異例となる通常国会冒頭に衆院が解散され、各党は公示日に向けて走り出した。高市首相の「責任ある積極財政」、安全保障、自維の連立の是非などが問われるが、今回衆院選の争点は何か。
高市首相は、解散記者会見で責任ある積極財政を掲げた。政権発足以来のキーワードであり、昨年の25年度補正予算の時にも出された。その際、立民など野党は補正予算が大きすぎで、財政規律が失われると批判した。ところが、立民と公明が合流した中道改革連合は、食料品の消費税8%を恒久的になくすという主張をした。
財源5兆円を100兆円ファンドの運用益で賄うとすれば、利鞘(りざや)5%となる。政府系ファンドの調達コストは国債金利なので2%とすれば、7%の運用利回りが必要となるが、ファンドではちょっと荷が重い。もし5%が稼げないと、中道改革連合が言っていた高市政権の責任ある積極財政への批判がブーメランとなって返ってくる。
その点、高市政権では、食料品の消費税をなくすのは2年というので財源問題はクリアできる。2年間の暫定措置であるが、成長による財源上振れが継続すれば暫定措置を延長すればいい。
安全保障や原子力政策について、高市解散の効果が早速出ている。立民は「安保法制違憲」「原発再稼働反対」であったが、一夜にして「安保合憲」「原発容認」に転じた。ただし、今度の衆院選では参議院議員の応援は無理だろう。というのは、参議院では立民も公明もそのまま存続しているからだ。
率直にいえば、「安保合憲」「原発容認」の衆院議員が急増したのは国民には朗報だ。しかし、少し前までの真逆の主張を翻す国会議員も信用できない。事実、「安保違憲」「原発反対」の立場だが、中道改革連合の中で頑張ると公言する議員もいる。選挙前から公約破りをするとは前代未聞だ。
ともあれ、責任ある積極財政、消費税、安全保障、原子力政策は、内心はどうあれ表向き意見の相違は見えにくくなっている。
となると、外国人政策や選択的夫婦別姓などの左右での価値観を問うのが争点になるかもしれない。外交では、親中姿勢か、中国を専制国家として安全保障の観点から一定の距離を置くのかもポイントになろう。
現時点の予測は困難だが、高市人気が継続するという前提で、自民単独過半数の公算はあると思う。ただし、高市人気が失速すれば状況は一変する。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)