アジア最大の犯罪組織を追っていったら…行き着いたのは北海道・ニセコ 10億円別荘の所有者は誰? 正体は超大物の親族だった
世界有数のスキーリゾートとして訪日客が殺到する北海道・ニセコエリア。そこに、あるアジアの国の政権中枢に近い一族が所有する高級別荘がある。推定10億円規模。もちろん、物件購入自体は違法ではない。だが、リゾートの国際化が急速に進む中、日本の有名観光地を取り巻く状況も変化しているようだ。超富裕層の別荘地を取材して垣間見えた実態とは。(共同通信=武田惇志、北藤稔道) 【写真】プリンス・ホールディング・グループのチェン会長
▽10億円規模の別荘地 私たちがニセコに目を向けるようになったきっかけは、アメリカが制裁リストに加えたある企業の取材だった。カンボジアの華人系企業「プリンス・ホールディング・グループ」。アメリカ政府は、大規模な投資詐欺や資金洗浄など国際的な犯罪に関与したと指摘。「アジア最大級の国際犯罪組織」と名指ししていた。 トップはチェン・ジー会長。中国系でカンボジア国籍を持つ。カンボジア政府に食い込んで首相顧問も務めていたとされ、公爵の称号も得ていた。だが、カンボジア政府は2026年1月6日にチェン会長の身柄を拘束し、中国に引き渡した。その後の消息は伝わっていない。 取材の中で、このチェン会長が、日本の東京・北青山の高級マンションに登記上の住所を置いていたことが判明する。たびたび日本を訪問していたらしい。さらに、幹部が大阪のタワーマンションに住所を登記していることも分かった。 このグループは、実は日本に根を張っているのではないか。そこで「カンボジア」をキーワードに、関連する日本国内の土地・建物登記を調べてみようと考えた。
その過程で、こんな情報を得た。 「北海道のニセコにもカンボジアの関係者がいるらしい」 この情報を精査して浮かび上がったのが、ニセコエリアの高級別荘だった。 入手した登記簿などによると、別荘は2階建てで総面積は計約430平米。ベッドルームと浴室は6つずつある。土地・建物合わせて10億円規模とみられる。現在の所有者は、これを昨年3月に一括で購入したようだ。住所はカンボジア・プノンペン。名前はフン・マリー氏。カンボジア前首相のフン・セン氏の次女だ。 フン・セン氏はただの政治家ではない。泥沼となった同国の内戦を生き抜き、軍事指導者として台頭。首相として1985年から38年間、カンボジアを統治してきた。2023年に長男のフン・マネット氏を自身の後任首相として禅譲したため、まるで世襲の王国のように見られ「フン・セン王朝」とやゆされた。今なお、最高権力者として事実上の院政を敷いているとみられている。
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