今日の話は少し暗いかも知れません。
ご勘弁下さいm(_ _)m
母は家庭に入り
芸能界とは殆ど繋がりを持ちませんでした。
親父と母が結婚したのを知っている人はごく一部の人。
浅草系なら
渥美清さん、谷幹一さん、関敬六さん東八郎さんなどの人。
新宿系なら戸塚睦夫さん、伊東四朗さんは勿論知ってます。
家庭に入り、私が生まれ
色々な事がありましたが
楽しい人生を母は過ごしていました。
親父の活躍はご承知の通りですが
母は親父の弟子達の面倒を見たりで
内助の功を発揮。
正直、大家族状態で
親父と二人で過ごす時間は無かった様に思います。
仕事は順風満帆ですが、
母は親父の健康が気になります。
病院に行くのがキライな親父に
あの手この手を使い
健康診断に行かせようとします。
昭和57年11月
親父はテレビの仕事を少し減らし
念願だった大劇場での座長公演に
挑みます。
一ヶ月公演は記録的な興行成績を上げて大成功です。
母はここをチャンスと親父に
「パパ(初代・三波伸介)、沢山のお客様が来てくれるんだから、
体調崩して休演なんて出来ないよ!
12月の初旬に体調整える意味で人間ドックに行きましょう!」
親父も
「そうだな、そうするか。
しかし一ヶ月公演やってるとママと舞台に立ってた
新宿フランス座時代を思い出すな」
母は「そうね。あの頃もお休みは無かったもんね」
「お客様の為に」と云う決め言葉で
公演終了後、人間ドックに行く事を
親父に約束させました。
昭和57年12月5日
早く仕事が終わった親父は
一人で新宿の伊勢丹に買い物に行きます。
新宿伊勢丹新館の場所は
母と出会った新宿フランス座の
あった場所です。
伊勢丹の店員さん達は馴染みです。
「あらっ!?三波さん今日はお一人ですか?」
親父は
「うん!実は12月10日はママの誕生日なんだ。
今日はプレゼントを買いに一人で来たんだ。」
親父は嬉しそうに語っていたと
後に伊勢丹の店員さんから聞きました。
昭和57年12月8日
私(二代目・三波伸介)は朝、親父と朝食を食べ高校に行きました。
この日、師走にぽっかり空いた休日の親父。
母はお歳暮の手配の為に
新宿伊勢丹に行く事にします。
「パパはお家で休んでる?」
「うん、休みだからもう少し寝てるよ」
母は弟子達を連れて伊勢丹に行きました。
三時間程で帰宅し
親父が好きな新宿の天ぷら屋さんの
お弁当を買って来ました。
真っ暗な居間の電気をつけると
母は何かにつまづきます。
居間で親父が倒れていました。
巷でテキトーな事を云う方がいるので
母の名誉の為に記します
「三波氏が倒れていた時に夫人が買い物に行かず
家に居たら助かったのではないか?」とか
「三波氏は死んだふりするのが得意で
この時も夫人がイタズラと思い気づくのが遅れた」とか!
そんな訳ないでしょう
イタズラと本当に倒れているのは明らかに違います!
母はすぐに気づきましたよ!
すぐに救急車の手配もしてます。
確かに母は
「私がいれば良かった!パパを一人にするんじゃ無かった!パパを一人で死なせた事は生涯、背負っていく!」
と叫んでいました。
しかし複数の医師の判断は
「発作が起きて十数秒で意識を失っています。
例え医師が横に居ても助けるのは難しい。奥様、ご自分を責めない様に」との事です。
母の名誉の為に記しました。
しかし
「この腕の中で死なせたかった」
と嘆いていたのも事実です。
昭和57年12月8日
初代・三波伸介は天国に行きました。
テレビニュースで
「三波伸介夫人」として映し出された母の姿を見て
「あっ
びっくりしたコメディアンや踊り子さんが沢山いました。
母は親父の仮通夜の時、
心労で原因不明の発作で倒れます。
今だから言えますが
あの時、母も逝ってしまうのでは…
と云う様な倒れ方でした。
奇跡的に母は点滴をぶら下げながら
親父の棺の側に戻って来ました。
今、思うと母と親父、二人きりに
してあげればよかったと思いますが
大勢の弔問に訪れた方がいましたから
それも叶いませんでした。
葬儀告別式には
二千人を超える参列者と
中野宝仙寺前の青梅街道、山手通りには新聞発表によると
五万人を超えるファンの方が
親父を見送ってくれました。
棺の中の親父に泣きながら
話かける母は
親父に抱きついて
「パパありがとう!こんなに幸せにしてくれてありがとう!
パパ!幸せをたくさん、たくさん、ありがとう!」
と叫んでいました。
私は少し離れて
それを聞いていました。
早く逝ってしまった親父ですが
母と親父は濃い時間を過ごしたのでしょう。
親父の通夜の日、
母の誕生日でした。
親父の机の上に伊勢丹で買った
ペアウォッチがありました。
手紙付きです!
「ママ、誕生日おめでとう!
たまにはお揃いの時計でもしますか?」
母はこの時計を生涯付けませんでした。
「天国に持っていってパパと一緒につけるのよ!」
申し訳ありませんm(_ _)m
湿っぽくて。
お許し下さいm(_ _)m