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クロウデイズ/Novel by 観鳥

クロウデイズ

2,015 character(s)4 mins

ミックミクに

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東雲彰人くんは、まふゆたちのチーム内だけでなく、ヒーロー全体から見てもナンバー2の位置にいる。悪い切り抜きが広まってしまったせいとはいえ、そんな人が手も足も出ずに負けたと噂になると、全体の士気に関わる。東雲くんが落ち込んでいる理由は、それだけが理由ではなさそうだけど

「⋯⋯大丈夫?手酷く、やられちゃったみたいだね」

「あー⋯⋯別に凹んでねえっすよ。あいつにやられるのは慣れてるんで」

「あいつ⋯⋯?」

「⋯⋯いえ、なんでも」

この反応は、相手に心当たりがあるみたいだ。変身して戦うヴィランとヒーローは、簡単には正体を気取られないように魔法がかかっている。それでも解る程の間柄なのか。

「Eの相手は、代わった方がいいかな?」

「俺がやります。やらせてください」

反撃出来ないような相手から、何を与えられてきたのか。恩か、それとも負い目か。

『⋯⋯まふゆ?』


胸の奥が、ちりちりと痛んだ。

「⋯⋯朝比奈センパイ?」

「ああ⋯⋯うん。上の人にも、東雲くんの決意伝えておくね」

「よろしくっす」

ヒーロー活動のスポンサーは、鳳さんの家がしてくれている。財力と遊び心に溢れたサポートあってこそ、まふゆたちは真っ直ぐヒーローをやれている。

「伝言もらってきたよ〜!」

「お帰りなさい、ミク。長官は、なんて?」

ミクたちは電霊という、デジタル生命体の側面もあるから、実はメールよりも早く行ったり来たり出来る。その積極性と愛嬌で、基地のみんなを繋いでくれている。

「しののののめくん、ふぁいとー!」

「⋯⋯おう。のは二個な」

「しのののめくん、ふぁいとー!」

「終わりか⋯⋯?」

「終わりだよー」

「⋯⋯⋯⋯通訳!」

「まふゆ、伝えてあげて?」

同じミクだからって、無条件で分かりあえたりはしないのか、オッドアイのミクがまふゆに投げてきた。いや、これは分かるけれど言葉に出来ないといったところなのか。

どっちのミクも、ある意味では口下手だ。

「えっとね、ミクはたぶん⋯⋯」

『Eが姿を見せてから、CBNELの脅威度は跳ね上がった。そのEを抑えてくれるなら、こちらとしては申し分ない』

「⋯⋯って言われてきたんだと思うよ」

「うんうん!」

「⋯⋯鳳長官は、応援してくれてるんだね」

オッドアイのミクが頷いている。素直でよろしい

「いやまて、その情報量何処にあった?」

「ミクの顔、かな?」

「私、の?」

一緒に暮らしている方のミクが、こてんと首を傾げている。バーチャルシンガーが複数居合わせると、たまに会話がこんがらがる。各々特徴が枝分かれしているので、そんなにややこしいことにはならないが。早くコードネームもらった方が、みんなすっきりするのかも。

「えーっと、こっちのミクだよ」

「ふふん、ミクを見るのだー!」

あまり感情が表情に出ないミクも、表情豊かなミクも、たくさんの身体の言葉を発している。疑問符や、感嘆符が空に浮かぶようだ。

「だあっ!?ちくしょう、猫耳にしか目が行かねえ!てかそれ、生えてんのか?」

「生えてるよー?」

サーカス団員のような衣装を普段着にしているミクが、東雲くんに耳を触らせている。ぴこぴこぴこぴこ、動いている。

「まじかよ。ミク族すげぇな⋯⋯!」

「ミク、族?」

東雲くんが新しい単語を生み出して、オッドアイのミクが困惑している。猫に夢中になっているからか、珍しく周りの様子が目に入っていない。

「東雲君って……猫、好きなの?」

「まあ……相対的には?」

「そうなんだ、一緒だね」

「程々に好きってことすか?」

「動物全般、好きだよ?」

「じゃあ、将来はそっち系とか?」

将来、か。そんなこと、考えたこともなかった。

「……そんな気持ちもあったけど、私は動物には嫌われているから」

「ちょっと、信じがたいっすけど……」

「ん~~~?」

ネコ科の生き物が今度は、まふゆにまとわりついている。ミクが二人して、慰めに来ている。おかしいの。別に、傷はないのに

「でも、本当だよ。動物には、避けられちゃうんだ」

「それは……残念だったっすね」

「気にしないで、慣れちゃったから」

そう、慣れている。遠巻きにされることは、まふゆの人生の中で、よくあることだった。

「まふゆ。私は、まふゆが好きだよ」

「ミクもミクも〜♪」

側で猫ミクたちが慰めてくれている。誰にも傷なん
て見せたことはないから、こんな風にされたことはなかった。

「なあ、ミクとミク。こっちに振るなよ⋯⋯」

「彰人くんは〜?」

「好き、じゃないの?」

「やらねえっての、そういうのは女子だけで頼む」

「あはは、ごめんね?」

困り果てている東雲くんには悪いけど。愉快なシチュエーションで、こういうのも賑やかで嫌いじゃないかな

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