めの釘を刺されたばかりだ。
ご近所に吠えていたら、ボスに叱られたのである。これが自分の国の首相の姿だと思うと、情けなくて泣けてくる。要するに、日本は自前で戦争を遂行できる国ではない。にもかかわらず、後ろ盾に過ぎない同盟国の存在を前提にオラついている。これは抑止でも現実主義でもなく、ただの無責任な虚勢である。虎の威を借る狐とはこのことだ。
にもかかわらず、
人々はスカッと気持ちいい物語に身を委ねる。
日本が調子悪いのは中国のせいだ。
外国人が悪い。
自分たちは悪くない。
現実と自分に向き合いたくないので、常に他責だ。
M1でドンデコルテが披露したネタは、現実を見たくない層を見事にカリカチュアとして表現していた。ただ、その層自体は現実を見たくない、霧に包まれていたいので、何が面白いのかもよく理解しないまま笑っているという、皮肉がすぎる構造になっている。ネタの裏に、このコンビの深い教養を感じる。
リーダーは、分かりやすく、気持ちよくしてくれる存在であればいい。たとえそのリーダーが、右から左へ嘘をつき、日本人を食い物にして多額の献金で家庭をボロボロにさせてきた朝鮮半島由来のカルト教団とベッタリつながっていたとしても。日本会議や神社本庁とどっぷりだとしても。
そして、平然とそれをすっとぼける人物であっても。就任した途端、円が暴落し、さらなる生活苦が待っていようとも、意味のない虚勢を張り、イキリ倒してくれるリーダーを信じたいのだ。だって、スカッとするから。今スカッとしたいから。
他国のせいにして危機感を煽れば、国民は自国の政治のまずさを忘れる。これは古典的な手法だ。
資源も人材も海外に頼らなければ成り立たない国の首相が、率先して事を荒立てている。本人とその周囲はスカッとしているのかもしれないが、とばっちりを食らうのは支持者も不支持者も含めた国民全体である。本当に、もう勘弁してほしい。
そんな中で、
「日本の才能あふれるアーティストの皆様が、より多くの国でライブや交流を実現できるよう、政府は海外展開支援を強化します」
だそうだ。
チャンチャラおかしい。マッチポンプもいいところである。そんなことを言う前に、まずは中国方面の興行や文化交流を台無しにしたことへの説明と謝罪が先ではないのか。
中国・東アジア向けの興行、観光、エンタメ市場は、年間で数千億円規模に達する。それを、たった数回の不用意な発言で冷え込ませる。これは失言ではない。国益の毀損である。
舌禍で国難を招くとは、恐ろしい首相だ。
万が一、事が起これば、どうせボロ負けする。そして負けた途端、ネトウヨもメディアもコロッと態度を変えて高市叩きを始めるだろう。先の大戦がそうであったように。
SNSを見ていると勘違いしがちだが、市井の大半の人は政治に興味がない。その政治家がどういう人間かにもほとんど興味がない。だから投票率は低いし、高市早苗がどんな人物かも知らない。「女性だから」「新しく何かやってくれそう」その程度の上っ面で支持が形成される。
3、政策ではなく“推し”で決まる政治
そもそも、今回の参院選で自民党が大きくつまづいた理由は、安倍派を中心とした裏金問題、そして統一教会との関係が次々と明るみに出たことで、自民党そのものの信用が失墜したからだ。有権者が拒否反応を示したのは、「石破」という個人ではなく、安倍政治とその延長線上にある構造そのものだったはずである。
にもかかわらず、比較的距離を取っていた石破茂が降ろされ、その責任を負うべき安倍派の中核にいた高市早苗が総理になり、裏金議員が再登用されている。これは、民意の流れとしても、論理としても、まったく筋が通らない。
さらに言えば、熱狂的な支持者たちは、
結局「何が行われたか」ではなく、
「誰がやったか」しか見ていない。
石破元総理がやることは、内容を問わずすべて叩く。一方で、高市総理がやることは、たとえそれが増税であろうと、後付けの理屈を総動員して称賛する。
政策の是非ではない。
一貫性でもない。
評価軸は最初から固定されている。
最近、テレビ番組で武田鉄矢が、高市総理を「信仰の対象のようなもの」と評していた。また、SNSでは、ある経済学者が「高市さんは現代の『卑弥呼』のように思えてきた」と発信しているのを目にした。
これらの言葉に違和感を覚えないとしたら、相当感覚が麻痺している。一政治家を、象徴や神話のレベルに引き上げ、批判や検証の外側に置く。これは支持ではない。神格化である。
政策の是非や結果ではなく、「何か特別な存在である」という物語を先に信じる。そこまで来ると、もはや民主主義ではない。やっていることは、個人崇拝に支えられた体制――北朝鮮と何が違うのか。
ただ、この「卑弥呼」という比喩そのものが、高市総理を持ち上げる層の、歴史認識の浅さを象徴している点は、指摘しておく必要がある。
卑弥呼は、中国の皇帝に対して朝貢を行い、倭国王の称号や金印を授かっている。当時の国際秩序において、それは外交であり、生存戦略だった。だが現代の言葉で言えば、明確に「中国と関係を結び、承認を受けた支配者」である。皮肉なことに、現在「反中」「媚中批判」を声高に叫ぶ人々の基準に照らせば、卑弥呼は典型的な「媚中」指導者ということになる。
にもかかわらず、その歴史的文脈を一切理解しないまま、都合のいいイメージだけを切り取って神話化する。ここにも、事実や構造よりも「気持ちのいい物語」を優先するナラティブの典型が表れている。
またSNSで、こんな評価をよく目にする。
「高市さんは仕事が早い。
ガソリンの値段がバンっと下がった」
だが、これは事実認識として完全に間違っている。ガソリン価格対策は、高市政権が主導して決めた政策ではない。野党が国会で繰り返し追及し、少数与党に転落した自民党が、最終的に渋々飲まされた結果である。つまりこれは、「高市がやった」のではなく、「高市が抵抗できなかった」政策だ。
それを、あたかも高市総理の英断やスピード感の成果であるかのように受け取ってしまう。ここに、政治の仕組みを理解していない支持の典型がある。国会は独裁者が思いつきで政策を決める場所ではない。与党の力が落ちれば、野党の要求が通る。それだけの話だ。
だが、「誰が総理か」だけを見ている人間には、そのプロセスが一切見えない。結果だけを切り取り、都合よく物語に回収する。ここで重要なのは、こうした評価を下している人々の多くが、いわゆるネトウヨだけではない、という点だ。
彼らは過激な思想を持っているわけでも、強い政治的意図があるわけでもない。単に、政治の仕組みを知らないだけである。国会で何が起き、どんな力関係の中で政策が決まったのか。そのプロセスを理解する前に、「結果」だけが目に入る。そして、その結果を、もっとも目立つ顔「総理大臣」に結びつけてしまう。
その結果、「何が行われたか」ではなく、「誰がやったか」で政治を評価する構図が生まれる。これは思想の問題ではない。無知と無関心が生む、ごく自然な認知の歪みだ。だが問題は、その歪みが、意図的に利用されているという点にある。
これは政治的判断ではない。
思考停止の上に成り立つ、同一化である。
自分が支持した人物の失敗は、
自分自身の失敗になる。
だから、
失敗そのものを認めることができない。
全ては自分ではない誰かのせい、そうだ!
外国人や左翼のせいだ!
ここで、少し補足しておきたい。
これは国民性だけでは語れない。近年の政治は、はっきりとマーケティングの手法を使っている。とりわけ強力なのが、ナラティブ(物語)を使った訴求だ。
ナラティブマーケティングとは、事実や政策の正しさではなく、
・誰が主人公で、
・誰が敵で、
・どんな物語が展開しているか
を提示し、受け手をその物語の登場人物にしてしまう手法である。この手法では、正しいかどうかは二の次になる。大事なのは、「気持ちよく信じられるか」だ。
一度その物語に参加してしまうと、主人公の失敗は直視できない。なぜならそれは、自分自身の失敗になるからだ。だから、事実が修正される。矛盾は無視され、批判者は「敵」にされる。
そして、この物語を最も効率よく駆動させる手法がある。いわゆるヘイトマーケティングだ。ヘイトマーケティングとは、社会の不満や不安の原因を、抽象的な構造ではなく、分かりやすい「敵」に押し付ける手法である。
・外国人
・特定の国
・特定の思想
・特定の集団
敵が明確であればあるほど、物語は単純になり、人は「考える」必要がなくなる。経済が苦しいのは誰のせいか。生活が不安なのはなぜか。本来なら複雑で、面倒で、答えの出ない問題を、「あいつらのせいだ」という一言で片づけられる。これは怒りの発散装置であると同時に、政治への思考を停止させる装置でもある。
ナラティブ(物語)とヘイト(敵)が結びついたとき、人は論理ではなく、感情で世界を理解するようになる。事実は歪められ、間違いはなかったことにされる。
その典型例が、ナチ党である。ナチ党は、自由選挙によって政権を掌握した。だが、最初から国民の圧倒的多数に支持されていたわけではない。
1932年7月の総選挙での得票率は 37.3%。最大政党にはなったが、過半数には遠く及ばない。彼らは、経済不安、失業、社会不満など、それらの原因を、構造的な問題としてではなく、「ユダヤ人」や「外国人」といった特定集団への敵意として単純化していった。複雑な現実は、単純な物語へと置き換えられていく。
支持率の数字は、民意を映すだけでなく、民意そのものを生成する装置として機能し始めた。多くの人々は、後になってから「いつの間にか空気が変わっていた」ことに気づいた。
高市内閣支持率73%。
正直、この数字をそのまま信用できるわけがない。
そもそも、いわゆる世論調査、とくに**電話調査(RDD方式)**が、どのように行われているのかは、あまり知られていない。
電話による世論調査は、機械がランダムに生成した番号に、ひたすら電話をかけ続ける方式だ。日テレNEWSの取材によれば、ある金曜日の夜の調査では、一人が一時間電話をかけ続けて、ようやく一人分の回答が得られるかどうかという状況だったという。
一見すると、「無作為」で「公平」な手法に見える。だが、本当にそうだろうか。ランダムに電話をかけ、応じてくれた人の答えだけを集計する。この時点で、すでに大きなふるいがかかっている。
・知らない番号からの電話に出る人
・数分〜十数分の質問に付き合う余裕がある人
逆に言えば、
忙しい現役世代、
政治に距離を感じている層、
無関心・冷笑層は、
この段階で大量に脱落する。
一方で、政治に強い関心を持つ人間ほど、この調査に捕捉されやすい。特定の候補や思想を、信念というより信仰に近い形で支持している層は、電話に出る。最後まで答える。態度表明が明確だ。
例えば、統一教会と高市総理の関係は、もはや周知の事実である。もし自分がその信者で、世論調査の電話がかかってきたらどうするか。答えは明白だろう。電話に出て、高市支持をはっきり表明する。それは「世論調査への協力」であると同時に、「運動」でもあるからだ。
調査会社は、年齢や地域などの人口構成については補正を行う。だが、政治への関心度や、組織動員の有無といった質的な偏りは、補正しようがない。
つまり、数字は“無作為”でも、回答は無作為ではないという構造になっている。世論調査は、しばしば「民意に近い」と言われる。だが実態としては、選挙に近い数字が出やすい。
投票所に足を運ぶだけの熱量を持つ層。
無党派層がどれだけ多くても、
空気がどれだけ冷めていても、
結果を左右するのは、組織化された少数だ。
電話世論調査も、同じ構造を持っている。有権者全体の平均というより、「声を出す人」「動員可能な人」の温度を測っている数字に近い。本当に危ういのは、この数字が「国民の総意」のように報じられることだ。
支持率が高い。
勝ち馬感が生まれる。
勝ち馬感が、さらなる露出を呼ぶ。
露出が、さらに支持を集める。
これは世論の反映ではない。
世論の生成である。
世論調査は嘘ではない。
だが、全体像でもない。
あくまで、声を出す人だけの平均値。
それ以上でも、以下でもない。
4、「事実」より「気持ち」を優先する社会
歴史的に見ても、「危うい空気」の手前では、こういう数字が出る。
ナチ党も、自由選挙の国政選挙で多数派を取ったわけではない。だが1932年7月の総選挙で 得票率37.3% を取り、最大政党になった。さらに1933年3月の選挙では 43.9% にまで伸ばしている。
四割に届かない。過半数でもない。それでも社会は「勝ち馬感」に呑まれ、「最大派閥」の顔色を見て、空気が変わっていく。数字は民意の反映であると同時に、民意を“生成”する装置にもなる。
この一月半で、日本は精神的には80年前からまったく成長していないことを、世界に証明してしまった。次に戦争などやらかし、敗戦したら今度こそ分割統治されるのではなかろうか。
映像の世紀のナチス回で白黒映像で見たのと同じような光景を、アメリカのトランプがカラーで再現し、本邦では、高市早苗が政権発足二ヶ月足らずで戦前の空気を4K高画質で再現しようとしている。そんな映像が残る世紀にしてはならない。
世界日報に五回も出ておいて、統一教会の教祖の名前を知りません?
そんなわけがあるか。
念のため説明しておくと、世界日報は、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)系の団体が発行してきた新聞であり、創刊以来、同教団の思想や政治的主張と極めて近い論調を持つことで知られている。その媒体に複数回登場しておきながら、「教祖の名前を知らない」「関係を認識していない」という説明を、額面通りに受け取れるほど、日本社会はもう無邪気ではない。
「いけしゃあしゃあ」という言葉があるが、高市早苗ほどこの言葉を体現している人間はいない。右から左に嘘をついて、すっとぼける。それもちょっと背景を知ってるような人間が見たら、バレバレの嘘を平気で話している。歩い意味すごいと思う。だが、そんな人物が日本のトップである総理大臣というのは、子供の教育的にもよろしくない。この国の倫理観がズタズタになってしまう。
彼女の岩盤支持層は、いわゆるネトウヨと呼ばれる人々だが、その多くは、押しつけ憲法は嫌だと言いながら、積極的にアメリカのポチであろうとし、嫌韓を叫びながら、朝鮮由来の統一教会べったりの安倍・高市を支持し、中国製品を使いながら嫌中を撒き散らす。外国人の犯罪を殊更に槍玉にあげるが、なぜか在日米軍が少女をレイプしても話題にもしない。
自己矛盾と欺瞞に満ち満ちている。
もはや目的は信念でも思想でもない。
敵を設定することで、
自分を正当化するためのナショナリズムだ。
考えることを放棄したナショナリズムである。
もう自分は日本人であるということでしか、
自己を肯定できないのだ。
彼らにとって事実や理屈は眼中にない。見たいものだけを見る。嘘でも虚構でもいい、信じたい物語だけを信じる。反対する者は、本来の保守層や中道であってもすべて左翼であり、パヨク。当然である。右の極地から見れば、そこから見えるものはすべて左の世界だ。
彼らは、極度に理想化された完璧無謬の妄想世界に生きている。だから、その妄想に現実を突きつけ、嘘を暴く人間が許せない。「自分たちの物語に水を差すな」というわけだ。事実や現実はそっちのけで、信じたい物語だけを信じる。もはやカルトである。
5、空気は絶対ではない
ある若手芸能人がこう言っていた。
「高市さんの言うことは分かりやすい。
石破さんは何を言ってるか分からない」
物事には筋道がある。背景や前提を踏まえれば、軽々しく断言できないことの方が多い。総理という立場であればなおさら、軽率な発言が国難を招くことを理解していなければならない。真面目で責任感のある人間ほど、言葉は慎重になる。
だが、それが理解できない人間には「モチャモチャしている」と映る。一方で、右から左へ嘘がつける人間は、何でも断言できる。だから分かりやすい。詐欺師・ペテン師の手法である。
幸い、今はスマホ一つあれば大抵のことは調べられる時代だ。「分からない」で思考を止めず、理解しようとする人が増えることを願う。
とはいえ、現実として、こうした話題は、今まで読んでいただいたような長文のままではライト層には届かない。解説動画にするか、TikTokやYouTubeショートに切り分けるか、あるいは一枚絵のイラストに落とし込まなければ、そもそも入口にすら立ってもらえないだろう。
ちゃんと伝えたい。しかし、ちゃんと伝えようとすると長くなる。政治の話は、常にこのジレンマを抱えている。だからこそ、その矛盾を自覚したまま、真っ当な伝え方を模索し続けるしかないのだと思っている。
日本人は昔から、
良くも悪くも空気に流されやすい。
理屈よりも、雰囲気。
内容よりも、周囲の温度。
生徒会長も公約より人気で投票してしまう。
だが裏を返せば、
空気が二ヶ月でここまで変わったのなら、
引き戻すことも不可能ではないはずだ。
戦前も、バブルも、震災後も、日本社会は驚くほど短期間で空気を変えてきた。それが良い方向だったこともあれば、最悪の方向だったこともある。今の空気が偶然ではなく、作られ、煽られ、増幅されたものだと気づいた瞬間、同じ速度で崩れる可能性も、またゼロではないはずだ。
だから必要なのは、ただ、空気に飲まれず、「おかしい」と言い続ける人間が消えないことだ。もう、どうにでもなれと捨て鉢になりそうになる。だが『シン・ゴジラ』の矢口蘭堂の言葉が、ふと頭をよぎる。
「諦めず、最後までこの国を見捨てずにやろう」
それでは、長文読んでいただきありがとうございました。
もしこの記事が、少しでも考えるきっかけになったり、共感いただける部分があれば、フォロー、スキ、チップ、SNSでのシェアやコメントなどのリアクションをいただけると、とても励みになります。
追記:コメント欄が証明してしまったこと
この記事を公開したところ、以下のようなコメントをいただいた
高市さんになって、とても日本が良くなったなあ、と思っていたので、なるほど世の中にはいろんな考え方があるんだなあ、と色々思うところもあり、勉強になりました。
具体的にどう良くなったと思ったのか大変興味があるので、お聞かせ願いたいですと伺ったところ、
それ以前に比べて、日本が好き、この国のこの文化や伝統に誇りを持つことが素晴らしいということを表現できる雰囲気になったこと、そういう空気感になったことでしょうか。
率直に言えば、これはこの記事の中で指摘した構造と完全に一致している。評価されているのは、具体的な政策や結果ではない。「雰囲気」「空気感」「気持ちよさ」である。
若者インタビューが象徴しているもの
実際、街頭インタビューなどで語られる高市総理への評価も、ほぼ同じ構造をしている。
・ガソリン暫定税率廃止とか、すごくスピーディー
・笑顔で明るいハキハキしている感じが良い
・高市さんがテレビに出てると『あっ、高市さんだ』ってなる
そもそも、ガソリン暫定税率廃止は高市総理個人の功績ではない。だが、そうした前提は共有されないまま、イメージだけが流通する。メディアがそれを検証せずに垂れ流す。すると「分かりやすい」「気持ちいい」という理由だけで支持率が積み上がる。
まさに、世論が測定されるのではなく、生成されていく過程である。
では、政策で見てみよう
イメージではなく、実際に示されている政治的方針に目を向けるとどうか。高市総理が最近打ち出している、あるいは継承・推進を明言している方向性や、態度には、例えば次のようなものがある。
・防衛費の大幅増額と恒久財源化
「継戦能力の確保」を名目に、防衛費をGDP比2%水準へ引き上げる方針を継承・推進。その財源として、2027年1月から所得税に1%上乗せする「防衛特別所得税(仮称)」の導入が決定されている。戦争を想定した長期的軍事支出を、国民負担で賄う方向性が明確になっている。
・外国人労働力の受け入れ拡大路線の継続
2027年度から始まる新制度「育成就労」により、外国人労働者の受け入れは今後も拡大が予定されている。既存の「特定技能1号」と合わせ、2028年度末までに約123万人の受け入れが可能とされており、人手不足を外国人労働力で補う路線は継続されている。
・アベノミクス路線の継承(金融緩和・財政拡張容認)
大胆な金融緩和を含むアベノミクスを否定せず、事実上の継承姿勢を示している。その結果、円安は進む。円安は「輸出企業に有利」と説明されがちだが、同時にガソリン、電気代、食料品といった日常コストを押し上げる。
家計にとっては、毎月じわじわと可処分所得が削られていく
・安全保障を前面に出した強硬な対外姿勢
台湾有事など東アジア情勢への言及を繰り返し、「抑止力」を強調。一方で、日本がエネルギー・食料を海外に大きく依存しているという構造的脆弱性への言及は乏しい。
・子育て・教育への直接的な負担軽減
少子化対策は掲げられているものの、家計の可処分所得を明確に押し上げる施策は乏しい。
・コメ増産方針の事実上の撤回(需要に応じた生産への回帰)
石破前政権が打ち出したコメ増産方針は見直され、農水省は「需要に応じた生産」へと舵を切った。2026年産の主食用米の生産目安は前年から大幅に減らされ、価格維持を重視する政策が明確になっている。食料安全保障よりも市場調整を優先する姿勢が浮き彫りになった。
・労働時間規制の緩和に向けた動き
就任直後から「働いて、働いて、働く」といった発言を繰り返し、労働時間規制の見直しを検討するよう厚労相に指示。過労死対策として強化されてきた上限規制との整合性に疑問が呈されており、働き手の健康よりも経済界の要請を優先する姿勢が懸念されている。
・個人情報保護法の見直し指示
国が保有する個人情報を、民間事業者がより活用できるようにするため、個人情報保護法の見直しを関係閣僚に指示。AI活用やデータ利活用を名目としているが、個人のプライバシー保護とのバランスについては、具体的な歯止めが示されていない。
防衛費増税のための増税、外国人労働枠拡大路線など、石破政権であればボコボコに叩かれそうな案件だが、なぜかネトウヨにその傾向は見られない。また、街頭インタビューで語られることはほとんどない。支持の理由として語られるのは、あくまで「雰囲気」や「気持ちよさ」だ。
「日本が好きだと言いやすくなった」
「誇りを持てる空気になった」
私自身は、何がそう思わせているのか全く共感できないが、事実そういう方々もいるのであろう。だが、それが政治の評価軸の中心になってはならない。
政策の中身、将来の負担、外交のリスク。本来、時間をかけて考えるべきものが、「なんとなく良い」「気分がいい」という感覚に上書きされるのは非常に危険だ。
「気分がいい政治」は、考えなくていい政治だ。だが、考えなくていい政治の先に、生活が楽になった歴史は一度もない。
我々は、考え行動しなくてはならない。
さらに追記:旧統一教会と高市総理の繋がり
もはや、新年を迎えるのが恐ろしいような、うんざりする年越しになるのではないか。そんな感覚が頭をもたげていた矢先、2025年も残り1日というタイミングで、看過できない報道が入ってきた。
韓国の左派系紙ハンギョレは、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の内部報告文書をもとに、日本政治との深い関係を報じた。その文書によれば、旧統一教会の徳野英治元会長は、2021年の衆院選について、
「我々が応援した国会議員は、自民党だけで290人に達する」
と、韓鶴子総裁に報告していたという。文書から読み取れる要点は、以下の通りだ。
・教団は「選挙支援」を通じて、自民党の重鎮・幹部層とより深い信頼関係を築くことが、最も現実的で効果的な政治的アプローチだと明記していた。
・2019年7月、参院選直前に安倍晋三元首相と旧統一教会幹部が20分間面談。徳野元会長は「今回で6回目」と報告しており、関係の継続性が示唆されている。
・教団は、支援対象の候補者に対し、票数の具体的目標(最低20万票、可能なら30万票)を示し、実際に組織票を動員していた。
・安倍元首相との面談に同席した萩生田光一氏に対し、旧統一教会側がエルメスのネクタイを贈呈した。徳野元会長はこれを「たった一本だが効果的だった」と評価している。
・教団は日本で構築した「ギブ・アンド・テイク型」の政治関係モデルを、韓国政界にも適用しようとしていたことが文書から読み取れる。
・安倍元首相銃撃事件後、犯人・山上徹也被告の教団会員記録が、教団本部の指示で削除されたとする報告も含まれている
・文書内では、高市早苗首相の名前も32回登場。安倍元首相の強い推薦や、教団側との親密な関係が示唆されている。
徳野元会長は、高市氏が2021年9月に初めて自民党総裁選に出馬した当時、「高市氏は安倍元首相が強く推薦しているということと、神奈川県出身であり、神奈川県の現場において高市氏の後援会と我々は親密な関係にある」とし、「岸田(文雄)前政策調整会長や高市前総務大臣が総裁に選ばれることが天の望みだと思われる」と報告した。ただし、文書の内容とは異なり高市早苗首相は実際には奈良県出身だ。(記事本文より抜粋)
「高市前総務大臣が総裁に選ばれることが天の望みだと思われる」…なんという言葉だ。結果として、日本政治が長年にわたり、特定の宗教団体による組織的支援と影響のもとに置かれていた可能性が、内部文書という形で具体的に示されたことになる。
そもそも、高市早苗首相が前のめりになっている「スパイ防止法」は、旧統一教会系団体である「勝共連合」が長年主張してきた政策と重なる部分が多い。岸信介元首相(安倍晋三元首相の祖父)が、同教団と深い関係にあったことは広く知られており、この法案が、いったい誰の安全を守るためのものなのか。少なくとも、慎重な検証が求められる局面に来ている。
スパイ行為を取り締まる法制度を推進する首相が、他国由来の宗教団体と深い関係を持っていた可能性が指摘されている。スパイを監視しようとしている人間が、スパイまがいのことをしているのであればこれは由々しき自体である。
それにしても、この国はとことん自浄作用が働かない。
このままいけば、統一教会と日本政治の闇を暴く役割を担うのは、韓国の警察と韓国メディアという事態になりかねない。日本の警察・検察・メディアは腰抜けなのか。なぜここまで静かなのか。読売など、日本のメディアは、統一教会の・安倍晋三との選挙応援面談6回 ・高市早苗の名前が32回 ・高市後援会と統一教会は親密 ・萩生田光一への贈答などの核心を全て削って報道している。
もし今後も動きが見られないのであれば、そこにもまた、検証されるべき「理由」があるのではないかと疑われても仕方がないだろう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。しかし、問いかけと分析ばかりで具体的にどう行動したらいいのか分からないという新しいモヤモヤを抱えた人も多いかと思います。具体的に行動できるタイミングがやってきました。
そう、選挙です。
もし、お付き合いいただけるのであれば、解散決定後の記事『選挙がミカン選びに似ている理由―印象で選ばないための冬の選挙メモ』まで読んでいただけると光栄です。周りに選挙の話を振るのは、ハードルが高すぎるという方のために書いた記事です。次の選挙の投票行動の判断材料となれば幸いです。
『選挙はミカン選びにちょっと似ている』のイラストを、セブンイレブンのネットプリントに登録しました。期日前投票の呼びかけ、お店に貼ったりなどで、ご活用ください。
予約番号:87795064
有効期限:2026/02/27 23:59
著作権保持/改変禁止
毎回投票行くけど、暫く選挙行ってない人や、初めて投票する人を選挙に誘うのちょっとハードル高いって方のためにLINEスタンプを作りました。期日前投票のスタンプもあります。
また、政治に興味を持った方に一度読んでいただきたい記事がこちら『表現を仕事にする人が、歴史と政治を学んだ方がいい理由』です。ちょっと長いですが、政治より先に歴史を学ぶ必要性をまとめました。政治は歴史の文脈にあります。そして、歴史は同じようなことを繰り返します。私たちの立ち位置が今どこにあるのか把握するためにも歴史の学びが必要です。
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この記事自体も所謂ナラティブマーケティングに当たるのでは
どうも、認知戦で完璧に右派脳に仕立て上げられた高校生です 親に勧められて読んでみましたが、それまで高まってきていた愛国心とそれに付する高揚感が、冷たい恐怖に変わるのを感じました。私が現内閣を支持していたのは、政策の妥当性と、はっきりとした外交、防衛方針でしたが、今思えば祭りの…
xから来た高校生です つい先ほど、ヤフーニュースで、高市政権の支持率が大きく下落したと報じられていました。コメントを見てみれば、「世論調査が偏向した聞き方でないか今度確かめる」という意見があってびっくりしました。自分は支持していたわけではありませんが、石破政権下であれば、「支持率…
下の人とは正反対の感想を持った。高市首相を手放しに称賛している人々に対するモヤモヤとした感じをものの見事に言語化してくれた。しかも、イラストレーターが本業というから驚き。一点、RDD調査については指摘しておきたい。全国紙の選挙世論調査を行った経験があるが、10年ほど前は1時間に4,5人は…