先進7カ国(G7)と資源国はレアアースの中国依存脱却に向け議論を本格化させた。中国の対日輸出規制措置を受け、世界は中国への警戒感を一段と強めている。
レアアースは電気自動車(EV)や医療機器、ハイテク機器などあらゆる先端製品に使われる希土類元素の総称で、生産で中国が7割超の世界シェアを占めている。そのあとに、米国、オーストラリア、ミャンマー、タイ、インドと続く。精錬では、放射性元素を含む廃棄物が大量発生する。そのため、世界中の国々は、実は中国に環境負荷やそのコストを頼り、中国シェアは9割になる。
そうした中、レアアースなど重要鉱物に関する閣僚級協議が12日、ワシントンで開催された。G7各国の財務相のほか、資源国を中心にオーストラリアやインド、メキシコ、韓国の閣僚が出席した。
今後、需要と供給の両面から短期・中期・長期にどのような対策を取るべきかを検討する。閣僚級会議では、安値で市場へ供給する中国に対抗し、G7側で生産する重要鉱物に「最低価格」を設定する手法なども取り上げられた。
今現在行われている日本への中国の威嚇は、いずれG7諸国にも来るという認識も醸成されただろう。日本も手をこまぬいていない。先の日米首脳会談では、レアアースの供給確保に関する日米合意文書が署名された。
日本の期待は、南鳥島の排他的経済水域内で発見された高濃度のレアアース成分を含む海底泥。世界有数の埋蔵量で、海中で濃縮されたので放射性元素を含む廃棄物の心配がほぼないという。1月11日から南鳥島周辺水深6千メートルで世界初となる「レアアース泥」の試験採掘が始まっている。2030年から商業化の予定であるが、高市政権では重点投資分野としており、国費を投入し商業化を前倒ししてほしいところだ。
しばしば日本の「債務残高対GDP比」が世界最高水準なのだから、日本は緊縮財政のはずがないという人がいる。これは推移のデータを見ていない誤りだ。1980年代には日本の数字は先進国の中では突出していないが、90年代に入ると緊縮財政になり名目GDPの伸びはぱったり止まった。債務残高は過小ながら増加し、結果として「債務残高対GDP比」は先進国の中で突出した。ただし、緊縮をしながらの投資であるので先進国と比較して過小は否めず、これが名目GDPの低迷の一因だった。
レアアース投資をきっかけに過小投資から脱却し経済成長を図るべきだ。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)