AIと生きる制御エンジニア:2025-2035年 市場予測と立ち回り方
1.市場環境:CAGRと厚労省データが示す「歪み」
まず、これからの10年を予測する上で欠かせないCAGR(年平均成長率)という言葉について説明します。
株をやっている方なら耳なじみあると思いますが、わかりやすく言うと、「成長の平均スピード」のことです。
たとえば、あなたが毎年背が伸びるとします。
すごく伸びる年もあれば、あまり伸びない年もありますよね。
でも、「ならしてみると、毎年だいたいこれくらいのペースで伸びているな」とわかれば、「じゃあ10年後はこれくらいの身長になりそうだな」と未来の大きさを予想できます。
ビジネスの世界でも同じで、この「平均スピード(CAGR)」が高ければ高いほど、その業界は将来有望だと言えます。
世界のFA市場は、2030年に向けてCAGR 7〜9%という、身長で言えば「成長期」のような高いペースでの拡大が予測されています。
しかし、厚生労働省のデータを見ると、真逆の現実が浮き彫りになります。
市場はぐんぐん育っているのに、それを支える技術者の有効求人倍率は4倍を超え、働き手は年々減り続けているのです。
つまり、「仕事(需要)はどんどん増えるのに、やる人(供給)はどんどん減っていく」ということです。
この巨大な「ギャップ」こそが、制御エンジニアにとってのボーナスタイムの正体であり、ここに立っているだけで市場価値が勝手に上がっていく理由なのです。
2.今後の展望:二極化する「PLC屋」の需要
この追い風の中で、エンジニアの需要は明確に二極化します。
一つは、「守りのエンジニア」です。
ベテラン層の大量引退に伴い、ドキュメントのない古い設備や、複雑怪奇なラダー回路を保守できる人材が枯渇します。
「直せる人がいない」という消極的な理由ですが、この領域のニーズは底堅く残り続けます。
もう一つは、「攻めのエンジニア」
市場成長を牽引する半導体や物流自動化の分野では、AI連携やデータ分析といった付加価値が求められます。
ここでは従来のラダー回路に加え、IT技術を駆使して「データを語れる設備」を作れる人材が渇望されています。
つまり、これからの10年は「とりあえず動けばいい」時代から、
「既存設備を延命させるか、付加価値の高い次世代機を作るか」のどちらかでしか生き残れない時代へとシフトします。
3.具体的な立ち回り:30代からの「ポジション取り」
この変化に対し、30代ないしはそれより若いエンジニアが取るべき道は、「現在の実務経験」に「新しいタグ」を一つ掛け合わせることです。
① 技術の立ち回り:「通訳」になる
いきなりWebエンジニアを目指す必要はありません。現在のラダーの知識を軸に、「ST言語」や「Python」といったITスキルを少しだけ習得してください。
ITエンジニアは現場の安全管理を知りませんし、現場の職人はデータベースを知りません。この両者の言葉を理解し、システムを繋ぐ「ブリッジ人材」こそが、今後最も希少価値が高く、高待遇で迎えられるポジションです。
② 所属の立ち回り:「上流」へ移動する
下請け構造の下層で、終わりのない仕様変更に消耗戦を挑むのは得策ではありません。
身につけた「プラスアルファの技術」を武器に、発注側である「ユーザー企業の生産技術職」や、開発リソースを潤沢に持つ「大手装置メーカー」へ活動の場を移してください。
「言われた通りに作る」側から、「どう作るかを決める」側へ移動すること。
これが、年収アップと時間の自由を同時に手に入れるための、最も確実な「賢い選択」と見ています。
すぐには動けなくとも、定期的な上長との面談の場では「こう思っていて、そのためにこんなこと勉強しています」ということは伝えておきましょう。
人事も人と人のコミュニケーションで成り立ちます。
思ってるより早めに動くくらいがちょうどいいです。
より深い制御知識や今後の立ち回りを身に着けたい方は固定ポストから限定サイトを受け取っておいてください。
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