プロレス再デビュー戦

 12月29日、両国国技館でプロレスラーとして活動を再開したフワちゃんの「再デビュー戦」が行われた。女子プロレス団体のスターダムに所属した彼女は、この日までに地道な練習を積み重ねて試合に臨んでいた。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 彼女の復帰戦を見届けるために、多くの芸能人も応援に訪れていた。試合後にフワちゃんと彼らが一緒に写っている写真がSNSでも公開されていた。試合内容に関しても評判は上々で、彼女のプロレスにかける意気込みは本物であることが証明された。

 しかし、そこで気になる出来事があった。1月18日放送のラジオ番組「川島明のねごと」で、麒麟の川島明がこの試合を観戦したときのことを語っていた。もともとプロレス好きだった川島は、関係者席に招かれていた。そこにはフワちゃんと親しい関係にあると思われる芸能人も多数集まっていたという。

フワちゃん

 フワちゃんの試合が終わると、そんな彼らが一斉に席を外していた。試合が終わった彼女に挨拶をするためだろうと川島は推測していた。少し経って、くりぃむしちゅーの上田晋也とタイムマシーン3号の山本浩司は席に戻って、残りの試合を観戦していた。

 しかし、ほかの芸能人はそのまま戻って来ることはなかった。フワちゃんに挨拶をした後、そのまま帰ってしまったのだと考えられる。川島がこれについて具体的にどう感じたのかを語ることはなかったが、「そういうとこやで」という言葉を残していた。

 川島のこの「告発」は、フワちゃんと彼女の友人たちにとって致命傷となる可能性がある。なぜなら、それはフワちゃんが仕事を失うきっかけとなったあの不祥事を連想させるものだからだ。

 改めておさらいすると、フワちゃんは自衛隊芸人のやす子に対してSNSで暴言を吐いたことが問題視され、レギュラー番組を含むすべての仕事を失って芸能活動を休止することになった。

 この事件に関して、彼女がのちに釈明したところによると、仲間内で「これにアンチコメントがつくなら」という設定でそのような文章を書いていたところ、誤って投稿してしまったのだという。親しい人との間でちょっとした遊びとしてやっていたことが表に出てしまったことで、それが問題になったのだ。

 この投稿をした当時、彼女はAマッソの加納、トンツカタンの森本晋太郎と旅行をしていた最中だったが、この2人は無関係だという。

致命的な事件になりうる

 いずれにせよ、彼女は「仲間内の悪ノリ」が原因で、取り返しのつかないトラブルを引き起こしてしまった。この件に象徴されるように、彼女はそのような友人関係に支えられてきた存在だった。

 もともとタレントとしてのフワちゃんは評価の分かれる存在だった。自由奔放な振る舞いがただのわがままのように捉えられることがあり、嫌っている人も多かった。しかし、彼女は特定の芸能人と関係を深めて、彼らと親密な付き合いをすることで、それ自体を仕事にして芸能界を渡り歩いてきた。

 だからこそ、あの暴言騒動は致命的なものだった。もともと「フワちゃんとその取り巻き」のイメージが良くなかったのに、そこに追い打ちをかけるような出来事だったからだ。

 そして今回、改めてフワちゃんを応援する芸能人の素行の悪さを示すようなエピソードが出てきた。これは彼女やその友人たちにとって致命的な事件になりうる。

 もちろん、川島の話を一語一句鵜呑みにするべきではないだろう。芸人がラジオで話していることなので、多少大げさに言っている部分があるかもしれないし、細かい事実を省略したり脚色を加えたりしていることはあるかもしれない。フワちゃんを応援する側にも、やむを得ない事情があって途中で帰ることになった人もいるかもしれない。

 ただ、このエピソードが彼女の痛いところを突いているのは間違いない。フワちゃんが再び表舞台に立つためには、リングの上で強さを示すだけでは足りず、これまで彼女を支えてきた人間関係そのものと向き合う必要があるのかもしれない。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部