きらきら、きらい
nmmn、完全捏造
拡散、晒しなどはおやめください
みんなに同じような対応してるようでしてないkmrさんと、自分だけ特別だと思ってたことが恥ずかしくて距離を置くakgさん。すいません、気づいたら10,000文字超えてて、激長すぎて申し訳ないです。書いてる間にいろんなことが起こっててかなり悩んだのですが、サンプルということで、すぐにマイピクに下げます
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ああ、これは、ずっと見ないようにしてきた事実にピントがあっただけだ、と思った。とくべつなことなんかなにもなくて、ただ10年前にわかっていたことが、さらに10年経ってより鮮明さを手に入れただけだと思った
そんなことに今さら、ようやく気付いたことが、なによりもばかばかしいと思った
この人は人好きのする人だろうな、と思っていた
初対面の時から、最初から。誰にでも等しく、優しく、明るく、そして好かれるような人。先輩後輩スタッフ関係なく、いつの間にか楽しげな輪の中にいるような人。きむらさんは、そんなおれの思っていた通りの人間だった
そして、そんな人間だったから、むしろ、だからこそ勘違いしてしまった
正直に言うと、きむらさんから自分に溢れ出るなにかは相方に向けられるようなものとはまた違った特別感があると、そうやってすこしだけ思っていた。周りとはちがう、なにかがあると、ほんのすこしだけ
でも、勘違いしちゃいけないともほんとうに思っていたし、これは特別なことなんかじゃないとちゃんと毎日心の隅で自分に言い聞かせていた
きむらさんの「人たらし」的な魅力に当てられて、自分が変な気を起こしているだけだとか、べつにきむらさんは誰にでもおんなじような対応をしているだろうとか、ずっとぐるぐるぐるぐる考えて、それでも心のどこかにずっと居座り続けるその感覚をぬぐいさることはできなかった
「赤木は、特別やから」
「やっぱ赤木とおるときが一番楽しいわ」
「赤木のそういうとこ、めっちゃ好き」
「こんなん赤木にしか言わんよ」
2人きりになった瞬間にだけ、そんな湿度の高い言葉をとんでもなく甘い表情で投げかけて、髪や首筋にやさしく触れてくる
その時の空気感や指先の温度は自分だけのものだと思っていたし、きむらさんから吐かれる言葉に一喜一憂して、平静をとりつくろいながらも心臓をばくばくと跳ねさせる自分がいた
もしかしたら、きむらさんも俺とおんなじ気持ちなんじゃないかって、そうやって浮き足だって、のぼせあがり、周りが見えなくなっていた自分が急に馬鹿らしくなったのが、それも5日前のこと
あまりにもあっけなくて、些細で、頬を叩かれるように目が醒めるできごとだった
もうスタッフも数人しか残っていない、閉館前の薄暗い劇場の舞台裏
急いで忘れものを取りに来た俺は、機材の陰で、きむらさんが若手であろう女性作家の背中を撫でているのを見た
女性作家は泣き言を言っているのか、うつむいて鼻をすすっている。俺があわてて身を潜めると、きむらさんは一度きょろりとあたりを見回し、それから、彼女の耳元に唇を寄せるようにして内緒話を始めた
その距離は、数センチ
身長差なのかなんなのか、きむらさんが彼女を自身の影の中に囲い込んでいるように見えた
「……これ、ここだけの話な、」
くす、といたずらに笑ったその表情が眩しい、微かに漏れ聞こえる声はとろけるように甘く低い、ようだった
よく、わからない
なぜか俺の心臓はのどごしまで跳ね上がるほどはやっていて、それでパニックを起こした脳が、こんな風に見せているだけなのかもしれなかった
「あいつら何もわかってへんよ。でもさ、俺は鈴木さんの味方やで。…な、自信持ってや」
彼女が縋るような目で見上げると、きむらさんは背中をとんとんと叩いてそう言った
ぼん、と彼女の頬が赤くなるのが分かった
魔法にかかったような顔をしている。自分が世界で一番特別な存在に選ばれたのだと、錯覚させられた人間の顔
まるで、自分が鏡を見ているのかと思った
10年前から何度も何度も、きむらさんのその言葉や表情やしぐさにやられて、そのたびに「自分だけは特別だ」と舞い上がっていた愚かな自分の姿が、そこにあった
(あ、……うわ、あ、おれずっと、)
ちゃんとわかっていたと思っていたのに、自惚れないようにしようと思っていたのに
きむらさんにとっては、あれも、そしてこれも「普通」の範疇なのだ
特別なことなんか、なにもなかった。なにひとつなかった。ただ誰にでも分け与えられる優しさの欠片を、自分だけが宝石みたいに、大事に大事に抱え込んでいただけで
そう気づいた途端、火がついたように顔が熱くなった。どうしようもなく恥ずかしかった
おれ、あ、俺はずっと、なにを勘違いしていたんだろう。俺は、一体なにを夢見ていたんだろう
忘れ物なんて、もうどうでもよかった
俺はそっと踵を返すと、バレないようにその場を離れた
それから劇場の裏口からどうやって駅まで歩いたのか、記憶は曖昧だったけれど、駅までの道すがら、何度も足を止めそうになったのは確かだった
家に帰ってもただひたすらに、今までと、そしてこれからを考えていた
それで、ああたぶん、このままじゃだめだ、とおもった。このままじゃ、いつか勘違いしたままの俺が、きむらさんを困らせる日が来る。それだけは避けないといけない
そうやってやがて朝が来て、重い体を起こした時、俺が真っ先にやるべきことは明確になっていた
修正を、しないといけない
10年かけて歪んでしまったこの想いときむらさんに対する距離を、本来あるべき「仕事仲間」という正しい目盛りに合わせなければならない
また優しくされたら、きっと俺はまた勘違いして、そしてまた勝手に傷つくんだろう
だからその前に、俺は「普通」にならないといけない
そう心に決めて楽屋に入ったその日から、俺はきむらさんへの態度をすこしずつ、けれど確実に変えていった
最初は、ただ目を合わせなかった、というか、合わせられなかっただけだったけれど
きむらさんからの「おはよう」という挨拶にそそくさと返すと、逃げるように席に着く。それから、逃げ場所を作るようにイヤホンで耳を塞ぐようになった
そのまま、ネタ帳かスマホに視線を落としつづける。話しかけられそうになったらあわてて他の芸人に声をかけて、話し込んでるフリをする。ネタ合わせも必要最低限の言葉数で切り上げ、LINEも業務連絡以外ラリーが続かないような、でも自然な返信を考え抜いて送った
……しかし、俺がそうやってひとつずつ距離を空けるたびに、きむらさんが訝しんでいるのはひしひしと伝わってきた
あくまで徐々に自然に、なんて思っていたのに、いざきむらさんを前にすると違和感なくフェードアウトなんてまるでできないし、正直客観的に見れば、これはただ「避けている」だけのようだった
それでも、こちらから向き合おうとすれば、勘違いしていた自分の影がちらつく。まだきむらさんへの想いを捨てきれていない自分を突きつけられる
そして、さらに皮肉なことに、仕事だけは驚くほど支障なく円滑に進んでいった
それが唯一の救いでもあり、同時に俺の胸をちくちくと突き刺す棘でもあったが、挨拶と、どうしても話しかけられたら返す、という最低限のその行為さえあれば日常は回っていくということに俺は気付いてしまったのだった
それで結局、俺はこの5日間そんな子供染みた態度しかとることができなかった
大好きです!!!!!!!!!!!こんな素敵な作品に出会えて幸せです(泣)ありがとうございます(泣)