女児虐待死、児相のリスク評価甘く 厚労省が検証報告
東京都目黒区で船戸結愛ちゃん(当時5)が両親から虐待され死亡した事件を巡り、厚生労働省の専門委員会は3日、児童相談所などの対応を検証した報告書をまとめた。結愛ちゃんが暮らしていた香川県の児相と転居先の東京都の児相は、ともに虐待リスクの認識が甘く、転居時の児相間の引き継ぎも不十分だったとしている。
報告書によると、結愛ちゃんが香川に住んでいた際、虐待が疑われるあざや傷が繰り返し見つかり、香川の児相は結愛ちゃんを2016年12月と、17年3月の2回にわたり一時保護した。
2回目の一時保護中、医療機関などからは、家庭裁判所の承認を得て保護者の同意なしで児童養護施設に入所させる措置も検討するよう提案があった。しかし、児相は医療関係者や弁護士などの専門家に意見を聞かないまま、傷ができた時期が特定できないことなどを理由に家裁への申し立てをしなかった。
厚労省は、虐待の危険度を評価するためにチェックリスト形式の「リスクアセスメントシート」を作成するよう求めているが、香川の児相は結愛ちゃんの事案でシートを作成していなかった。専門委によると、結愛ちゃんの事案の危険性の評価は初めて一時保護したときから5段階中の真ん中の「中程度」で、その後一度も変更されることがなかった。
専門委の委員からは「一連の経緯から判断すると、より重い評価にすべきだったのでは」との声が相次いだという。3日、専門委終了後に取材に応じた山縣文治委員長(関西大教授)は「シートを作成していないことについては正直あぜんとした。状況の変化に応じてリスクを評価すべきだった」と批判した。
結愛ちゃん一家は2018年1月、香川から東京に引っ越し、香川の児相は品川児相に事案の経緯などの資料を送付。電話で引き継ぎをした。しかし、けがの写真は送っておらず、リスクアセスメントシートもなかったことなどから、事案の危険度の評価などは十分に伝わらなかった。
香川の児相は児童福祉司が保護者を指導する「児童福祉司指導」を転居を理由に解除しており、そのこともあって品川児相は結愛ちゃんの事案について緊急性は高くないと判断した。
品川児相は引き継ぎ後の2月9日に結愛ちゃん宅を訪問したが、本人に会えなかった。児相は緊急性についての判断を見直さず、立ち入り調査などで結愛ちゃんの安全を確認しないまま、家庭への支援を優先する方針を維持。3月2日に結愛ちゃんは死亡した。
山縣委員長は「香川、東京の児相とも国の指針や手引きに照らし合わせると対応に問題があった。適切な対応がなされていれば、結愛ちゃんが亡くなる確率は少なかったのでは」と指摘。「再発防止に向け、自治体や児相などは細かいリスク評価や引き継ぎ時の情報共有を徹底してほしい」と話した。
警視庁の調べでは、結愛ちゃんは殴るなどの暴行を受け、十分な食事も与えられていなかった。自宅からは、結愛ちゃんが鉛筆で「もうおねがい ゆるしてください」などと書いたノートが見つかった。