謎に満ちた超巨星ベテルギウス、新たな観測で最大級の疑問解明か 伴星の「航跡」で減光?

アーティストによる想像図。赤色超巨星ベテルギウスと、その周囲を周回する伴星が、ベテルギウスの大気中に航跡を作り出す様子を描いている/Elizabeth Wheatley/ESA/NASA

アーティストによる想像図。赤色超巨星ベテルギウスと、その周囲を周回する伴星が、ベテルギウスの大気中に航跡を作り出す様子を描いている/Elizabeth Wheatley/ESA/NASA

(CNN) 天文学者は長年、赤色超巨星ベテルギウスの近くに隠れた伴星が存在することを示す手掛かりを探してきた。そして今回、研究者は新たな証拠を発見した。船の後方に残る「航跡」のような跡だ。この航跡はベテルギウスの上層大気を切り裂く形で伸びており、見えない伴星によって形成された可能性が高い。

ベテルギウスの赤みがかった色は、地球から約650光年離れたオリオン座の方向から輝いているのが確認できる。

恒星としてのサイズは非常に大きく、4億個を超える太陽が内側にすっぽり収まるほどだ。地球から比較的近い距離にあり、他の星と比べて明るいことから、巨大恒星の進化を観測・研究する天文学者にとって格好の研究対象となっている。

ただ、知名度こそ高いものの、ベテルギウスには色々と謎が残されている。中でも大きな謎の一つが、なぜ6年周期で明るさが変化するのか、「ベテルバディ」と呼ばれる見えない伴星が変化の原因なのか、という点だ。

伴星の存在を示唆する手がかりについては、昨年発表された論文で明らかにされていた。研究者は論文の中で、アラビア語で「彼女の腕輪」を意味する「シワルハ」という正式名称を付けることを提案。これは「巨人の手」を意味するベテルギウスにふさわしい名前といえる。

シワルハは非常に小さく暗いことから、ベテルギウスとの距離の近さを考えると直接観測は難しいとみられる。ベテルギウスは中心部の水素を燃やし尽くして膨張しており、寿命の終盤に差しかかりつつある。

だが今回、8年にわたる観測の結果、シワルハがベテルギウスに及ぼす影響が明らかになった。これまで一度も観測されていなかった濃いガスの跡が、ベテルギウスの外層大気を移動していることが判明したのだ。シワルハはこの外層大気に近い軌道を周回している。

シワルハの軌跡が現れたのは、地球から見てベテルギウスの前を横切った直後だった。シワルハは6年周期でベテルギウスの周囲を回っており、これがベテルギウスの6年ごとの明るさの変化につながっている、というのが天文学者の見方だ。一連の観測結果は学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル」への掲載が決まった新論文に記載されている。

論文の筆頭著者を務めるハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者、アンドレア・デュプリー氏は「少し似ているものを挙げるとすれば、水の中を進む船だろう。伴星がベテルギウスの大気に波紋を作り出しており、それがデータで実際に確認できる」と指摘する。

「我々は初めて、この航跡、つまりガスの跡の直接的な兆候を観測している。隠れた伴星が本当に存在していて、ベテルギウスの外観や動きを形成していることが裏付けられた」

航跡の発見

デュプリー氏によると、ベテルギウスは太陽の約15倍の質量を持ち、直径は1400倍に達する。一方のシワルハはごく小さく、太陽より小さい可能性もあるという。

「ベテルギウスを太陽系の中心に置いたと仮定すると、表面が木星に届く計算になる。ベテルギウスの上空を覆う高温の大気はその6倍以上の距離まで広がる」とデュプリー氏。「つまり、ベテルギウスの伴星は実は、超巨大恒星の濃密な大気の中を突き進んでいる、ということだ」と指摘する。

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