外国人が日本の社会保障制度に「ただ乗りしている」といった声は、ネットなどで広まっている。実際はどうなのか、現状を点検した。
◆外国人は「日本の高齢者福祉にとって非常に大きい存在」
やり玉にあがる一つが、国民健康保険(国保)だ。厚生労働省が全国150自治体を対象にした調査(2024年末時点)では保険料の収納率は、外国人が63%で日本人を含む全体の93%を下回った。
埼玉県川口市でも同年度の収納率は外国人が84.2%、日本人は93.0%だった。外国人の収納率が日本人より低いのは全国的な傾向だ。
外国人政策の見直しを進める政府は、この状況を問題視し、滞納者の在留資格の変更や更新を認めない仕組みを導入することを昨秋明らかにした。こうした一連の流れも「ただ乗り」言説の根拠になっているようだ。
これに対して、淑徳大の結城康博教授(社会保障政策)は「外国人の未納が与える影響は大きくはない。むしろ外国人は保険財政に貢献している」と述べる。
どういうことか。厚労省によると、国保に加入する外国人は2023年度時点で97万人で全体の4.0%。これに対し、総医療費に占める外国人の割合は1.39%で受益より負担が大きい。これは加入する外国人のうち、医療の恩恵を受ける高齢者は少なく、圧倒的に現役世代の方が多いことが影響している。
結城氏は「年金も同様だが、少子高齢化が進む日本で、外国人は労働力を提供し、年金も含め社会保障費を払ってくれている。日本の高齢者福祉にとって非常に大きい存在だ」と指摘。外国人の未納が多いのは、国民皆保険制度になじみがないなど複数の理由が考えられるという。
その上で「収納率を高めるのは必要だが、日本人にも未納者はおり、外国人だけ過度にペナルティーを科すような不公平な仕組みにならないようにするべきだ」と述べた。
◆生活保護の対象になる外国人は限られている
一方、外国人が生活保護を受給することへのバッシングも根強くある。昨年、移民政策反対を訴えるデモで参加者から「日本人の払った税金を外国人の生活保護に使う必要はない」といった声がよく聞かれた。
花園大の吉永純教授(公的扶助論)は「外国人であっても保護費の原資となる税金を支払っており、日本人だけで費用を賄っているわけではない。そもそも外国人は生活保護を受給できる対象も制限されている」と現状を説明する。
厚労省によると、生活保護の対象となる外国人は、1954年の旧厚生省の局長通知により、10年以上日本に住んでいる永住者や在日コリアンら特別永住者、難民認定を受けた人らに限定されている。
2023年度(月平均)には、外国人が世帯主の4万7317世帯が受給しているが、全体の2.87%にすぎない。
「外国人は日本人より生活保護で優遇されている」との言説もよく聞くが、厚労省保護課の担当者は「事実ではない」と否定した。
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AA 1月25日20時49分
公私ともに海外出身の方が多い環境にいるのですが、現状をある程度知っているからこそ「ただ乗り」などという現実に即さない言葉を聞いて心を痛め憤慨していました。このような記事で日本に住む外国人の公的負担/受益の現実を報じてくださり感謝します。
私の知る限り個人的に知る外国人の方々はみな税をきちんと負担し、それだけではなく例えば地域や学校の行事に参加し、大事な担い手になっています。日本語能力が高い方はみんな嫌がる役員を買って出たりしています。
さらにここに付け加えたいのは、重い病気を患ったりリタイヤすると出身国に帰る方がかなり多いことです。つまり、若く元気な時には日本の社会システムの維持に貢献し、受益する時点になるとそれを受けずに日本を離れる、それが示してくださったデータにも如実に現れているようです。
このような記事が多くの人の目に触れ、事実誤認による排外主義が収まってくれるよう願っています。
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