「統一教会」を知りたければまず国会図書館だ
図書館があれば誰でもできること
書籍は、最低でも1冊あたり10万文字以上の文字数の、首尾一貫した文字情報で構成される。これだけの情報をまとめるには相応の知識、相応の時間、相応の知的能力が必要だ。この時点で、書籍の内容は一通りのスクリーニングを経ている。 もちろん、個々の書籍の内容にも偏りはある。それは同テーマで多数の書籍を読み進めることで、読み手が補正できる。 そして、同テーマで何冊、何十冊と読み進めると、いくつかの書籍の記述が重なって「あ、ここが物事の勘所らしい」という焦点が見えてくる。2冊の本の記述が重なるだけなら、偶然とか偏りとかで排除すべきかもしれない。しかし3冊、4冊の記述が重なってくると、偶然や偏りで排除するのは難しくなる。 そのような読書体験の中で、時折『仮面のKCIA-国際勝共連合=統一教会-』のような書籍が見つかる。それまでに読んだ書籍を、一つの見通しのもとに整理し、「ああ、この本のこういう記述はこんな意味があったのか」というように知識を立体的に俯瞰(ふかん)し、整理・統合ができるような書籍である。 今回で言えば、星製薬の創業者、星一への興味からアヘン関連の本を読み、アヘンで資金を調達してきた満洲国の本を読み、岸信介の本を読み、それら読んできた本とぴったり整合する本として『仮面のKCIA』に行き当たった、というわけだ。 知識の整理・統合をもたらす書籍に巡り合うには、とにかく多数の書籍を読むしかない。玉石混交の読書を続ける中からこそ、「この一冊」という決定版が見つかる。 その「決定版」も一冊だけでは、「決定版」たり得ない。そこまでの読書の内容が頭に蓄積されているからこそ、「決定版」は「決定版」となり得るのである。 そして、今読んでいただいているこのコラムそのものが「たかだか県立図書館にある本を読むだけで、これだけの推論を展開できる」ことの実例だ。 社会が激動している時こそ、ネットに転がる140文字以下しかないSNS投稿やショート動画、さらにはテレビのスイッチを入れていれば勝手に家庭に垂れ流されるワイドショー番組のひな壇芸人のトークなどではなく、図書館に行って関連書籍を読み進めるべきではないか、ということを強く主張したい。 「知識を得るのに本を読むなんて、そんな面倒なことをしたくない。ショート動画やSNSで、手軽にタイパよく知識を吸収したい」という方もおられるであろう。 が、今やショート動画はAI(人工知能)による生成動画で汚染され、SNSは効率よく他人を操りたい連中――それこそ「嘘でもいいからバズって一獲千金だ」の収益目当てのインフルエンサーから、お手軽に人々を扇動して選挙で当選したい悪党、相手国の世論を自国に有利に操りたい他国の諜報組織まで――の、草刈り場となってしまっている。 この状況で、物事を正確に見通すための手掛かりになるのは何か――ずばり図書館だ。国会図書館からはじまり、都道府県立図書館であり、地域の市町村立図書館であり、大学の図書館であり、高校、中学、小学校に至るまでの学校の図書室である。それは、幼稚園、保育園の絵本が詰まった本棚までつながっている。 混迷の中で確かな道しるべを得られるのは、実に本であり、図書館なのだ。長いテキストを読むことを恐れてはいけない!! ――と、毎度長文の連載コラムを書き散らす私が言うのも何なのだが。
松浦 晋也