レポーターは見た! 暴行事件で逮捕のデヴィ夫人に密着して分かった“怒りの処理”と「本当の素顔」

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超一流ホテル「アスペンクラブロッジ」での蛮行

タレントの「デヴィ夫人」ことデヴィ・スカルノ氏(85)が、1月23日に自身の事務所に勤務していたマネージャーへの傷害容疑で、書類送検されたと報じられた。

事件が起きたのは昨年10月28日の深夜のこと。東京・渋谷区にある動物病院で、入院していた愛犬の死を知らされたデヴィ夫人が、院内で激高。壁を蹴るなどして暴れたところ、制止しようとした30代女性マネージャーに暴行を加え、軽傷を負わせたとされている。通報を受け、警察官が駆けつけた。

デヴィ夫人を巡る暴行トラブルは、これが初めてではない。

最近では昨年4月に、10月の件とは別の女性事務所スタッフへの暴行の疑いで書類送検されている。それ以外でも、たびたび話題になっている。

そんななかで、私が一番印象深いのは、1992年にアメリカ・コロラド州アスペンで起こした事件だ。

高級リゾートホテルで開かれた国際的パーティーの席上、デヴィ夫人は知人女性との口論の末、シャンパングラスで顔面を殴打。被害女性は37針を縫う重傷を負い、夫人は暴行罪で逮捕。有罪判決(禁固60日・罰金750ドル)を受け、拘置所に収監された。

私は拘置所に収監されたデヴィ夫人に4日間、密着取材を行った。

今回の書類送検を受け、当時の取材で私が実際に目にし、耳にした「デヴィ夫人という人物像」を、あらためて記したい。

事件が起きたのは、アスペンスキー場にある超一流ホテル「アスペンクラブロッジ」。ドイツ旧王家のオーナーが主催した記念パーティーで、世界各国から約200名が招待されていた。

アメリカの石油王や著名モデル、芸能関係者、そして当時すでに富豪として知られていたドナルド・トランプ氏の元夫人も顔を揃えていた。

クラシックの生演奏が流れ、談笑とダンスが続く中、午後10時20分ごろに入り口付近で事件は起きた。

相手はニューヨーク社交界で“ミニー”と呼ばれたビクトリア・M・オスメイナ夫人。祖父は元フィリピン大統領、父は野党指導者という名門出身の女性である。

囚人服ではなくトレーナーにスパッツ姿

かつては姉妹のように親しかった2人。だが、もろもろの事情から当時には不仲になっていた。

酒も入り、感情が高ぶる中、オスメイナ夫人のある一言に、デヴィ夫人は逆上する。次の瞬間、夫人が手にしていたシャンパングラスが振り下ろされたのだ。

日本からの取材は、私たちが第一号だった。

午後のワイドショー『タイム3』(フジテレビ系)のレポーターだった私と週刊誌記者との合同取材である。

拘置所に現れたデヴィ夫人は、囚人服ではなくトレーナーにスパッツというスポーティーな軽装。暖房の効いた室内で、つい先ほどまでフィットネスルームでエアロバイクを漕いでいたという。とても“逮捕された人”には見えなかった。

夫人はこう語った。

「ここは食事もおいしいし、世界で一番いい刑務所よ。カントリークラブみたいなものじゃないかしら」

私は事件について

「被害者は顔に37針の傷を負っていますよ」

と問いかけると、夫人は即座に

「私は東洋の女性です。いくら腹を立てても、女性の顔を傷つけるようなことはしません」

と反論。そのうえ、

「グラスは、彼女が私の手をつかんだ拍子に当たっただけ」

「有罪判決には、今でも納得していません」

と強い口調で話したのが印象的だった。

言葉の端々から伝わってきたのは、謝罪や後悔ではなく、自分が置かれた立場への憤りだった。

取材最終日にはデヴィ夫人が事故に遭い、救急搬送されるハプニングもあった。取材陣とともにボランティアハウスに向かう途中、道路を横断しようとした際に夫人の左腕が車に接触してしまったのだ。10年後に羽田空港で再会した際、私がその事故を心配すると、夫人は

「あら? そんなこと、ありましたかしら~」

と笑っていた。シャンパングラスでケガをさせたことを含め、夫人にとっては過去のことで忘れてしまったのかもしれない。

この人には、「後悔」という言葉が存在するのだろうか……。今回の書類送検で、そんなことを思い出した。

取材・文:阿部 光利(元TVリポーター、政治ジャーナリスト)