「ラオスの子ども」を詠んだ愛子内親王
皇族が歌を詠むにあたって、その相談役になる御用掛を務める歌人の永田和宏氏は、この歌について、「初めての御歌とは思えないほど完成度が高く、驚きました」と評している(『週刊文春』1月22日号)。永田氏の専門は細胞生物学である。生物学ということで、悠仁親王と関心が重なることが、この高い評価に結びついているのかもしれない。
愛子内親王が今年の歌会始の儀で披露する歌については、前に予想してみた。昨年内親王が経験した出来事の中では、初の海外訪問となったラオスのことが重要なはずで、それが詠まれるであろうと考えたわけである。
実際の歌は、「日本語を学ぶラオスの子どもらの明るき声は教室に満つ」であった。私は、青年海外協力隊が初めて派遣された国がラオスであり、愛子内親王が訪問中に隊員たちと懇談もしているので、その活動に、今年の「明」というお題から、明日への希望を見いだすような歌を詠むのではないかと予想した。けれども、その予想は半分当たり、半分外れた。
ただ、永田氏によれば、愛子内親王は、歌会始の儀のために5首作っており、その中には、海外協力隊に関連する歌もあったかもしれない。披露された歌について、永田氏は、「全く助言する必要がなかった一首です」と、やはり高く評価している。
人に対する関心が高い愛子さまの歌
愛子内親王の歌が、歌会始の儀で初めて披露されたのは令和4(2022)年のことだった。ただ、初めて行事に臨んだのは、昨年、令和7(25)年からである。歌は今回で5回披露されたことになる。しかも、これは拙著『日本人にとって皇室とは何か』(プレジデント社)でも触れたが、愛子内親王は学習院大に在学していたとき、平安時代の女流歌人について研究していた。和歌には造詣が深いのである。
悠仁親王の歌も、愛子内親王の歌も、歌人から高く評価されているわけだが、内容の面で決定的な違いがあるのも事実である。悠仁親王は自らが愛するトンボのことを詠い、愛子内親王はラオスでであった子どもたち、つまりは人間について詠っている。
悠仁親王は今回が初めての歌なので、他の歌をあげることができないが、愛子内親王は、2度目の令和5(2023)年には、お題が「友」ということもあり、学友のことを詠っていた。令和7(25)年にも、お題は「夢」だが、やはり学友のことを詠っている。人間に対する関心が強いのだ。
これから、悠仁親王が毎年どういった歌を詠むことになるのかはわからないが、それを予想できる材料がある。それが、悠仁親王の父、秋篠宮文仁親王がこれまで詠んできた歌である。