誰かが逮捕された報道を目にする度、「なぜこんなことをしてしまったのかな」と事件の背景に思いを巡らせる子供だった。容疑者への批判ではなく、漠然と「私なら味方になれるかもしれない」と考えもした。小学6年生の卒業文集には「弁護士になりたい」と夢を書いた。
弁護士として働き始めて最初に驚いたことは、冤罪(えんざい)を訴える人の多さだった。容疑者や被告に対する世間の目は厳しい。刑事裁判でも、「被告に有利な証拠が軽視され、公平性に欠ける」と感じることばかりだ。
それでも、ある成功体験が今の自分を支えている。傷害罪に問われた男性被告が正当防衛を主張していた事件。弁護士になりたての頃から関わり、控訴審で初めて逆転無罪を勝ち取った。被害者側と被告側の証言が食い違う中、証拠資料から矛盾点を探し、当時の再現実験を証拠請求するなどして、裁判所の判断を覆させた。「報われることは少ないけれど、弁護士が諦めてはいけないと再認識した」
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