
しのばずくん文学賞発表!
11月16日(日)、20周年展最終日にしのばずくん文学賞の各賞が発表となりました!
第一次選考通過作品の著者名とタイトルはこちらです。→★
文学賞を企画した経緯、募集規格などはこちらをご覧ください→★
【しのばずくん文学賞】
◆ 関 れい子さん 『いつか川になる日』

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【特別ゲスト選考委員ササキアイ賞】
◆ 遊 さん 『ちょっと本屋さん、行ってくる』

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受賞者の関れい子さんと遊さん

トロフィーと賞状の製作者 はとさん
以下は、授賞式で発表されたコメントです。
【しのばずくん文学賞】
投票方法は、実行委員1人2票を投票。得票数の一番多かった作品が受賞作品です。以下、選評時のコメントです。
■ 2作品ということで、とても悩みました。
『月食とメロンソーダ』『ちょっと本屋さん、行ってくる』もとても面白く不思議な魅力があり最後まで読ませる作品だと思いました。
結局は自分が読んだ印象として、作者の心情がより濃く反映されているように思えた2作品を選びました。もしかしたら作品自体がフィクションであるかもしれませんが、それでも谷根千のスポットがうまく溶け込んでいる点、そしてどちらも読後に前向きになれるストーリーだった事を評価しました。
■ 選んだ理由と関係ないですが、ぼく(自分)のお気に入りは一次で落ちたので、自分の感覚にショックがあります。
■ 力作揃いで迷いましたが、この街への愛とストーリーがあるものを選びました。
■ 応募作品全体を見渡しての一番の驚きは、暗渠が登場する作品の多さでした。
明治から昭和初期にかけての小説を読むと、現在の不忍ブックストリートは藍染川以外にもあちこちが水で満ちていて、そのおかげもあって自分のなかでは現在もこの町には水が流れているのですが、同じようなイメージを持たれている方が少なからずいることを知り、とてもうれしかったです。
なので今回はそんな作品の中から選ぶことにしました。
もっとも惹かれたのは『カゲッコ』で、自分もいつも見ている光景の裏で、自分では想像したこともないことが起きていて、それでいて描かれる一瞬一瞬には共感もあって、楽しく読みました。
『いつか川になる日』は、自分の好みからいうとややロマンチックに傾いているのですが、もう一つの選考基準である「自分の知らないかつての風景を見せてくれる」ことから選びました(最後まで迷ったもう一作品は『巳のかわ』でした)。
水と関係ない作品では『琥珀色のころ』が、20年にわたる不忍ブックストリートの、自分は知らない無数の出来事の一段面が鮮やかに切り取られていて、心に残りました。
■ 『いつか川になる日』は、描かれている藍染川の風景が近藤ようこさんの絵のイメージで浮かんできて忘れ難い作品でした。
こちらがしっとりした作品なので、もう1作品は、カラッとしていて最後に狐につままれた気分になる『助っ人さん』を選びました。悩ましかったです。
■ 全体を通して、地形、特に藍染川の暗渠に着目した作品が目に付いたのですが、そのなかでも場所と自意識の結びつきに必然が感じられ、しっかり世界観が確立されていた2作品を選びました。
【特別ゲスト選考委員 ササキアイ賞】
独身の頃の数年間、まさにこの萩荘の前にある公園の横の道を入った先のアパートに住んでいました。まだ萩荘が古いアパートだった頃で、隣にあった初音湯という銭湯によく行っていました。
昨年出版した本の中には、私が谷中で過ごした頃のエピソードがいくつか出てきます。その中の一つの、千駄木時代の古書ほうろうさんのことを書いたエッセイをきっかけに、さまざまなご縁のおかげで今回このような大役を任せていただくに至りました。
応募作品はどれも魅力的で、この街の思い出や愛着を感じるものが多く、私も共感とともに頭の中で今と昔の景色を思い浮かべながら楽しく読ませていただきました。
そんな中で、少しミステリアスな読後感をともなうこちらの作品にとても惹かれました。書店で無心に本を選んでいるとき、読みながら本の中の物語に没入しているとき、私たちはしばしば今いる世界から行方不明になれる気がしています。そんな読書の面白さや底知れなさをこの作品から感じました。

しのばずくん文学賞 関 れい子殿『いつか川になる日』

ササキアイ賞 遊 殿『ちょっと本屋さん、行ってくる』
どんな方が書かれたのかなと想像をめぐらしたり、誰かの記憶が自分の記憶と混ざり合って、いつもの景色が変わって見えたり、不忍ブックストリートにちなんだどなたかが書いた文章を読む、ということは、とても豊かな時間とたのしみをもたらしてくれました。
クロージングパーティーでお訊ねした感じでは、応募くださった方は、ブログを書かれたり、ZINEを作られたり、やはり日常的に文章を書かれている方が多そうな印象でした。また書くことでご自身と向き合われたり、とてもよい機会になったと仰ってくださった方もいらっしゃいました。
みなさんそれぞれに充実したお顔をなさっていたのがとても印象的でした。
最終日にご参加が叶わなたった方たちを含め、初めての試みにすばらしい作品をご応募くださって、共にたのしんでくださったみなさま、そしてお読みくださったみなさま、感想を残してくださったみなさま、ありがとうございました。
立ち上げからずっと伴走してくださったササキアイさん、オリジナルの書き下ろし賞状と一点ものの超かわいいトロフィーを作ってくださったはとさんにも心から感謝申し上げます。ありがとうございました!
このあともどこかでお読みいただけたらいいなぁと考えています。
準備ができましたら、まずは応募者のみなさまにご連絡いたします。