ガバメントクラウド概要解説_7 調達
2023/09/22 公開
本書はガバメントクラウド利用者のためのドキュメントです。
参照利用は自由ですが、質問・コメントは利用者に限定させていただきます。
7 調達
7.1 概要
ガバメントクラウドを利用する政府情報システムは、利用に向けた各種作業の手戻り等が生じないよう、主に以下の点に留意の上、調達(クラウド環境構築・移行を含むシステム設計・開発等作業に係る調達)準備を進める必要がある。政府情報システムは、「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」に準拠した開発を行うことを調達仕様書に明記する必要がある。地方公共団体情報システムについては、調達仕様書に記載することを推奨する。
なお本ドキュメントにおいては、n年度にガバメントクラウドを利用するシステムが、n年度に上記調達事業者を必要とする前提で記載するが、必要に応じてn-1年度、n-2年度に調達を行うことも検討する。
図 7‑1 ガバメントクラウド利用における全体の流れ
7.1.1 ガバメントクラウドにおけるサービスレベルの考え方
ガバメントクラウドは、利用システムに対し、クラウド基盤上において共通的な機能・サービスを独自に定義し提供することや、利用に当たって特段の制約等を課すことは想定していない。
クラウドサービス自体のサービスレベル(SL)は、各CSPが定めるSLAに準拠するものとする。クラウドサービス標準のSLAを参照しつつ、各システム自体の可用性や業務継続性の確保は、利用システムの責任において、十分に技術的対応策を検討する必要がある。ただし、止むを得ない場合については、大規模な天災等の不可抗力等と同様の扱いとすることを推奨する。
CSPが定めるSLA未達時における、CSPとの支払い、返金対応については、デジタル庁にてCSPとの契約に従い管理するため、利用システムの調達仕様書では当該記載は不要とする。
7.1.2 ガバメントクラウドテンプレートの適用に向けた取組
ガバメントクラウドでは、ガバメントクラウドテンプレート(「表 3‑1 テンプレート/IaCファイル一覧」参照)の提供を通じて、利用システムの環境構築・運用の自動化・効率化や、情報セキュリティ水準の向上を図ることとしている。
ガバメントクラウドテンプレートを活用し、インフラ環境の構築・保守のコード化(IaC化)を行うことで、業務や環境の変化への迅速かつ柔軟な対応が可能となるため、人海戦術的なインフラ構築作業や維持管理コストの高止まりといった状況からの脱却を図ることができる、といった効果が期待される。そのため、調達仕様書においては、IaCに基づくシステム構築・管理等の経験や知識を有する要員を求めるとともに、ガバメントクラウドテンプレートの適用を要件として示しつつ、テンプレート/IaCファイル適用に向けた作業やそれを可能とする体制や実績を要件とすることなどを検討すること。
7.1.3 事業者に求める実績、スキル、役務等
ガバメントクラウドでは、原則としてクラウド基盤上に独自の機能・ソフトウェアを開発・提供することは行わない。そのため、ガバメントクラウド上のシステム構築・移行に係る役務の内容は、各府省で独自にパブリッククラウドを利用する場合の役務内容と基本的には同様である。
なお、ガバメントクラウド上のシステム構築・移行に際し、以下のような点に留意する必要がある。
(1) 事業者に求める実績、スキル等
クラウド移行を円滑に進め、クラウドサービスのメリットを最大限享受できるようなシステムとできるよう、事業者への要求事項として、クラウドサービスの導入・運用等に関する知見や実績を要件とすることが有効である。
ガバメントクラウドにおいては、デジタル庁が提供するテンプレート/IaCファイルをもとにシステム構築等を行うこととなるため、クラウドテンプレートやIaCに基づくシステム構築・管理等に関する理解も求められる。
以上のような点を担保するため、実際にプロジェクトに参画する要員について、利用を想定するCSPの上級クラウド認定資格の保有を要件とすることが必須である。IaCでクラウドインフラを開発運用するスキルが求められる。その上で、その他どういうスキルを要求するか、どの程度の上級クラウド認定資格数を要求するかは利用システムの特性に応じてPJMOで個別に検討すること。
(2) 想定するクラウドサービス利用内容を念頭に置いた調達仕様書の記載・クラウド利用料のモニタリングに関する役務の明示
調達仕様書については、ガバメントクラウドにおいて利用を想定しているクラウドサービスを念頭に置いた記載とし、GCASシステム情報登録におけるクラウド利用料の試算前提と整合性の取れた記載とする必要がある。
また、GCASシステム情報登録に入力したクラウド利用料の範囲内で各利用システムにおいて申請した予算額を超過しないよう監視と管理をし、利用状況に応じたサイジングやアーキテクチャの見直しにより利用料をより削減していく努力を行う必要があるため、事業者の役務として、PJMOから提示されたクラウド利用料の範囲内に収まるようサービス利用実績についてモニタリングを行うこと、恒常的に利用状況やKPI指標をモニタリングしながらサイジングやアーキテクチャを見直し利用料削減策についてPJMOと協議すること等を明記することが望ましい。
7.1.4 その他ガバメントクラウド利用の検討に当たり留意すべき事項
(1) ガバメントクラウドの利用対象
政府情報システムにおいては「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」の適用対象となるシステムが、ガバメントクラウドの利用対象となる。一般会計のうち特定財源や特別会計で運用されるシステムについては、クラウド利用料の支払いにおいて支出委任が必要となるため、個別に相談されたい。
独立行政法人のシステムについては、個別に相談されたい。
地方公共団体情報システムについては「地方公共団体情報システム標準化基本方針」及び「地方公共団体情報システムのガバメントクラウドの利用に関する基準」の適用対象となるシステムが、ガバメントクラウドの利用対象となる。
(2) クラウドサービスの導入実績等を有する事業者への見積もりの協力依頼
クラウド環境構築を含む設計・開発調達に向けた概算要求額の積算に当たっては、既存システムがある場合、既存システムの事業者を中心に見積もりの協力依頼を行うものと見込まれるが、特にオンプレミス環境で稼働するシステムの運用・保守を行う当該事業者は、必ずしもクラウドサービスの取扱いに明るいわけではないことも想定される。そのため、利用を予定するクラウドサービスの導入実績、上級クラウド認定資格の取得状況、トレーニング受講状況等を確認し、当該事業者において求める要員を確保することが明らかに見込めないといった場合においては、利用を予定するクラウドサービス導入支援の実績を有する新規事業者への積極的な働きかけや情報提供依頼を行い見積もりに協力いただくこと。