「統一教会」を知りたければまず国会図書館だ
前にも書いたのだが、私は10年ほど前に、SF作家・星新一(1926~1997)の父である星一(1873~1951:星製薬の創業者だが、日本における阿片=アヘン精製事業のキーパーソンであった)への関心をきっかけに、医薬品でもあり麻薬でもあるアヘンに興味を持った。 そこで「日本近現代史におけるアヘンとアヘン産業」、付随して覚醒剤などの麻薬をテーマに、主に神奈川県立図書館を使って継続して読書をしてきた(「国立国会図書館よ、永遠なれ」)。 満洲国とアヘンというと、外せないのが岸信介だ。というわけで、県立図書館にある岸信介関係の本もほぼ読み尽くした。 ところで、旧統一教会が1950年代に日本に進出した時、日本におけるパトロンになったのは、その岸なのである。 こんな流れで、岸と旧統一教会の関係を扱った本を探しているうちに『仮面のKCIA-国際勝共連合=統一教会-』(「赤旗」社会部著、新日本出版社 1980年)という本に行き当たった。 ●国会図書館のホームページで誰でも読める さっき「向かうべきは図書館」と言ったが、実はこの本は国会図書館ホームページで、登録さえすればオンラインで誰でも読むことができる(こちら https://dl.ndl.go.jp/pid/12090170/ なお、国会図書館の利用者登録は、ここから https://www.ndl.go.jp/jp/registration/index.html)。 これをきっかけに、オンライン登録しても損はない。いや、損はないどころか、莫大な知的利益を得ることができるだろう。 さて、『仮面のKCIA-国際勝共連合=統一教会-』だ。 この本には本当に驚いてしまった。1980年出版。45年前の本である。にもかかわらず、旧統一教会に関する、知っておくべき知識がぎっしりと詰まっていた。 「共産党の機関紙の赤旗の本だろう?」と敬遠する人もいるのだが、こと社会的問題に関する調査能力に関して、赤旗を決して軽く見てはいけない。 と言いつつ、正直、自分が1980年(自分が18歳の時だ)の時点でこの本を読んでいたら、「赤旗だし」という偏見もあって、正面から受け止めることができなかったと思う。しかしその後、1980年代から90年代にかけて何人もの芸能人・著名人が旧統一教会の布教にひっかかり、例の集団結婚式にまで参加した。その結果、旧統一教会問題はスキャンダルとなり、ずいぶんと報道された。その時に大々的に報道された内容のあらかたが、スキャンダル発生の10年以上も前、1980年に出たこの本に、克明に記述されている。 書かれた内容がその後の報道にも事実として出てきたということは、この本の記述が、一字一句とはもちろん言わないが、相当以上に正確であるという証明だろう。そして、本書の中のその後あまり報道されなかった部分も、おそらく正確である可能性が高い、ということである。 で、何が書かれているのか。 本書には、韓国における旧統一教会の出自や、大韓民国中央情報部(KCIA)との関係、さらにはどのような経緯で1968年に日本側の右翼の大立者だった笹川良一(1899~1995)と協力してフロント組織の国際勝共連合を立ち上げたかまでが記述されている。 ということで、一読をお勧めするのだがそれでは文字数が埋まらない。以下、ほんの少し、この本から旧統一教会の歴史を紹介し、その上で考察してみよう。 旧統一教会には、それに先立つカルト系新興宗教がある。教祖自らがキリストの化身の自称して女性信徒と性交する教団や、信徒を洗脳し、限界まで働かせて搾取する教団は、日本支配下の1930年代に発生したのだそうだ。 それら先達が開発した洗脳と搾取の技術、及びそれを正当化する教義を学んで、文鮮明(ムン・ソンミョン、1920~2012)が1954年にソウルで立ち上げたのが、「世界基督教統一神霊協会」(2015年、世界平和統一家庭連合に組織名を変更)、すなわち旧統一教会なのである。 世界基督教統一神霊協会は旗揚げ翌年の1955年に、梨花女子大学の女学生多数を信徒に引き込んだ梨花女子大事件、そして教団内で行われている性的儀式の実際が東亜日報紙で暴露された混淫事件という2つのスキャンダルを引き起こす。結果、文鮮明以下教団幹部は逮捕された。 が、逮捕によって旧統一教会と権力が接触した。事件の後、世界基督教統一神霊協会に軍の諜報(ちょうほう)関係者が入信しているのである。つまり、権力がなんらかの謀略の道具に使えると考えて、旧統一教会を拾ったのだ。 1958年から、旧統一教会は日本進出を開始する。