【ザ・ブラック・ハイク・マーダー】 #4
この小説はTwitter連載時のログをアーカイブし、最低限の誤字脱字修正などを行なっています。このエピソードのオリジナル版は、物理書籍/電子書籍版「ニンジャスレイヤー キリング・フィールド・サップーケイ」で読むことができます。
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「イヤーッ!」エグザルテッドはディテクティヴめがけ、木製テーブルを蹴り飛ばした。直後に発射された49口径弾の命中により、テーブルは木っ端微塵に砕け散ったが、その背後にもう彼女はいない。バーカウンターを蹴って優雅なトライアングル・リープを決め、空中でディテクティヴの顔を側面から蹴りつけていた。
「イヤーッ!」「グワーッ!?」この奇襲を受け、ディテクティヴはよろめいた。治ったばかりの鼻がまたへし折れた。貴婦人の優雅な外見を裏切るような重い一撃。全身を過剰サイバネ化した女ニンジャの体は、その美しい外見を裏切る強度と質量を持ち合わせていたのだ。
ディテクティヴは体勢を立て直し、右の49マグナムで迎撃せんとする。 BLAMN! だが敵は既に彼の懐に潜りこんでいた。「くそったれめ……!」咄嗟に左の49マグナム接射! だがエグザルテッドはこれもまた舞うように回避!「かすりもせぬわ! イヤーッ!」鋭い刃を持つ両手を、鉄扇武器の如く振るった!
「グワーッ!」そのたびにディテクティヴの体は切り裂かれ、抉られ、血飛沫が飛んだ。苦痛に耐え、再び反撃のマグナム射撃。BLAMN! だが「イヤーッ!」一瞬早く、エグザルテッドのバックフリップ跳躍回避めいたサマーソルトキックが、ディテクティヴの顎を蹴り上げていた。「グワーッ!?」彼は仰け反り後ずさった。
エグザルテッドはそのまま連続バック転を打ち、寸分の狂いもない着地を決めると、自らの構造美と速度に対して称賛の声を漏らした。「見よ、この力を……!」その言葉には、鈍重なるディテクティヴとその銃弾に対する侮蔑が込められていた。今度はより深く切り裂き、仕留めるために、彼女は一気に間合いを詰めた。
「イヤーッ!」鋭角の連続トライアングル・リープで飛びかかるエグザルテッド。「イヤーッ!」迎え撃つ49マグナム! BBLAMNN! またしても、銃弾は彼女にかすりもしない! ……だがそれは、ガンドーの狙い通りであったのだ。彼は遅さを十分に印象付けた。そもそも今回、マグナムの銃口は彼女を狙っていない。
エグザルテッドが気づいた時には遅かった。次の瞬間、銃撃反動を用いて加速したカラテ・スピンキックが命中し、エグザルテッドの両腕を砕いていた。これぞ暗黒武道ピストルカラテの神髄。直後、銃を握ったままのセイケンヅキが、ガラ空きのボディに叩き込まれる。同時に、トリガーが引かれる。
「……この……下郎……めが……!」「イヤーッ!」BLAMN! 密着状態から、怪物めいたマグナム銃が無慈悲に火を噴いた。全ては一瞬だった。「グワーッ!」腹に大穴を開けられたエグザルテッドは、ケーブル類と歯車と火花を散らしながらワイヤーアクションめいて部屋の隅に吹っ飛び、背中を壁に叩きつけられた。
「こんな……! こんな事が……!」彼女は体を起こそうとした。昆虫めいた異様な動きで。だがもはや立ち上がることすらできない。「あああああ!」エグザルテッドは破損したサイバネ四肢を振り乱し、床に転がった。言葉にもならぬ罵詈雑言かノロイめいたものを、狂ったようにわめき散らしながら。
「どうだチクショウめ……! ジツでも魔術でも使ってみやがれってんだ……!」ディテクティヴは呼吸を整え、ザンシンを決めてから、こう言った。「……さあ、教えてもらおうか。お嬢さん。あんたの正体を。あんたはどこの誰なんだ……?」
サイバネの怪物はキーワードに反応するAIめいて、不意に理性の光を取り戻し、嘲笑うように言った。「……我はエグザルテッドなり。偉大な魔術を行う者なり……」ブザマな足掻きを止め、どうにか背を壁にもたれかけ、破壊された両腕を左右に開いていた。
「あんたはコヨミ・ウサギじゃねえんだ。彼女はもう死んじまったんだよ。ラボで身体パーツが回収された話は、さっきマスターから聞いただろ。あんたは偽物だ。あんたは本物の魔術師じゃねえ。あんたは何者だ」ガンドーが言い放つと、彼女は僅かな動揺を見せた。そして電子ノイズ混じりに答えた。
「ハ! 物を知らぬ犬めが。戯れ言を。我はコヨミ・ウサギ。その肉体の牢獄を捨て去りたる魔術師にして神の破片を宿す者なるぞ……。見よ。肉体をどれほど削ぎ落とし、ジョルリに置換したとて、死にはせぬ。我は大いなる魔術を行使し……」彼女のニンジャソウルは未だサイバネボディを立ち上がらせ、イクサに向かわせようとしていたが、やはり不可能と見えた。もはや彼女の器はジャンクも同然だった。
「確かにニンジャなら、全身を八割以上サイバネにしようが、こたえねえのかもしれねえな。だがヨコミ・ウサギは人間で、その体は確かに死んだ。自分の体をサイバネ置換しすぎて、拒否反応で死んじまったんだよ」ガンドーは続ける。「あんたはどこまでヤミ医者の仕事を把握してたか知らねえが……ラボに保管されてた身体パーツの中には、コヨミ・ウサギの脳髄まであったと言ったら、どう思う?」
「……」エグザルテッドは目を見開き、人形めいた無表情を返した。そして、彼の言葉に耳を澄ました。ガンドーは続けた。顎を蹴り上げられた時の脳震盪が今になって効いてきたのか、視界が徐々に揺らぎ始めた。まずいぞ、と彼は心の中で舌打ちしながら。
「コヨミ・ウサギは魔術とハイクの首謀者だったが、死んじまったよ。ヤミ医者のアワジは、その脳髄を保存していた。だとすると……あんたは何者だ? 魔術の詳細も目的も知らず、オリジナル・ハイクも詠めず、ただコヨミの計画を最後まで果たそうとした、あんたは一体……どこの誰だ?」
「我は……幾千の血の海の中で全てを詳らかにし、エイトミリオンの神々の国へと昇天するはずであった。だが……我がカラテでは届かぬか」火花がバチバチと散り、ケイセイ・カスタム・サイバネ義眼が狂ったように蠢いた。全身義体の女ニンジャの胸郭パーツが電子制御で勢い良く開かれた。
不意に、彼女は驚くような表情を作った。ソーマト・リコールを見ているのか、あるいは白昼夢めいた調子で、あたりを見渡した。「ああ、思い出した。我らは、舞いたかったのだ」開いた彼女の胸では、自爆装置がLEDのカウントダウン明滅を開始していた。ハラキリだ!
「おい待て、早まるなよ……ちくしょうめ!」ガンドーは自爆装置を睨んだ。スザク社の三三式高密度プラスチック・バクチクだ。起爆すればバーが丸ごと吹っ飛ぶ。
「舞いたかったのだ」エグザルテッドは両目から黒い涙めいた液体を流し、笑いながら、ハイクを詠み始めた。「……男でも女でもなく/人でもまた機械でもなき者/……」
「クソッ……!」何らかのジツか、あるいは真の黒魔術か、ガンドーのサイバネ視界が急激に歪み、世界が回転を始めた! ナムアミダブツ!
「イヤーッ!」ガンドーは突撃しながら、マホガニー材と鋼鉄の祭具を握り、祈るようにトリガーを引いた。エグザルテッドは黒いハイクを叫んだ。49マグナムの獣めいた咆哮と私立探偵のカラテシャウトがそれを圧した。
凄まじいマズルフラッシュの中、視界はホワイトアウトした。光。真っ白な光。何も見えず、何も聞こえなくなった。
◆◆◆
タカギ・ガンドーは三本脚の大鴉の姿で飛翔しながら、黒い翼を広げ、ガイオンの夜景を見下ろしていた。永遠に落下しているような、無重力飛行めいた違和感。どこかに引き寄せられている。
その先には琵琶湖があった。空には01ノイズと満月、そして黄金立方体が浮かんでいた。すぐ傍には、彼の助手シキベ・タカコが並んで飛翔していた。「所長」「おう」二人は目配せし、頷いた。瞬時に、探偵と助手はネコネコカワイイの琵琶湖フルムーン・フェス上空に到達し、旋回しながらこれを見下ろした。
数万の観客がオイランドロイド・デュオの登場を待っていた。演目が始まり、観衆は熱狂する。重く響く電子音楽。世界がノイズで揺らいだ。
次の瞬間、会場は血の色に染まった。中心にはウサギ・オメーンを被ったエグザルテッド。彼女は漢字サーチライトと銃弾を浴びながら、無数の死体の間で舞い踊った。IRCコトダマ空間が磁気嵐めいて乱れ、暴風がガンドーとシキベを襲った。
フェス会場では、ケビーシ・ガード部隊から激しい銃撃を受けながら、エグザルテッドが舞っていた。銃弾がオメーンを砕いてもなお、彼女は舞っていた。脚を破壊され、ついに倒れる。身動きせぬ。包囲が狭まる。突如、サイバネの怪物はバネ仕掛けめいて上半身を起こし、自爆用のプラスチック・バクチクを展開した。ケビーシ・ガードらは恐怖に呑まれた。
「クソッタレめ……間に合わねえか……!」竜巻めいた暴風の中、必死に体勢を立て直しながら、ガンドーはサイバネの怪物に対して急降下KICKを行おうとしていた。だが、狙いが定まらぬ。真の名前が見えぬからだ。
「……所長! あれを!」シキベが叫び、何かを指差した。ガンドーは目を凝らした。次の瞬間、魔術めいたWHOISが行使されたかの如く、エグザルテッドの頭上に、複数のハンドルネームが目まぐるしく浮かび上がった。「エグザルテッド」「ブラック・ハイク・マーダラー」「コヨミ・ウサギ」「コヨミ・ツグオ」そして「イナホ」。
ガンドーはその名を呼びながら、上空から急降下KICKを繰り出した。スポットライトめいて強烈な光が注いだ。エグザルテッドは天を仰いで楽しげに笑い、ハイクを唱えていた。彼女の背後に、黒いキモノの女が浮かび上がるのが見えた。白のウサギ・オメーンを被った妖艶な黒髪の女。……世界が回転する。音と記憶が交じり合い、満月と黄金立方体が重なる。
バクチクが起爆した。「サヨナラ!」断末魔のシャウトがエコーした。黄金の光の柱がエグザルテッドを呑み込み、地上と黄金立方体を繋いだ。急降下KICKするガンドーとシキベが、それと斜めに交わるように激突した。
次の瞬間、コトダマ視界の全ては砕け散るように01パーティクルへと変わり、黄金の光に呑まれて、何も見えなくなった。楽しくも物悲しげな、マツリ囃子の音が遠ざかり、消えていった。
◆◆◆
……物理空間におけるプラスチック・バクチクの起爆は、間一髪、回避されていた。エグザルテッドはKICKによってニューロンを焼き切られ、その頭部を爆発四散させていたからだ。そのすぐ横には、無意識のLAN直結を行っていたらしきガンドーが、その記憶すらもなく、うつぶせに倒れていた。
「ああ、チクショウめ……」ガンドーが目を開けた。世界の回転は止まっていたが、まだ立ち上がれない。自分の血の海の中で上半身を起こし、カウンターの向こうに呼び掛けた。「おいマスター、生きてるか?」「ん……」マスターは胸に手を当て深呼吸して言った。「何とか無事らしい。そちらは?」
「何ともねえさ。前より頑丈になっちまったからな。しかし、痛えのは何も変わらねえんだよ……アイテテテテ……」ガンドーは額を押さえ、酷い頭痛と体の痛みをこらえながら言った。店内は酷い有様だった。「この後、どう片付けようかね。いつから営業できるか」「さあてな、俺も頭が痛えよ」「しばらくは考えたくも無いな」「同感だ……。ああ、おい待てよ、マスター。彼女は大丈夫か?」
「おお、そうだ」マスターは棚の通話ボタンを押した。「もう大丈夫ですよ、お嬢さん」するとバー奥の控え室に続く隠しドアが開き、怯え切った表情の若いオイランが恐る恐る現れた。「アイエエエ……」彼女の左目は、職人の手になる美しいエメラルド色のサイバネ義眼。ブラック・ハイク・マーダー事件の最後の犠牲者となる予定のオイランであった。
このオイランはガンドーに説得され、このバーに匿われていたのだ。その間ガンドーは、真犯人が彼女を襲いに来るのではと予測し、彼女の勤め先や住居の周辺を張っていたが……そこへシングル・モルト瓶の緊急通信が届いたのである。「まさか、犯人がこっちへ来るとはな……」
「お嬢さん、もう事件は解決いたしましたよ」マスターが呼び掛けた。「ほ、本当ですか。良かった……これで家に……」「オイオイオイ、ちょっと待て!まだ掃除が……」「アイエエエエエ!?」彼女は血みどろの私立探偵とサイバネ女ニンジャの残骸を見て、顔面蒼白で卒倒した。マスターが彼女を支えて助け起こし、壁にもたれさせた。
「参ったな、マッポが来たら大変だ」「どうせ来ねえだろ……」ガンドーが唸り、痛む身体をさすった。まだ立ち上がれそうになかった。「ちょっと推理でも聞いてくれねえか。俺もたまには推理するんだ。たいてい、事後だけどな」「是非お聞かせ願いたいね」マスターも捨て鉢な調子で言った。今しばらく、後片付けのことは考えたくもなかった。「……よし、眩暈も収まってきたぜ。始めるとするか。これはあくまで、現段階での俺と助手の推論に過ぎねえが……」
かくしてガンドーは語り始めた。「……コヨミ・ウサギの女中イナホが、ある日突然ニンジャになった。その力を使って、二人はアンダーガイオンに逃げた。で、何が発端か知らねえが、コヨミ・ウサギは自分の身体をサイバネに置換して、魔術をやろうって事になって、サイバネ医者とくっついた。まあ恐らく……何で女中にだけニンジャソウルが憑依して、自分には……ってセンだろうな。首謀者はもちろん、コヨミ・ウサギだ。女中に命令し、オイランを殺してサイバネを奪ってハイクを書かせ、自分の身体を作り替えていった」
「しかしヤミ医者が警告していた通り、コヨミ・ウサギは肉体の五割程度をサイバネ化した時点で、拒否反応を起こし、あっさりオタッシャしちまった。自分は魔術師だから死なねえとかなんとか言ってたんだろうな。女中もそれを信じてたが、現実は非情だ。だが、これを受け入れられなかった女中……要するにエグザルテッドは、サイバネを引き継いで、自分がコヨミになろうとした。あまりに熱心なもんで、自分こそがコヨミだと錯覚するようになっちまった」
「だが女中のイナホには当然ながら魔術の知識なんざ無えから、コヨミの残した計画か何かに沿ってやるしかねえ。そういう場面になるたびに、自分が本当はコヨミじゃねえと気づきそうなもんだが……気の利いたハイクを詠めなかったり、魔術の知識を思い出せねえのは、精神や記憶がサイバネ化で壊れていってるからだと考えて、無理やり納得しちまったんだろうな。それか、イナホは最初からコヨミになりたかったのかもしれねえ。いやいや、はたまたサイバネの肉体に残ったニンジャソウルが全てを動かしていたのか。もう誰にも解らんさ……」
「脳髄ってのはどうなったんだ」マスターが問いかけた。「ああ。その話もあったな。ラボの保護液に浸されてた保存状態良好のコヨミ・ウサギの脳髄は、遺族の希望により、丁重に高密度バイオニューロンチップ化されたらしいぜ。カネモチらしい最高級の葬儀だろ。表向き、コヨミ・ウサギは哀れな犠牲者だからな。それにまあ、なんだ、コヨミ家の連中も、良心の呵責ってもんに耐え切れなかったんだろうさ」
「ぞっとしない話だ。しかし、確か……今はまだニューロンチップからの蘇生手段も確立されていないのでは?」「今の所はな。……何十年後かに、ニューロンチップから死者が蘇る時代が本当に来るのかどうか……。そんな時代が来たら、魔術師も新しいネタを考えなくちゃいけねえから、さぞかし大変だろうぜ。ブッダも頭を抱えるだろうさ」バーの隅で、ジャンクパーツからバチバチと火花が散った。二人はそちらを見て、眉をひそめた。
「……万が一の話だがね。脳チップから甦ったとして、コヨミ・ウサギはまた魔術をやろうとするかね?」「どうだかな。そもそも俺の推理が正しいか、もう確かめる手段もねえからな」ガンドーが言った。まだ取り止めのない話を続けたいと見えて、マスターは顎を撫でた。「まあ彼女がやらなくても、きっと影響を受けた他の誰かがやるだろうさ。そういうものだ。……ああ、これもまた繰り返しか」
「ん? 繰り返し?」ガンドーは血塗れの手でライターを擦り、ZBR煙草に火をつけようとしたが、禁煙重点の張り紙を思い出して眉根を寄せた。「波だよ」マスターはまたひとつ、世界の反復の神秘を見たかのように言った。それは死と狂気の向こうを覗きかけた者が不意に見せる、ゼンめいた一瞬の悟りだろうか。「魔術師は甦り、そしてまた私立探偵が阻止するわけだ」
「勘弁してくれ。俺はもう関わりたくねえよ。こちとら、もうじき絶滅だ」「いやいや、私立探偵ならば魔術師と戦わなくてはいかんだろう。今になって思い出した。私立探偵クルゼ・ケンも、魔術師と戦っていたよ」「カルト教団の教祖とだろ? その話は、本人からさんざ聞かされたぜ」「もうひとつある。奇術師だ」「ブッダ、本当かよ……アイタタタタタ。サムライ探偵サイゴのカトゥーン番組じゃねえんだぞ……まったくよ。あの野郎、奇術師とも戦ったのか」
「ブッダに誓って、本当だとも。その時の懐中時計も飾ってある。確か、そう……あれだ」「オイオイオイオイ、マジかよ。俺はあいつから、その話を聞かされてねえぞ。……って事は、情けねえ話なんだろ?」「ああ、ひどい話さ」「ハッハー! そいつはがぜん興味が湧いてきたね」偉丈夫は額に手を当てて笑った。彼は頑丈で陽気な男だ。マスターもつられて小さく笑った。
「この際、飲んでいくんだろう? 店を壊されかけたからな。売上に貢献してもらわねば」「ああ、後で補填もあるだろうよ」ガンドーは歯を食いしばり、どうにか立ちあがった。「店が吹き飛ばなかっただけ、まだいいだろ」「まったく誰のせいだ。正体を調べようとして引き伸ばすから、こんな事に」
「悪かったな。でも、あれで真犯人の名前がわかったんだ。捜査協力に感謝してるぜ」「そうか? だが、あくまで推理の中の話なのでは?」「推理でいいのさ。俺は私立探偵だからな。迷宮入りじゃ、スッキリしねえだろ。俺も、あいつも」
ガンドーは椅子を掴み、痛む体を起こしてカウンターに身を預けると、懐から皺だらけのセイント・ニチレン札を一枚取り出して、叩くように置いた。「……まずは、ギムレットをひとつだ」「ギムレットか。珍しいな。ライムは効かせるかね?」「そうだな、ほどほどに頼む」
【ザ・ブラック・ハイク・マーダー】終わり
【ガイオン・エクリプス】に続く
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