社会風刺ポリコレエッセイ~くろんぼさむらいYASUKEくん
黄色い野蛮人との邂逅
○月×日
オッス、オラYASUKE。イスパニアの宣教師様に仕えてて、この前からジャポンとかいう小さい国に来てるんだ。
宣教師様が言うにはジャポンに神の教えを広めるために、この国の酋長に根回しがいるんだって。だからこれから挨拶に行くんだそうだ。
オラも宣教師様のお供するんだけど、ジャポンはオラみたいに肌が黒いのがいなくて、みんな黄色なのが変なの。宣教師様は神の愛が届いてないから、その罪で肌が黄色く汚れてると言ってたし、オラもそう思った。
宣教師様が無事にこの国で教えを広めればみんなも肌が白くなるんだろうな。オラの肌も早く真っ白になりたいな。
△月◇日
オッス、オラYASUKE。宣教師様に連れられてジャポンの酋長に会ったらなぜか体を洗わされた。酋長は『肌が黒いから洗えば落ちるかと思った』とか言ってたけど、それってポリコレ的にはヘイトスピーチだからね?未開の地の野蛮人だから目こぼしされてるけど国連辺りなら即、空爆だからね?
宣教師様も引きつってたけど、神の教えを広めるためにガマンしてたの丸分かりでつらいわー。干し柿貰って食べてたけど、イスパニアには柿が無いからイチジクと間違えていたのはご愛嬌ね。
●月◆日
オッス、オラYASUKE。やられたぜ!オラの体が野蛮人の酋長に売られちまった!宣教師様が布教の権利と引き換えにオラを酋長に引き渡したんだ。
酋長は珍しいモノが大好きらしく、鉄砲を真っ先に買い漁ったのもこの国に無かったからなんだと。『黒んぼは珍しいから自慢できるぞ』なんて酋長は笑ってた。オラのことも神の教えも野蛮人にかかれば“物珍しい見せ物”でしかないなんて。ホント、未開の地は嫌だね。
宣教師様もいくら神の教えを広めたいからってオラをこんな黄色い野蛮人に売り飛ばすなんて酷くね?『黒と黄色を掛け合わせたら何色の子が産まれるのかな?』とか笑ってたけどさ、この辺りに大航海時代の欧州の傲慢さが垣間見えるよね。神の教えを受け入れない野蛮人は人間じゃないから仕方ないけどさ。
♂月♀日
オッス、オラYASUKE。黄色い酋長がオラをあちこちに連れ回して、その地方の親分にオラを見せつけて自慢しやがんの。『こんなに雄々しく黒光りする剛物、他にはあるまい?』なんて鼻高々でさ。親分を嫉妬させて嬉しがってるのは大人げないな、と思ったよ。酋長に長く仕えているハゲはなぜかオラが悪いみたいな目を向けてるし、酋長から犬と呼ばれている兵士は『お館様にも困ったものだ。また戦が始まる』と呆れてた。
オラを欲しがって親分が攻めてきたことは何度もあるし、酋長も元来が戦好きだからそうなるんだけどさ?でもオラが悪いというのは違くね?ハゲは『少し自重してください』とか言ってたけど、オラはただの黒んぼだよ?黒光りはしてるけどチ○ポまでは黒くないからね?
6月2日
オッス、オラYASUKE。くそったれ。ハゲが謀反を起こして攻めてきた。前々から酋長との折り合いが悪かったが、遂にガマンの限界を超えちまったらしい。酋長は自分がやってきたことを棚に上げてハゲのことを恩知らずとか無礼とか言ってたけどさ、アンタの日頃の行いが大概だったからね?
配下もほとんど逃げ出してさ、泊まってた寺がすぐに火の海だわ。酋長はなんか燃えさかる中で扇子片手に『人間50年』とか歌ってるしさ、オラもあまりに熱くて骨まで真っ黒に焼けそう(ブラックジョーク)。
なんかスゲー腹立ってさ。歌ってる酋長を後ろから蹴倒して寺から逃げてやった。外にはハゲの手下があちこちに火をつけてたからオラに気づかなくて、それで上手く逃げ延びてやったわ。
どこかの港町に上手く潜り込んで南蛮船に乗ればジャポンとはおさらばできるだろ。近くにいただけでオラがサムライになったわけじゃないけどさ、もうサムライなんてこりごりだい。
I hate Niggers の訳し方
先生、今日はヘイトワードの翻訳について教えてくださるとか。
先生『はい、そうです。ヘイトワードは非常にデリケートな語句です。知らずに使って命の危機に陥るなんてこともあるので、トラブル回避のためにも意味を正しく知ることが大切ですね』
しかし先生。ヘイトワードといっても悪口くらいで命の危機とは大げさに思えますが…?
先生『悪口くらい、で済ませるのは日本人の悪いクセです。世界は陸続きで色々な国が繋がっています。価値観や言語、そして善悪の基準は多種多様です。海で隔離された島国でまったく異なる価値観に触れる機会が無かった日本人の感覚では理解できませんが、色々な価値観が入り混じる外国では言葉はまさに暴力にも凶器にもなります。軽い感じで口に出してはいけない語句はたくさんありますよ』
それは怖いですね。では今回はどのようなヘイトワードを扱いますか?
先生『今日の語句は“I hate Niggers”です。これを黒人の目の前で言ったら即、ピストルうで撃たれるでしょう。それくらいヤバい、言った奴絶対殺すワードです』
この語句、知ってます。映画『ダイハード3』に出てきましたね。確か“私は黒人が嫌いだ”と訳されてましたけど。
先生『はっきり言ってその訳文は赤点レベルですね。そんなマイルドな言い回しではないですよ。何せその語句はアメリカでは口が裂けても言ってはいけないんですから』
確かにその語句の看板をぶら下げてた主人公はひどく怯えてましたし、町の住民の黒人もえらい剣幕で怒り狂ってました。“私は黒人が嫌いだ”くらいでなぜあんなに起こるのか分からなかったんですが。
先生『正しく訳するなら“くたばれ黒ブタ野郎”でも全然足りないくらいです。自主規制か配慮か知りませんが、変な訳のせいで怒り狂っていた黒人がただの短気なかんしゃく持ちに見えますし?』
配慮というと?黒人差別を懸念して、というこてですか?
先生『原文を忠実に訳すると日本語が分かる黒人が傷つく、という理由でしょう。しかし黒人のほとんどは字幕の訳文よりも映像の原文を読むので無意味な配慮です。むしろ訳文を読む日本人がヘイトワードを軽く捉えてしまう懸念すらあります』
映画で使う語句だから大丈夫だろう、みたいな感覚はあるでしょうね。
似たような感じで日本人は安易に中指を立てすぎるとも言われてます。
先生『老若男女問わず日常のあいさつレベルな感覚で中指を立てるのは日本人くらいですよ。ヘイトワードという概念に乏しいのは平和的と言えなくもありませんが、外国に言ったら殺されるおそれもあることを忘れてはいけません。ヘイトワードは本来、それくらい危険なんです』
まさに日本の常識は世界の非常識ですね。今回はヘイトワードのご説明、ありがとうございました。
先生『次回は“ファッキンジャップくらい分かるよ、バカヤロー”をアメリカで実際に言うとどうなるかをお話しいたします』
ダッコちゃんになれなかったYASUKE
いや~、惜しいよね。実に惜しい。弥助って近年の低迷してる時代劇の救世主になれたかもしれない、良質な素材だったじゃん。
アフリカから奴隷として連れてこられてヨーロッパを引き回されて、そして何カ月も船に乗ってキリスト教も無ければ白人の言葉も通じない日本に来てさ?そこで信長に気に入られて側に置かせてもらったんだよ?それでいてろくに記録が残ってないから謎も多くて本能寺の変以降は生死すら不明なんだから。もうさ、いくらでも話を膨らませることできるじゃん。
自害する前の信長に何か秘密を託されて守り抜いたでもいいし、実は弥助も本能寺の変に一枚かんでいたとかもいい。日本では目立つ黒い肌に長身という異形を逆手に取って、わざと見え見えの諜報活動をして周りを混乱させるなんて話もいける。どう料理しても美味しく仕上がるはずだったのに、なんであんなことになっちゃったんだろうね。
思うに毛唐どもは本当に上辺だけの薄っぺらい情報しか無かったんだろう。信長がいた時代の日本は意外と国際交流が盛んで、数十年後の江戸時代初期よりも外国人は当たり前にいたことすら知らなかったと。そうでもないと“あのゲーム”の素っ頓狂な内容にはならないって。
日本では黒人の血が混ざれば強い武士になれるって、黒人はエナジードリンクか赤まむしなの?ススキノの赤ひげ薬局で“YASUKEで二回戦”とかいう名前で売ってそうだけどさ、血でどうこう言うのはポリコレ的にどうなん?と思うのよ。それとも未開の地の野蛮な黄色い猿は人間じゃないからポリコレ関係ないのかな?まあ、欧米の日本観は『SM大陸マンダラ』辺りで止まってるっぽいし、そうだとしたらこんなヘイト的価値観は当然だろうけどね。でもアンタらの爺ちゃんは進駐軍で日本にいたはずだろうに、昔話のひとつも聞かなかったのかい?
いやホント、つくづく惜しいよ。弥助は上手く扱えば令和のダッコちゃん、21世紀のカルピスマークくらいには親しまれるキャラクターになった筈なのにさ。チン毛沿ってる意識高い系白人サマのせいですっかりポリコレに汚染されて台無し。やだねぇ、自分を一流シェフと思い込んでいる素人が良質な素材を駄目にする様なんて見たくなかったよ、マジで。
終


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