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 ネットやSNSを通じたペット譲渡が珍しくなくなった昨今。地域の情報サイト「ジモティー」では、年間1万件以上も「ペットの無償譲渡」が掲載されています。 そうした中、引き取った犬をめぐりトラブルも。ある夫婦は、譲渡を受けた子犬が翌日に死んでしまったといい、怒りの声を上げています。一体何があったのか?取材班は犬を譲渡した人物を直撃しました。

「引き取った次の日に死んでしまった」

 「20時間足らずでしたが、1枚(写真を)奇跡的に撮っていて」
 「助けてあげられなくて『ごめんなさい』ですよね」

 悲しみに暮れる2人。大阪市内に住む50代のAさん夫婦です。

 去年10月、生後2か月の子犬をある人物から引き取ったと言います。ところが…

 (Aさん)「引き取った次の日に(子犬が)死んでしまって。気持ち的には本当に怒り心頭で」

 引き取った翌日に子犬が突然、死んでしまったというのです。一体、何があったのでしょうか。

「ジモティー」で見つけた子犬の飼い主募集 無償譲渡のはずが…

 そもそものキッカケはある“サイト”でした。

 (Aさん)「たまたまジモティーのほうでドンピシャの子が見つかりまして、この子ちょっといいかなみたいな感じで」

 地域の掲示板サイト「ジモティー」。このサイトでは動物の新たな飼い主を募って、無償で譲渡することができます。

 現在、2匹の愛犬と暮らしているAさん夫婦。さらに新たな家族を迎えたいとサイトを閲覧していたところ、ポメラニアンとトイプードルのミックス犬「ポメプー」の子犬を見つけたのです。

 飼い主を募集していたのはある女性。Aさん夫婦は去年8月、連絡を入れました。すると、女性からこんなメッセージが送られてきたといいます。

 (女性からのメッセージ)「金額は税込5万です。お渡しする時には、ワクチン接種、健康診断、眼底検査、エコー検査、検便、耳垢検査しています」

 無償譲渡のはずが“検査費用”を求められました。ただ、Aさん夫婦は「健康チェックのため」と5万円を振り込みました。

 そして去年10月5日、指定されたコンビニエンスストアの駐車場で女性から子犬を引き取りました。

 その際、ある書類を手渡されたといいます。

 (Aさん)「体は悪くない、健康みたいな感じの“診断書”を僕らは預かっていたので、(書類を)信用していたんです」

 書類は2種類ありました。一つは「ワクチン接種証明書」で動物病院の名前が書かれていました。

 そしてもう一つが「検査報告書」。病院名の記載はありませんが、引き渡し前日の10月4日付で、肝臓、腎臓、健康状態について“正常”と書かれています。

「肺の中に水が入っている音がする」

 Aさん夫婦は安心して子犬を連れ帰りました。「おまめ」と名づけ、新しい家族との楽しい生活を思い描いていたといいます。しかし…

 (Aさん)「全然一向に食べなかった。ミルクも飲まないし。症状が明らかにおかしかった。もう息が、肺の中に水が入っている音がするんですよ」

 そこで引き渡しを受けた翌日、近所の動物病院に駆け込むと…

 (Aさんの妻)「原因は何かって言ったら『肺炎です』と。レントゲン見せてもらったら(肺が)真っ白で『もう無理です』と」

 実際のレントゲン写真を健康な犬のものと見比べてみると、「おまめ」の方は肺の部分が真っ白になっていることが分かります。

 重度の肺炎と診断され、既に手の施しようがなく、その日のうちに死んでしまいました。

 (Aさん)「あれだけ苦しい思いをして、これから先も何十年一緒に暮らしていく、子どもなのでね、僕らからしたら。もう真っ暗でしたね」

引き渡し時には「肺炎」既に発症していた?

 診察した動物病院によると、誤嚥などで急に重い肺炎になるケースはあるものの、引き渡されたときには既に発症していた可能性があるといいます。

 そこでAさん夫婦が思い出したのが「健康状態 正常」と書かれた「検査報告書」。一緒に手渡された「ワクチン接種証明書」に記載されていた動物病院に連絡してみると…

 (Aさん)「そのときびっくりしたんですけど、聞いたら『(診察に)来ていません』と」

 その動物病院によると、去年9月、確かに女性はワクチン接種で来院したものの、検査報告書に書かれた10月4日には来ておらず、書面についても「知らない」というのです。

 検査がされていないのなら「検査費用」として支払った5万円は一体何だったのか…Aさん夫婦は疑問に思っています。

 さらに女性が住む自治体を取材すると、女性がAさん夫婦以外の人とも「検査料」などを巡ってトラブルを起こしていることが判明。この自治体は「“女性”が実質的に有償で譲渡を繰り返しているとすれば、無登録営業をしているとして動物愛護法違反にあたる可能性がある」としています。

女性を直撃 検査の実態を問うと…

 取材班は検査の実態などを確かめるため、女性を直撃しました。

―――ジモティーで子犬を販売している件について話を伺いたいのですが。
 (子犬を引き渡した女性)「販売していないです」

―――販売されていない?
 「はい」

―――お渡しはされている?
 「渡しましたけど」

 女性はあくまで「有償で譲渡していない」と言います。では、料金をとっていた検査は本当にしていたのでしょうか。

―――そもそも診察していないのでは?
 「診察はしています。(検査報告書の日付の)10月4日はこっちでしています」

―――病院ではしていない?
 「はい」

 「病院では検査していないが自分で検査した」と主張します。

 ただ、検査報告書には肝臓や腎臓といった内臓などの状態も「正常」と記載されています。個人でどうやって検査したのでしょうか。

―――血液検査とかもされていない?
 「いいえ していないです」

―――腎臓や肝臓に異常はなかった?
 「そんなことも言っていない」

―――シート(検査報告書)にはそう書いてあったが?
 「書いていないです」

 一旦は否定した女性。しかし、最終的には「検査報告書の記載は誤っていた」と認めました。その上でAさん夫婦の件については「対応する」とだけ言って去っていきました。

取材直後…Aさん夫婦にメッセージ「謝罪することはありません」

 引き取った子犬が翌日に亡くなった大阪市に住むAさん夫婦。取材班の直撃後、女性からメッセージが届いたと言います。

 (Aさんの妻)「(女性から)『要望をお聞かせください』って来たんです。なので私どもの要望は、おまめと私どもに誠心誠意の謝罪と、おまめにかかった病院代、はじめに払った5万円の返金(を求めた)」

 これに対し女性は病院代や犬の代金は支払うとしつつ、「謝罪することはありません」と返信してきました。

 Aさん夫婦は検査に関する説明や謝罪がないことなどから、対応を決めかねているといいます。

 (Aさん)「おまめがかわいそうですし、何も気づいてあげられなかった歯がゆさと後悔しかないですね」
 (Aさんの妻)「もうこれ以上、一匹たりとも、人に譲渡してお金もうけするっていうようなことはやめてほしい」

ジモティーの対応とトラブル防止策

 今回の事態を受け、ジモティーは女性のアカウントを利用停止にしたということです。

 同サービスでは、年間40件ほど金銭トラブルなどに関する報告が寄せられていて、対策として以下の2つを「義務付け」しています。

 (1)ユーザー間のやり取りはサイト内のチャットに限る
 (2)契約時、ジモティーが発行する「譲渡契約書」を交わす…どのような動物をいつから譲渡するのか、健康状態に問題はないかなどの詳細を明記

 (1)に関して今回のケースでは、当初はサイト内でのやり取りでしたが、対面での下見を機に女性側からLINEへの移行を提案されたことで、ジモティー側の目が届かない場でのやり取りになってしまったという経緯があったということです。