資産運用

2025.07.27 08:30

清原達郎、伝説のファンドマネージャーが教えるこれからの相場

清原達郎|投資家

清原達郎|投資家

2025年7月25日発売のForbes JAPAN9月号は「次のバフェット・モデルを探せ」特集だ。一代で1,500億ドルの資産を積み上げたオマハの賢人、ウォーレン・バフェットの引退表明というビッグニュースは、瞬く間に世界中に響きわたった。足元では、トランプ第二次政権の関税政策によって世界経済の不透明感が高まり、景気の先行きが読めない不安相場に。金融マーケットは大きな潮目を迎えた可能性がある。投資家たちはこの変化にどう向き合っていくべきか。有力ファンドマネージャーやトップストラテジスト・アナリスト、株価好調企業の経営トップ、著名な個人投資家、海外著名人らに総力取材。これからの最良の資産運用のあり方を探した。

「日本株は今、とてもシンプルに語れる」。そう断言するのは、伝説のファンドマネージャーと称され、2005年に長者番付1位になったことでも知られる投資家・清原達郎だ。企業価値を見極め、割安な成長株に投資する手法で、1990年代から一貫して高い運用実績を築いてきた。

世界の投資環境が不安定さを増すなか、清原はそれらを「想定内のリスク」と切り捨て、市場の本質を冷静に読み解く。いま、個人投資家が本当に備えるべきことは何か──。その投資術の核心とは。


──米トランプ政権の関税政策、中東での地政学的リスクの高まりなど世界情勢は不透明感が増すなか、相場の方向性をどう見極めるべきですか。

清原達郎(以下、清原私はリスク(positive surpriseも含む)を3種類に分けて考えています。

●リスク1:想像ができ、ある程度相場に織り込まれているリスク。景気、金利、為替、AIバブルの崩壊、自社株買いの方向性、といったリスク。

●リスク2:想像はできるが相場に織り込めないリスク。例えば南海トラフ大地震、世界的な核戦争といった類いのリスク。

●リスク3:想像もできないリスク。例えば原発が水素爆発を起こすリスクなど誰も想像していなかった。

我々が議論して意味があるのは、リスク1についてだけです。2と3は議論の意味がない。つまり、我々が議論できるのは一部のリスクに過ぎないのです。

トランプ関税はリスク1であり、すでに相場にはある程度織り込まれています。仮に今後の展開が日本の株式相場にネガティブであっても、今年の4月のような暴落は起きないでしょう。

景気の動向についても、私を含めて大方の投資家は今年後半の景気が良くなるとは思っていないので、景気が相場を大きく動かすとは思えません。日銀も急速な利上げはしない、ということは大幅な円高もないということになります。

次ページ > 今後5年間の予想

文=下原一晃 イラスト=ベルンド・シーフェルデッカー

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2025.12.26 16:00

戦略立案から実装支援まで、MUFGが伴走──力覚が伝わるロボットで医療を変える「リバーフィールド」

近年、産官学によるスタートアップ支援が盛んになっている。三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)も多くの有望なスタートアップを支援してきた。手術の現場を変えるメドテックスタートアップ「リバーフィールド」もその1社だ。同社代表取締役社長の只野耕太郎と、伴走支援を担当するMUFGの今井千愛に、これまでの長い道のりと医療機器にかける情熱について話を聞いた。


最近では、スタートアップによるさまざまな分野での社会問題解決が話題になっているが、なかには苦戦している分野もある。その1つが医療機器だ。研究開発に多額の資金と時間を要するうえに、特殊な業界であり販路開拓も容易ではないからだ。

スタートアップ支援に注力するMUFGは、そんな医療機器分野も積極的に支援している。経験豊富な担当者が資金面に限らず、戦略立案から販路開拓、海外展開まで幅広いサポートを展開。こうした後押しを受け、業界でのプレゼンスを拡大させているのが、手術支援ロボット「Saroa(サロア)」を開発する「リバーフィールド」だ。

『手の届かない世界に触れる』——企業価値の再定義

リバーフィールド代表取締役社長 只野耕太郎。
リバーフィールド代表取締役社長 只野耕太郎。

リバーフィールドは、代表取締役社長の只野耕太郎が東京工業大学(現・東京科学大学)の学生だった2003年、助教授の川嶋健嗣と共にロボットの研究を始めたことに端を発する。当時は研究が楽しく、事業化などまったく頭になかったというが、博士課程を修了して研究員から助教、そして准教授となり研究を続けていた只野は、やがて「社会の役に立ちたい」と社会実装を考えるようになる。12年に文部科学省大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)に採択。これをきっかけに、14年、リバーフィールドを設立した。

最初は経験を積むために、内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ)」を販売していたが、15年から本丸である手術支援ロボットの製品化に挑んだ。だがその壁は高く、試行錯誤の連続の中で、想定を超える時間と資金を投じることになった。資金調達にも苦戦し、只野たちは苦境に立たされていた。

そんな同社に手を差し伸べたのが、三菱UFJ銀行だ。医療機器を開発するスタートアップは珍しく、業界では知られる存在だったため、同行の営業部員が19年に接触。只野らから相談を受けると、可能性を見出した同行成長産業支援室(現・スタートアップ戦略部)が支援を開始したのだ。担当の今井千愛が言う。

「リバーフィールドが開発するロボットは、先行する海外ブランドの製品よりもコンパクトかつ低コスト。基幹技術である『力覚フィードバック』や『空気圧駆動』により繊細な動きが可能で、医療が抱えるさまざまな課題を解決するのではないかと、非常に可能性を感じました。最初は財務アドバイザーのような形でご支援をし、経営戦略をブラッシュアップしながら中長期的な事業戦略を一緒に検討してきました」

世界初「力覚」を再現することに成功した低侵襲外科手術用支援ロボット「Saroa」。
世界初「力覚」を再現することに成功した低侵襲外科手術用支援ロボット「Saroa」。

Saroaの特徴は、この「力覚フィードバック」にある。それによって、ロボットのアームが対象物をつかんだり引っ張ったりした感覚が、コントローラーを通じて医師の手に伝わるのだ。只野がその特徴を説明する。

「一般的な手術支援ロボットは、力の感覚が術者に伝わらず、力加減を判断するのは画像による視覚情報のみになります。当社のロボットは、アームがつかんだ感覚が手に伝わることで微妙な力加減を調節することができるので、従来よりも患者や医師への負担が少なく、安全に手術を行うことができます。しかもアームがつかむ力を数値化できるので、ベテランの先生の暗黙知をデータ化することも可能です。そのデータを若手医師の教育に活用すれば、人手不足の課題解決にもつながります。また、力覚はほぼ遅延なく伝わるので、将来的には、遠隔手術の実現を目指しています」

この力覚フィードバックを実現するために採用したのが「空気圧駆動」だ。

「力覚をフィードバックするためには、力の強さを正確に測る必要があります。それにはセンサーが必要ですが、アームは人間の体内に入るため滅菌処理をしなければならず、それによって、センサーが正確に働かなくなるという課題があります。センサーを使わずに力覚を測る方法を考えた結果が、空気圧駆動なのです。圧力情報からアームが受けている力を推定する仕組みです」(只野)

過疎地の医療アクセス問題の解決にもつながる画期的な技術だが、医療の世界では、技術があるだけではスタートラインに立つことすらできない。厚生労働省から薬事承認を受けなければ、販売が許されないからだ。しかし、その承認を得るまでには長い道のりがある。特に開発初期の段階は、ロボットのコンセプトや仕様を決める作業に苦労したと只野は振り返る。

「ユーザーである医師にヒアリングをしても『実際に臨床で使ってみないとわからない』と言われるのですが、薬事承認を受けなければ臨床では使えない。仕方がないので、仮説を立てて製造したものを先生に触っていただき、ダメ出しを受けてはつくり直すという作業を繰り返しました」

三菱UFJ銀行は、リバーフィールドのこうした苦しい時期を支えた。資金調達が喫緊の課題だったが、投資家からは製品の技術的な魅力そのものは評価されていた一方で、その価値をどう言語化し、伝えるかについては改善の余地があった。そこで今井たちは、プレゼン資料をブラッシュアップするとともに、リバーフィールドがもつバリューの再定義を行った。

「もともと社名ロゴには『Surgical Robot Laboratory』(手術支援ロボット研究室)というバリューが併記されていましたが、一見すると、研究だけをする会社だと勘違いされかねません。リバーフィールドの強みは、遠隔でもあたかも触っているような感覚を得られる技術にあるので、それを一言で表現するために、『TOUCH WORLDS BEYOND YOUR REACH.(手の届かない世界に触れる)』というスローガンを提案しました。こうして戦略をひとつひとつ一緒に創り上げていったことが、私たちの提供価値です」(今井)

このスローガンは、今も同社を象徴するフレーズとして大切に掲げられている。こうした取り組みが実を結び、21年9月、MUFGグループである三菱UFJキャピタルが運営するMUFGメディカルファンドをはじめ、多くの投資家から約30億円を調達することに成功した。そして23年、ついに薬事承認を取得したのだった。

この頃から三菱UFJ銀行の支援は、マーケティング戦略や販路開拓にも広がっていく。

「競合の製品はかなり高額のため、資金が豊富な大病院しか買えず、市民病院など町の中核病院には手が出ません。Saroaは小型で低価格のため、そうした病院をターゲットに定めました。まず病院に認知してもらい、共感を得られなければ製品は買ってもらえないので、私たちはMUFGのネットワークを活用し、全国に複数病院を展開している医療法人との連携構築を支援しました。そこで買ってもらえれば、地域のほかの病院も認識するようになる。こうした地域を絞ったマーケティング戦略を立ててきました」(今井)

この戦略により、Saroaの導入は順調に増えている。さらに三菱UFJ銀行は、リバーフィールドに対して人材の派遣も行っている。只野は、こうした一連の支援に感謝を示す。

「出向していただいている財務の専門の方に事業計画を作成していただいたことで、先日の資金調達のラウンドが進展しました。また、病院とのコネクションづくりやマーケティング戦略は我々の弱い部分なので、密にご相談させていただき、とても助かっています。三菱UFJ銀行の支援がなければ、ここまで来られなかったと実感しています」

MUFGの支援で海外展開と技術開発を加速

三菱UFJ銀行スタートアップ戦略部業務推進グループ 今井千愛。
三菱UFJ銀行スタートアップ戦略部業務推進グループ 今井千愛。

日本ではここ数年、スタートアップエコシステムの拡充が進んでいる。ところが医療機器の分野に関しては、十分とはいえないと今井は指摘する。

「薬事承認を取得するためには、いろいろな試験をしなければならないですし、安全性についても、症例数を何回も重ねることで初めて証明されます。それらを実行するためには場所はもちろんのこと、大学や民間企業などにサポートをしてもらうための体制も必要です。それらが圧倒的に不足しているため、医療機器にチャレンジする企業が少ないのです」

こうした現状を変えようと、三菱UFJ銀行は環境づくりに力を入れているという。

「新規参入しやすい環境が大切だと考えているので、大学と提携して場づくりに力を入れたり、先生方にサポートをお願いするなどの活動も行なっています。技術力のある方にチャレンジしていただけるよう、グループ全体で環境づくりを進めているところです」(今井)

事業環境が厳しい医療機器分野でスタートアップがスケールアップするには、海外展開も重要だ。例えば、東南アジアのパートナーバンクの提携先を通じてリバーフィールドに現地の企業を紹介したり、商談会への参加を促すなど、MUFG独自のネットワークを活用したサポートを行なってきた。只野は海外市場にさらに攻勢をかけるとともに、製品開発にも力を入れていきたいと意気込む。

「MUFGのおかげで、東南アジアやインドでは、契約を交わす段階まで商談が進んでいます。数年後には、売上高の一定の割合を海外で稼ぎ、国内外でシェアを拡大していきたいです。一方で我々はディープテックなので、新しい技術をどんどん開拓していきたい。現状は腹部・胸部だけに適応していますが、血管や神経を扱うマイクロサージャリーなど別の領域にも取り組みたい。また、力覚データとAIを組み合わせたシステムも開発し、医療における課題を解決していきたいと考えています。海外展開もファイナンスの面もMUFGのサポートが重要なので、今後も変わらずご支援いただきたいです」

今井はリバーフィールドのような、熱意をもって事業に取り組むスタートアップを支援していきたいと決意を新たにする。

「医療機器の開発にはさまざまな困難をともないますが、リバーフィールドには、只野社長をはじめとする経営陣にそれを耐え抜く胆力がありました。そうしたメンタリティをもつ人たちをこれからも、MUFGグループの総合力で支えます。スタートアップの経営者の熱意は非常に高いので、一人の人間としてもその熱意に触れていたいですし、情熱をもって皆様のサポートをしていきたいです」


ただの・こうたろう◎リバーフィールド代表取締役社長。東京工業大学(現・東京科学大学)在学中の2003年、助教授の川嶋健嗣と手術支援ロボットや空気圧システムの研究を開始。研究成果を社会実装するため、14年にリバーフィールドを共同創業。CTOなどを経て20年より現職。

いまい・ちえ◎三菱UFJ銀行スタートアップ戦略部業務推進グループ。スタートアップでのインターンを経て2022年、三菱UFJ銀行入行。法人営業を担当するなか社内公募制度に応募し、24年よりスタートアップ戦略部。

Promoted by 三菱UFJフィナンシャル・グループ text by Fumihiko Ohashi / photographs by Takayuki Abe / edit by Mao Takeda

国内

2024.08.13 08:00

清原達郎に学ぶ「わが投資術」と「危機への対処」

清原達郎

清原達郎

どん底も絶頂も経験した投資家は、この先の日本経済をどのように見通しているのか。理論と直観を武器に闘い抜いてきた男が語る日本の美点と幸福について。


2005年に発表された「最後の長者番付」で、私は高額納税者トップとして名前が掲載されました。「タワー投資顧問運用部長・清原達郎」の2004年分の納税額は36億9238万円。3位にはユニクロの柳井正さん(10億8393万円)がおりましたね。投資会社でヘッジファンドを運用する一サラリーマンが日本一の長者として名前が上がったわけで、いろんなことが起きました。埼玉県の元モデルとかいう女性が「5000万円預けたい」といきなり私を訪ねて会社に来たこともありました。これぞ詐欺師という人にも会いましたねえ。

「伝説の投資家」などと呼ばれたり、今年出版した『わが投資術 市場は誰に微笑むか』が15万部を超えるベストセラーになったりと、まあ、こうした評価の元は20年前の「長者番付」にあるわけです。

直観とは経験値の積み重ねである

ただ、私は才能のある投資家ではありませんし、SNSをやりませんので、私を名乗るアカウントはすべて詐欺です。「他人からの情報をうのみにせず、自分で考えて判断する」という至極真っ当な行動原理に基づく投資をしているだけです。例えば私の投資方針は「割安小型株投資」ですが、その理由のひとつはIPO銘柄の財務諸表に「厚化粧」がされている可能性があるからです。

どんなに信頼性の高い情報であっても95%くらいに信じておくことが肝心です。なぜなら、時間の経過とともに新しい情報が入ってくるからです。人間は印象第一主義というか、初めに信じた情報を信じ続ける慣性が働いてしまうのですよ。事後的に修正できる余地を残しておいたほうが、判断の確度をあげることができるのです。

ただ、すべての判断が理詰めというわけでもありません。判断の因数の何割かは「直観」です。ただし、大きな判断を下すとき「どこまでが直観でどこからが理屈なのか」は正直わからないと思います。
 
コロナで株価が暴落した2020年3月、私は力いっぱいメガバンクの株を買いましたが、それが直観によるものかどうか判別できません。暴落した瞬間、私は「これは買いだ」と思いましたが、次の瞬間にはある程度の理屈は考えていましたから。アイデアが出てくる最初の瞬間が「直観」に近い概念かもしれません。ですから、あえて言葉にするとすれば、「直観とは経験値の積み重ね」にほかならないと思います。
 
投資において直観と理屈の境界線はあるようでないようなものかもしれません。思い出すのはリーマンショックで600億円の実現損失を出してしまったときのこと。ただでさえ致命的な打撃を受けていたところに、ゴールドマン・サックスから「マージンを変更したい」と。これは簡単に言えばロングポジションの100株に対して50のお金を借りられたのに、30に減らしてほしいと言われたようなものです。さらには私の運営するファンドから約半数の顧客が離れていってしまいました。ファンドのお金はどんどん少なくなり、最後には個人預金30億円を全部ファンドにぶちこみ、私の全財産がファンドに投入されました。
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取材=谷本有香 文=出野宏一 写真=野口 博

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2025.07.25 08:30

「アンロック・ジャパン」の衝撃 これからの最良の資産運用術

イラストレーション=スプーキープーカ

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投資家たちはこの変化にどう向き合っていくべきか。本特集の冒頭では、Forbes JAPAN創刊初期から連載を通じて金融業界の未来を指し示してきたレオス・キャピタルワークスの藤野英人と根津アジア・キャピタル・リミテッドのデービッド・スノーディ、創刊編集長で本誌ファウンダーの高野真が、業界とマーケットのこれからについて語り合った。キーワードは、「アンロック・ジャパン」だ。


高野 真(以下、高野私は本誌ファウンダーの立場ですが、フォーブス ジャパンを立ち上げる前は27年にわたり株式のリサーチや資産運用業務に従事してきました。皆さんも1990年代からこの業界に携わっていますよね。まずこの30年間の業界の歩みをどうとらえているか教えてもらえますか。

藤野英人(以下、藤野日本の資産運用業界は劇的に良くなってきたと思います。運用会社の商品は多様化してきましたし、投資家の質も上がってきています。今、日本にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)と聞いてすぐにピンとくる人が少なくとも2,000万人はいるでしょう。

デービッド・スノーディ(以下、スノーディ私が日本でヘッジファンドの活動を始めたのは2000年ごろでしたが、当時、独立系の運用会社はほとんどありませんでした。日本の運用残高上位20社のうち独立系のシェアは今も2割に満たないという調査報告がありますが、もともとがゼロだったわけですから、2割はいい進歩です。これからは、運用スタイルのダイバーシティがより重要になってきますね。多様性が広がることは、業界全体としての成長につながると思います。

藤野:今、運用会社のスタートアップを増やしていこうという動きが出ていて、官民が連携して資金供給の円滑化を図るプログラムも実施されています。新興の運用業者が増えると、投資先の層も広がっていく。上場会社だけでなく、ベンチャー企業や企業再生案件なども応援されていけば、日本の産業強化につながります。投資家のお金も一方向だけに行かなくなって、一つひとつのファンド単位ではボラティリティがありつつも、業界全体で見ると平準化される良い流れができるはずです。

スノーディ:一方、個人投資家に目を向けてみると、専業もしくはセミプロのボラティリティ(変動率)に耐性がある投資家層と、NISA(少額投資非課税制度)を利用しているようなボラティリティに回避的な層のふたつがあって、ここに近年、金融に比較的詳しい新興富裕層が入ってきている印象です。

藤野:24年に新NISAが始まったタイミングで米国株に投資するインデックスファンドが非常に好調だったがゆえに、そこに日本の個人投資家の資金がかなり集中してしまったところがありますよね。この状況は、いずれ修正がかかっていくと見ています。

一方で、海外の年金基金などの機関投資家は、インデックスファンドだと市場平均のパフォーマンスで付加価値が出せませんから、基本的にアクティブファンドに投資しています。アクティブの大半は中長期的にインデックスに成績が劣るというデータもありますが、実はプロはうまく使っているのです。このことは、個人投資家の間で標準的な理解になったほうがよいですね。

ふじの・ひでと◎レオス・キャピタルワークス代表取締役社長。現・野村アセットマネジメント、JP モルガン・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアをもつ。
次ページ > マーケットの中長期的な展望は

文=眞鍋 武 イラストレーション=ベルンド・シーフェルデッカー

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