沖縄県石垣市議会が国歌「君が代」が歌えるかなどを児童生徒に問うアンケートを実施するよう教育委員会に求める意見書を可決した件で、石垣市の元教育長、玉津博克氏に見解を聞いた。
-石垣市議会の意見書が賛否両論を巻き起こしている
「『君が代』が国歌であること、入学式や卒業式で、子供たちが国歌を歌えるよう指導すべきことは法律や文部科学省の学習指導要領で定められている。ちゃんと指導が行われているか教育委員会が調査するのは当然で、意見書の内容自体は正当だ」
「ただ教育委員会が学校に対し、子供に直接『歌えるか』と問うよう求めるのは、教育行政が学校現場の内部に入り込むことになりかねない。子供に対するアンケートの是非は各学校の判断に任せ、教育委員会は各学校の校長、教頭、現場の担任などに調査を行えばいいと思う」
-意見書は事実上、子供に国歌を歌うよう強制するものだという批判がある
「強制ではない。たとえば学習指導要領に『歴史の授業でフランス革命について教えなさい』と書いてあった場合、教えることを強制と呼ぶのかという話だ」
-学校現場で「君が代」はどう扱われているのか
「私が高校の校長時代、小学校の卒業式に来賓として呼ばれたことがあったが、校長、教頭をはじめ、教職員の誰もが『君が代』を斉唱しなかった。来賓の教育委員も歌わない。『何だこれは』と問題意識を持った。子供たちが歌わないのは、歌いたくないからではない。そもそも教員が教えていないからだ」
-教員はなぜ教えないのか
「日教組は、先の大戦の原因は天皇制と軍国主義にあり、その象徴が日の丸と君が代だと考えている。そうした思想的な背景があるので、最初から君が代を毛嫌いし、日の丸、君が代について思考停止している」
-玉津氏は2010年から4年間、石垣市の教育長を務めたが、国旗・国歌にはどのような態度で臨んだのか
「教育長に就任した際には、入学式や卒業式での日の丸掲揚と君が代斉唱の励行を徹底したいと考えていた。現場の実態を把握するためのアンケートも計画していた。だが学力向上対策や、教科書採択問題の対応に追われ、結局、手が付けられず、やり残しの仕事になってしまった。時間的なゆとりさえあれば、子供たちへのアンケートではないが、学校現場の実態調査は行っていただろう」
-教育委員会はどう対応すべきか。
「実態調査を行い、校長や現場の教員が『指導した』と言うのであれば、具体的な指導結果の提出を求めるべきだ。成果が上がらなければ、校長を指導する。今回の件をきっかけに、児童生徒が『君が代』を歌える環境づくりが進めばいい」(八重山日報)