国内

2026.01.21 10:00

「日本の国債危機」を世界の投資家が警戒、40年債利回りが初の4%超え

Rodrigo Reyes Marin/Pool/Anadolu via Getty Images

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長期的な安定性に対する疑念が数週間にわたり蓄積していた7兆6000億ドル(約1200兆円)規模の日本国債市場は、米国時間1月20日、予想外の大規模な売りに見舞われた。日本のインフレが債券利回りを押し下げかねないとの懸念が強まっている。

数十年続いた「ほぼゼロインフレ」の時代を経て、日本はいま、顕著なインフレ圧力に直面している。表面利率の低い長期国債は魅力を失い、投資家は割安での売却を迫られ、その結果として国債利回りが上昇(価格は下落)している。

長期金利の指標となる国債利回りが上昇すると、借り入れコストは高くなる。住宅ローン金利や企業向け融資の金利、さらには株式や不動産の評価に用いられる割引率が押し上げられ、市場に対する信認の低下を示すシグナルとなる。

この日、30年物および40年物の日本国債の利回りは25ベーシスポイントを超えて上昇し、ドナルド・トランプ大統領の「解放の日(リベレーション・デー)」関税が世界市場を揺るがした2025年以来、最大の上昇幅を記録した。

日本の40年物国債利回りは、2007年の導入以来、初めて4%を上回った。

これに先立つ20日早朝には、20年物国債の入札で十分な需要が集まらず、信認不足を露呈する警告サインとなった。

今回の日本市場の混乱は、日本銀行とその金利統制能力への信頼によって支えられてきた、数十年におよぶ安定感が急激に揺らいでいることを示している。

政府系データ集約機関のトレーディング・エコノミクスによると、日本の年間インフレ率は現在約3%であり、日本銀行が掲げる目標の2%を長年にわたり一貫して上回ってきた。背景には、輸入コストとエネルギー価格の上昇があり、円安によって輸入品価格が押し上げられていることに加え、食品や公共料金の値上がりも影響している。

日本の国債市場の混乱は、米国を含む多額の債務を抱える他国にとっての警告でもある。日本国債の利回り上昇は、投資家が米国債の購入を敬遠する要因にもなり、米国の金利を押し上げる可能性があるからだ。アナリストは、日本国債の売りが足元で米国債利回りの上昇につながっていると指摘しており、主要な債務市場の1つに生じたストレスが世界的な借り入れコストを押し上げ得ることを示している。

世界的なマクロ経済データベースであるCEICによると、2025年後半時点の日本の政府債務(対GDP比)は約203%である。これに対し、世界銀行による米国の同指標は118.1%となっている。

片山さつき財務相は、20日に開催されたダボス会議の場で、ブルームバーグに対し、「市場の皆さんには落ち着いてほしい」と語った。

日本の国債利回りは、高市早苗首相が11月に約21兆3000億円の経済対策を発表して以降、上昇を続けている。19日、高市首相は食品にかかる8%の消費税を2年間停止する計画を改めて表明し、「大きな政策転換」と位置付ける施策について国民の信任を得るため、2月8日に選挙を実施すべく衆議院を解散すると述べた。

利回りが上昇する中、高市首相は支出拡大と減税の計画が日本の財政を損なわないと、有権者と金融市場の双方を安心させようとしている。19日には、2025年に200%を超え、世界でも有数の債務大国となった日本の政府債務残高(対GDP比)を引き下げると公約した。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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2026.01.21 09:00

グリーランド巡る対立激化でS&P500が下落、「恐怖指数」も11月以来の高水準

Michael M. Santiago/Getty Images

Michael M. Santiago/Getty Images

ドナルド・トランプ大統領がデンマーク領グリーンランド掌握を求める姿勢を強くする中、S&P500種株価指数は米国時間1月20日の取引開始とともに下落し、ここ数日で約7500億ドル(約118.5兆円。1ドル=158円換算)の富を失った。あるエコノミストは、この市場全体の損失額はグリーンランドの推定価値に等しいと指摘した。

S&P500は20日朝の時点で1.2%下落し、取引開始直後には一時1.5%近い下落を記録していた。

ミシガン大学の経済学者ジャスティン・ウルファーズによると、S&P500は直近5日間で約1.7%下落しており、これにより失われた富は約7500億ドル(約118.5兆円)に達する。ウルファーズは、この損失額はグリーンランドの推定価値に相当すると述べている。

S&P500の時価総額の約7%を占めるエヌビディアは同日、約3%安となり、指数全体の下落を主導した。これに続き、アップルは1.6%安、マイクロソフトは1.3%安、アマゾンは2%安、アルファベットは1.7%安、ブロードコムは3%安、メタは1.8%安、テスラは2.6%安となった。これらの企業は合計で指数全体の時価総額の約26%を占めている。

NBCニュースは、事情に詳しい3人の関係者の話として、トランプ政権がグリーンランドの購入に踏み切った場合、その価格は最大で7000億ドル(約110.6兆円)に達する可能性があると報じた。匿名のホワイトハウス当局者によると、デンマークおよびグリーンランド当局がトランプによる提案を拒否しているにもかかわらず、マルコ・ルビオ国務長官はグリーンランド購入案の作成を指示されたとされる。

米国がグリーンランドへの購入提案を検討したのは今回が初めてではない。国務省はアンドリュー・ジョンソン政権下の1860年代にもグリーンランドの取得を検討しており、その後1946年には、当時の国務長官であるジェームズ・バーンズの下で1億ドル(約158億円)の買収提示を行っている。

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翻訳=江津拓哉

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2026.01.14 12:00

「世界最強のパスポート」、米国がトップ10に返り咲き 日本は2位に浮上

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英コンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズは13日、「世界最強のパスポート」ランキングの最新版を公表した。それによると、米国は過去1年間で査証(ビザ)なしで渡航できる国を7カ国減らしたものの、今回のランキングでトップ10に返り咲いた。

米国は昨年10月のランキングで12位まで下落していたが、今回10位に浮上した。だが、2014年時点では英国と並んで首位に立っていた米国は、ここ10年余りで急速に順位を下げている。2006年の調査開始以降の20年間で、米国はベネズエラとバヌアツに次ぎ、国別で3番目に大きな下落幅を記録している。米国人は現在、世界179カ国にビザなしで渡航できるが、この数は昨年より7カ国少ない。

ヘンリーのランキングは、ビザなしで渡航可能な国の数に基づいて各国の旅券(パスポート)を格付けするため、複数の国が同順位となることが多い(例えば、欧州10カ国が4位に並んでいる)。米国は現在、日本のほか、韓国、カナダ、英国、欧州連合(EU)諸国を含む37カ国に後れを取っている。

オーストリア・ウィーンの人間科学研究所所長は次のようにコメントした。「パスポートの力は、究極的には政治的安定性や外交的信頼性、国際規範を形成する能力を反映している。大西洋両岸の関係が緊張し、国内政治が不安定化する中、米国や英国といった国々の移動の権利が弱まっていることは、技術的な異常というよりむしろ地政学的な再調整の兆候だ」

世界最強のパスポートを維持するシンガポール

2023年以降ランキングで首位を維持しているシンガポールの国民は、世界192カ国にビザなしで渡航できる。188カ国にビザなし渡航が可能な日本と韓国のパスポートは世界で2番目に強い(訳注:前回のランキングでは日本は3位だった)。

過去20年間でビザ免除国を最も増やした国はアラブ首長国連邦(UAE)で、現在は149カ国となっている。同国はこの期間に57位上昇し、現在の順位は5位だ。過去10年間で見ると、コソボが最も大きく順位を上げた。同国は2016年以降43カ国を追加したことで、97位から59位に浮上した。

米国はビザ免除国を制限される一方で、他国に対しても入国を制限している。米国がビザなしで入国を許可する国はわずか46カ国に過ぎない。同国は、自国民の海外渡航の自由度と他国への入国開放度との格差が世界で最も大きな国だ。

中国会計大手グラントソーントン・チャイナのティム・クラッテ氏は、米国の入国制限は「ナショナリズムへの後退」を示すものだと指摘。一方、中国は近年、ビザなし入国を認める国を増やすという逆の手法を取ってきたと強調した。中国は過去2年間で40カ国以上をビザ免除対象国に追加し、現在は77カ国にビザなし渡航を認めている。クラッテ氏は、この開放性によって、中国は世界の覇権争いにおける優位性を高めていると説明した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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