メディカルトリビューン
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イヌの飼い主はコロナ収束後の身体活動回復が速い コロナ収束後、イヌの散歩で活動量回復?
※画像はイメージです
身体活動不足は、心血管疾患や糖尿病など非感染性疾患(NCD)の主要な危険因子である。筑波大学のYutong Shi氏らは日本のオフィスワーカーを対象に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前後におけるイヌの飼育と運動自己効力感が身体活動に及ぼす影響を検討する観察研究を実施。その結果、イヌ飼育者はコロナ流行中に身体活動が低下したものの、流行収束後は非飼育者と比べ身体活動レベルの回復が速やかだったとDiscov Public Health( 2025;22:843 )に発表した。(関連記事「 犬を飼うことと全死亡リスクの低下が関連 」)
414人を対象に3時点の身体活動を解析
日本は世界有数の坐位時間が長い国であり、IT産業などの従業員は勤務時間の大半を座って過ごす。COVID-19流行に伴う活動自粛やリモートワークの普及は、オフィスワーカーの身体活動レベルをさらに低下させた恐れがある。
Shi氏らは、2023年8~11月に18~65歳の日本人オフィスワーカー414人(イヌ飼育群124人:男性55人、平均年齢48.5±10.6歳、平均BMI 24.4±5.1、非飼育群290人:同149人、47.1±11.5歳、23.9±4.5)を対象にウェブ調査を実施。コロナ流行前(2019年12月以前)、流行中(2019年12月~23年2月)、収束後(2023年3月以降)における身体活動レベルおよび運動自己効力感とイヌの飼育との関連を検討した。
身体活動量は、国際身体活動質問票(IPAQ)短縮版を用いて代謝当量(MET)を算出。運動自己効力感は、健康関連食事・運動行動用自己効力感尺度を用いて、〈1〉長時間雨が降った日の勤務後、〈2〉気分が落ち込んでいる日、〈3〉休日などの余暇時間、〈4〉深夜、〈5〉悪天候時―に運動をするかについて5段階で評価し、合計点(5~25点)を算出した。
イヌの飼育が感染症流行時のレジリエンスを高める
検討の結果、全体では身体活動レベルがコロナ流行中に低下し、収束後に部分的な回復が見られた。イヌ飼育の有無別に見ると、飼育群では流行中に身体活動量が大幅に低下したものの(平均差-261.58、P<0.001)、収束後は上昇に転じ流行前の水準まで回復した(同211.55、P=0.029)。一方、非飼育群では全期間を通じ身体活動レベルに有意な変化は認められなかった。
媒介分析を行い、各時点におけるイヌの飼育と身体活動の関係における運動自己効力感の媒介効果を検討した。その結果、コロナ流行前はイヌの飼育は運動自己効力感の高さと関連し(β=1.36、P=0.017)、運動自己効力感は身体活動と関連しており(β=46.02、 P<0.001)イヌの飼育は運動自己効力感と身体活動の関係を媒介していた。一方、自己効力感は流行中および収束後を通じ身体活動の強力な予測因子だった(流行中:β=54.78、P<0.001、収束後:β=33.74、P=0.007)が、媒介効果は認められなかった(図)。
イヌの散歩に対する運動自己効力感はコロナの影響を受けず、全期間にわたって安定していた(コロナ流行前:β=0.418、P<0.001、流行中:β=0.401、P=0.001、収束後:β=0.373、P=0.001)。
図.3時点におけるイヌの飼育と身体活動間の運動自己効力感の媒介分析
(Discov Public Health 2025;22:843)
以上の結果から、Shi氏らは「イヌの飼育者ではコロナ期間中に身体活動量が減少したものの、非飼育者と比べ収束後に急速に回復した。イヌの散歩行動と関連する心理的要因は、全ての期間を通じて一貫しており、イヌの散歩に対する自己効力感が身体活動の維持につながることが示唆された。ペットの飼育により運動自己効力感が高まるという知見は、身体活動を促すプログラムの開発に応用可能と考えられる」と結論している。(編集部・服部美咲)
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