混乱と疑問 米当局者による男性射殺、現在の捜査状況は

アレックス・プレッティさんが射殺された現場を捜査するミネソタ州犯罪捜査局の職員/Octavio Jones/AFP/Getty Images via CNN Newsource

アレックス・プレッティさんが射殺された現場を捜査するミネソタ州犯罪捜査局の職員/Octavio Jones/AFP/Getty Images via CNN Newsource

(CNN) 国土安全保障省(DHS)の職員が看護師のアレックス・プレッティさんを射殺してから2日、混乱した捜査が展開されている。司法省は公民権調査を開始していないが、現地のミネアポリスにはデモ参加者を調査するための危機対策センターが設置された。政府高官らはプレッティさんが射殺前に武装解除されていたかどうかを明言していない。

当局者によれば、DHS傘下の国土安全保障捜査局(HSI)が射殺事件の連邦捜査を主導し、連邦捜査局(FBI)は物的証拠の処理を含む支援的役割を担っている。

FBIのパテル長官は25日、プレッティさんの銃について「我々が押収している」と述べ、FBIが自局の研究所で分析すると付け加えた。

DHSの元当局者によると、HSIはこれまで連邦当局による実力行使事件の刑事捜査を実施したことはないが、適切な場合にはそうした捜査を支援・調整・サポートしてきた。FBIと共同で主導するのは異例だ。

26日の午後現在、少人数の捜査チームが事件の公開映像と、警官(事件に関与した数人を含む)が当日装着していた最大30台のボディーカメラ映像を検証中だ。

死亡する直前の映像で、プレッティさんはDHSの捜査官とその捜査官によって地面に押し倒された女性の間を移動している。捜査官はプレッティさんに化学刺激剤を噴射して膝(ひざ)をつかせた。その後、他の数人が素早くその上に乗りかかり、地面に押さえつけている。プレッティさんは抵抗しているように見える。

CNNの映像分析によると、連邦移民局職員1人がプレッティさんから銃を奪い取った直後に、職員らが本人を射殺したとみられる。

関係者によれば、プレッティさんともみ合う混乱の中で、格闘に加わっていた職員の一人が発砲後、「誰が銃を持っていた?」と尋ねる声が確認されている。現場で収集された映像は現在、内部での検証対象になっている。

捜査当局は現在、関係職員への聴取も実施。調査は依然としてごく初期の段階にある。

銃撃事件に関するその他の調査

過去の民主党・共和党政権下で、司法省は法執行を担当する当局者が関与した銃撃事件において、執行官が過剰な力を行使したか否かの調査を行ってきた。

こうした事例では、地元警察がFBIとその広範な捜査資源の支援を要請。両者が連携して綿密な証拠収集、聴取、情報共有を行う。

連邦当局が公民権法違反の観点から捜査を進める一方、地元の法執行機関は殺人罪や暴行罪の可能性に焦点を当てる。

司法省当局者はCNNに対し、現時点で同省は公民権調査を開始していないと説明。しかし「証拠が提示されれば」、調査を開始すると述べた。

2020年5月、ミネアポリス市警の警察官がジョージ・フロイドさんを殺害した4日後には、当時のトランプ政権下のビル・バー司法長官が、フロイドさんの死に関する連邦公民権調査の開始を発表していた。

税関・国境警備局(CBP)の職務責任局(OPR)は、CBP職員による犯罪行為の可能性を調査する機関で、プレッティさんの死について独自の内部調査を行っている。調査プロセスに詳しい関係者がCNNに語ったところによると、OPRは事件の予備調査報告書を作成中で、職員は議会と国民に調査状況を公式に報告する必要があるという。

予備調査の報告書には、発砲した人数や発砲された弾の数といった事件発生状況の概略に加え、事件を撮影していたボディーカメラに関する詳細も含まれる可能性がある。

OPRの主な目的は刑事告発や付託ではないが、犯罪行為の発見は司法省に付託される可能性がある。

ミネソタ州犯罪捜査局(BCA)がプレッティさん射殺事件の現場への立ち入りや、独自の捜査で証拠を収集することを阻止されたと地元当局が発表したことを受け、ウォルズ州知事は26日の声明で、トランプ大統領が州の捜査継続を認めることに同意したと明らかにした。

BCAは週末にトランプ政権を提訴。これを受け連邦判事は、DHSが銃撃事件に関して収集された証拠を破棄または改ざんすることを禁じる命令を出した。

DHSは裁判所への提出書類の中で、証拠は破棄されていないと主張している。

ミネソタ州当局は裁判所への提出書類の中で、連邦法執行機関が証拠を適切に取り扱っているかどうか確信が持てないと述べた。この証拠には事件で使用された銃も含まれる。

州捜査当局の幹部は、判事への書簡で、事件で使用されたとみられる銃の画像がソーシャルメディアで拡散していると示唆。通常の法執行手順で銃が保護されたようには見えないとし、他の証拠の保護に関しても懸念を示した。

裁判記録によると、HSIはプレッティさんの携帯電話も押収している。

政権当局者、プレッティさんを違法行為で即座に糾弾

当局者らは銃撃事件に関する公の判断を下す前に捜査の終了を待つよう繰り返し求めていたが、DHSのノーム長官、パテル氏をはじめとする関係者は、銃撃事件に関して虚偽の主張を行い、プレッティさんを違法行為で糾弾した。

ホワイトハウスのミラー大統領次席補佐官は、プレッティさんを「連邦職員を殺害しようとした」「暗殺者」と形容。ノーム氏は25日、プレッティさんが「これらの職員に危害を加えようと」銃を振り回したと主張した。

ミネソタ州に現地入りした国境警備隊トップのグレゴリー・ボビーノ氏は当初、プレッティさんが連邦職員を「虐殺」しようとしたとの認識を表明していた。

当局はこれらの主張を裏付ける証拠を提示しておらず、現時点でプレッティさんが事件中に銃を振り回したことを示す証拠は見つかっていない。

24日の銃撃事件を受け、トランプ氏は政権内における国境管理の包括的責任者を務めるトム・ホーマン氏をミネアポリスに派遣すると発表した。これによりボビーノ氏は州を離れる見込みだ。

プレッティさんが「虐殺」を行うつもりだったとのボビーノ氏の発言で、州内の状況は一段と悪化したと、CBP内部の一部関係者を含む当局者は感じている。ボビーノ氏が州内にいれば、現場の抗議活動参加者の怒りに拍車がかかるというのがこれらの当局者の見方だ。

FBIのパテル氏は25日のFOXニュースのインタビューで、「いかなる抗議活動にも、複数の弾倉を装填(そうてん)した銃器を持ち込むことはできない。それだけだ」と、事実と異なる主張をした。

当局者によると、プレッティさんは銃器所持の合法的な許可証を持っていたという。

FOXニュースの司会者から、プレッティさんがどのような形で国境警備隊員に脅威を与えていたのかと追及されると、パテル氏は捜査を主導しているのはDHSだとして明確な回答を避けた。

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