埼玉県川口市議会が昨年6月、クルド人問題を念頭に可決した「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書に賛成し、れいわ新選組を離党した元市議、小山千帆氏(49)が立憲民主党の次期衆院選愛知15区の公認候補に内定した。ところが、支持者らから「立憲の党理念と違う」などの異論が相次ぎ、朝日新聞が同党の泉健太代表の記者会見で擁立の経緯などについて質問。同紙の報道がさらに波紋を広げている。
「差別主義者なぜ擁立」
小山氏は7月26日付で市議を辞職し、立民の党本部が30日、愛知15区の公認内定を発表した。小山氏が公募に応募したというが、党所属議員や支持者らの間で「多文化共生や差別を許さないという党の理念と相容れない」などと党本部に説明を求める声が上がったという。
今月2日、党本部で開かれた泉氏の定例記者会見で、朝日新聞の記者は公認の経緯や理由を質問。泉氏は「意見書の表現に、これはいかがかという部分がある」としながら、「党の理念と合致する考え方の人であると確認が取れた」と説明した。
朝日新聞はこれまで川口市議会の意見書についてほとんど報じてこなかったが、同紙記者は「表現としていかがとは、具体的にどこか」「公認決定と党の理念は矛盾しないということでよいか」と再三質問していた。
同紙は翌3日、紙面とネット版で、《元川口市議擁立、泉代表「共生理念に合致」 在日クルド人念頭の取り締まり強化に賛成》との見出しで報道。その後も同紙の記事が拡散され、記事を踏まえた党本部への批判などが続いている。
ネット上は「炎上」状態で、中には「差別主義者をなぜ擁立したのか理解できない」「この議員一人のために立憲は一気に支持者を失う」などの厳しい意見も広がっている。
昨年6月に可決した意見書は、「クルド人」と名指しはしていないものの、「一部の外国人は、資材置き場周辺や住宅密集地などで暴走行為やあおり運転を繰り返し、窃盗や傷害などの犯罪も見過ごすことはできない」と具体的に指摘。警察官の増員や犯罪の取り締まり強化を求めており、衆参両院議長と首相、国家公安委員長、埼玉県知事、県警本部長に提出している。
「生活寄り添う」2カ月後辞職
小山氏は昨年4月の統一地方選で、れいわ公認で初当選。意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中で起立採決に立ち上がって賛成した。小山氏は当時、関係者に「私の自宅の前でも毎日、暴走車両が通り抜けて、近所から苦情が殺到している。到底見過ごすことはできなかった」と話していた。
議会関係者によると、その後、れいわ内で難しい立場に立たされ、今年5月、れいわを離党した後は無所属で活動していたが「一身上の都合」として議員辞職したという。
小山氏はれいわ離党の際の取材に「川口市民の生活に寄り添った活動をしていきたい」と理由を話していたが、今回は「取材は断っている」と回答。朝日新聞にコメントを出していることについては「党からの指示があった」としている。自身のXは全面削除されている。