「吉村前知事は弁護士なのに法律を理解していない」大阪ダブル選の“法的問題点”を地方自治法の専門家が指摘
「再挑戦すること自体に民意を問う」は「理由にならない」
なお、この点については、「都構想自体ではなく、もう一度住民投票を行うこと自体について民意を問う」との反論が容易に想定される。しかし、幸田教授は「詭弁であり、理由になっていない」と述べる。 幸田教授:「吉村氏は22日の演説の際に『大阪をよくしたい思いで、審判を仰ぐ決断をしました。都構想への挑戦の第一歩を踏み出させてください』と述べています。明確に、都構想自体に対する賛否を先取りする意図を持った発言です。 実際上も『住民投票を行うことの賛否』は、本来あってはならない『大阪都構想の賛否』に無理やり繋げようとするもので、理屈の通らない不当な選挙と言わざるを得ません。 また、そもそも、住民投票の対象となる内容が審議もされず、提示もされていない以上、住民投票の実施自体の是非を問うことも、論理的に不可能です。 大都市地域特別区設置法の趣旨からも、地方公共団体の意思決定を議事機関である議会に委ねた憲法・地方自治法の趣旨からも、討議を通じてより良い選択を行うという議会制民主主義の見地からも、議会での審議は不可欠です。民意を問う前に、まずは議会で制度設計についての議論を行い、提示するのが筋です」 そして、「都構想」が過去2回、住民投票で否決された経緯も軽視すべきではないという。 幸田教授:「過去2回も『ダメ出し』されているならば、なおさら、今回は前回と何がどう違うのかなどの内容が煮詰められている必要があります。 ところが、吉村前知事も横山前市長も、そのプロセスを踏んでいません。与党である大阪維新の会の大阪市議団さえ、2023年の市議選で都構想を公約に掲げていなかったことを理由に、全会一致で反対の決議を行っています」
首長選挙は「都構想の是非」を問うものではない
幸田教授は、その他にも、首長選挙を「都構想ないし住民投票の是非」を問う場にすることの問題等を指摘する。 幸田教授:「首長選挙はそもそも、行政の代表者・統括責任者を選ぶ選挙であって、大阪都構想のような特定の政策課題を選択するための選挙ではありません。首長選挙の趣旨、目的を全く理解していません。 また、辞職願の提出が1月16日で告示日が1月22日と、その間がわずか6日しかなく(市長選告示は1月25日で間が9日間)、他の陣営は選挙の準備自体がほぼ不可能です。任期満了による選挙や、不祥事等の責任をとって退任することに伴う選挙とは根本的に異なるのです。これでは選挙結果に民意が的確に反映されようがありません。 さらに、議会における政策議論もなしに、一方的に事実上『都構想』のみについて住民の判断を求めることはあり得ません。憲法に基づく長と議会の二元代表制を否定する行為です。加えて、住民との間の議論もまったくありません。憲法が定める地方自治の本旨(憲法92条参照)の核心をなす『住民自治』を真っ向から否定する行為です」