大阪府警、捜索中の暴行事件巡り12人懲戒処分 逮捕の2人は免職
大阪府警捜査4課の捜査員が家宅捜索中に捜査対象者の男性らを暴行したとされる事件を巡り、府警は23日、暴行に関与するなどした捜査員ら12人を懲戒処分とした。うち2人は免職とした。府警では平成以降で最多人数の懲戒処分事案となった。訓戒を含めると計28人が処分された。
事件は2025年7月、全国最大規模の風俗スカウトグループ「ナチュラル」の関係先を捜索中に起きた。警察当局が同グループを匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)とみて摘発に力を注ぐ中、府警の捜査手法の違法性が判明。証拠品の返還などを余儀なくされ、府警によるナチュラルの実態解明にも支障が出た。
府警によると、捜索は4課の捜査員ら20人以上で実施。現場には捜査対象者だった男性3人がおり、一部の捜査員が殴るなどの暴行を加えたとされる。関与した捜査員のうち、同課の警部補(51)と巡査部長(33)=いずれも懲戒免職=が特別公務員暴行陵虐罪で逮捕・起訴され、別の4人も同罪で在宅起訴された。
府警は23日、暴行を映したカメラ映像が存在しないと虚偽の報告を大阪地検にしたとして同課の警部(45)を犯人隠避容疑で書類送検した。警部や起訴済みの6人を含め、懲戒処分の対象者は計12人に及んだ。
事件を巡っては、このカメラ映像とは別に府警が設置していた捜査用カメラの映像が一時的に消去された疑いが判明している。府警は23日、映像が消されたことを認めたが、消去した人物や経緯は判明しておらず引き続き調査すると説明した。
懲戒処分者に加え、捜査を監督する立場にあった4課の幹部や、暴力行為を制止しなかった別の課の捜査員ら計16人を本部長や所属長による訓戒処分とした。このほか7人を指導措置とした。
府警の国井栄次監察室長は「警察捜査に対する信頼を失墜させる行為。適正捜査の確保に向けた指導を徹底していく」とコメントした。
府警は事件が起きた原因の一つとして、上層部から現場への捜査方針の伝達に不手際があったと説明している。当初、ナチュラルが連絡手段などに使う特殊なスマートフォンアプリの解析を目指し、スマホがロックされていない状態で差し押さえようとした。だがハードルが高いと判断し、容疑者の身柄確保を優先する方針に変更した。
方針変更は現場に周知されず、捜査員らは当初の指示に基づき、スマホのロック解除や暗証番号の聞き出しに注力。現場にいた男性らが応じなかったため、暴行したという。
逮捕・起訴された巡査部長はこれまでの公判で、ロックの解除に必要な「パスコードを言わせて(上層部の)期待に応えたいと思った」と話した。
府警は再発防止策として、捜査員への指導や意識改革、捜査方針に関する意思統一の徹底を図るとしている。捜査4課の経験がない警察官を同課に配置するなどして、人事面でも対応を取るという。